王の間
「……さて、ここはたしか、あなたを四天王と認めた場所ですね、覚えてますか?」
そう言って扉を開く。
巨大なステンドグラスが壁に貼られた王の間。
「はい、覚えてます」
満足気に頷く。
「……さて、私はさっき少し嘘をつきました、私は他の魔王と違って、魔力感知や魔法操作にずば抜けた才能があると自負しています……そして、それはある程度大まかな位置までなら、魔剣の魔力も覚えています」
「……凄いですね」
「ありがとうございます……そこで言いたいのが、あなたからアデサヤの気配を感じます。
あなたは確かキメラだと生誕祭で言っていましたね……?
自立しているキメラなんて珍しい限りですが……もういちど言います、あなたからアデサヤの気配を感じていると言いましたね?」
「……は、はい」
まずい、バレてるなこれ!?
「……近づき、気づきました、あなたはアデサヤを持っているのではなく……あなたがアデサヤなのでは無いのかと」
やばいって、なんでそんな突飛なことを言えるんだよ……しかもあってるなんて。
「ど、どういう意味でしょうか!?」
「物理的に!君の中にアデサヤがあるということです!」
そう言って、俺の腹を指さす。
「……いや、俺大道芸人じゃないんですよ?」
街を歩いていると剣を飲み込んでいる人がいた、たしか大道芸人。
「あ、それに近いと思いますよ!」
「はいぃ!?」
いや流石に違うと思いますよ!?内出血凄そうだし
「……こう、内臓を避けてザクっと縦に刺さってると思います」
「いやいやいや、俺死にますよそれ」
「そうですね……あなた、ほうれん草は好きですか?」
「へ?ほ、ほうれん草?」
なんだ?隠語か?報告連絡相談、のほうれん草か?
「これです」
ほうれん草を取り出して指を指す。
「なんで持ってるんですか……好きですよ?」
「レバー肉は?」
「好きですね」
「アデサヤって、血を武器に変える性質があるんですよ、粉々にして血に混ざってるなら、血管ボロボロになると思うんでやっぱり刺さって、血管の役割をしてくれているんじゃないですかね?」
「そんな使い方できるんですか?」
「えぇ、輸血する際に使われたという報告も残っています」
「……ぱ、パイプみたいな?」
「ま、そんな感じですね、無論それはアズナスと肩を並べるほどの強力な魔剣、錆びず、折れず、曲がらない」
本当ならすごい剣だ。
「ま、取り出せとは言わないよ……それに、なんやかんやで私たちの元に戻ってきてくれたんだからラッキーです」
「はは、良かった、取り出せとか言われなくて」
はは、ちょっと怖かったぜ
「それで?もうすぐ今日は日が落ちます……面接は明日にしてみては?」
「そうしましょうかね?」
言葉に甘えることにして、休み用の自室を使うことした。
夜ご飯を食べ終わり、少し暇な時間ができてきた頃にノックをする人がいた。
「カールカートスーいる〜?」
来客はラジアンらしい。
「あぁ、いるよ」
「今入っていいー?」
「あぁ、いいよ」
ガチャりと扉を開いてラジアンが中に入ってくる。




