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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
アレとコレの間
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久方の決戦

「カルカトス!強くなったよね!?」


「あぁ!あの時とは違う!」


 そういうと、笑顔がより深まり『剣を抜いた』


「なら!行くよ!?行っちゃうよ!?」


「やっと抜いたな!!こい!」


 その瞬間、ラジアンが世界からぶれた。

異常な加速、反射的に、勘で勝手に剣が動いた。


 剣と剣の音が響いたあと、少し遅れて上がる砂ぼこり。


「早っ!?」


 見えなかった。


「よく受けて来たねぇ!?」


 力で押し返す……抵抗なく、距離を取り戻す。


「お互い……全力でやるよな?」


 当たり前の問い。


「当たり前だよ!」


「……『我は摘み取るもの』『終末論を綴るもの』『悪夢となり飲み込む』《限界突破(リミットブレイク)》」


 最高の固有スキルを使い、剣の柄を顎に寄せる。

『あの変な構えはなんだ』と言葉がちらつき聞こえる。


「わお、なら私も。

『内包する夜』『古の夜の王者』『世を支配せよ』《夜帝剣 アズナス》」


 剣から、溢れ出るのは魔力……じゃない……闇魔法でもない……詠唱通りの夜だ。


 伸び縮みする刀身。


「行くぞ……ラジアン!!」


「うんっ!次はカルカトスから!」


 あのスピードをものにしているラジアンは努力をしたのだろう。


 なら、それを上回る圧倒的な速度を。

身体能力で、間に合わせるな。

獣のように弾けて、そして打ち勝て。

『神速』神さえ追いつけない速度へ、そしてその限界の先へ。


 ほんの1秒もない、あっという間に距離がゼロになる。

剣は反射的に動いた。

身体も同じだった。


 剣を切り上げ、そして、宙で捨てる。

ナイトラインから、ハウルへ持ち変え、新しい2本の剣の攻撃。


 二激目を剣で受ける。

次は体術。

足払いを軽く足で止められる。

落下を開始したナイトラインを持ち、そして、魔法の使えない俺は馬鹿正直に剣を振り下ろす。


 ラジアンは伸びる刃で俺を仕留めるつもりらしい。

ここで引けば俺は負ける……せめて相打ちにして勝つ。


 振り下ろそうとするナイトラインをブラフに、足でハウルを上手く蹴り、再度浮かせる。


 目の前に飛んでくる刃を避ける。

すると、距離を詰めるラジアン。


 ぐるりと回転し、右の裏拳を放つ。

左の篭手で上手く掻き消す。


「あはっ!!」


「っは!!」


 戦闘狂ではないはずなのに、俺も笑みが溢れてくる。

のびる剣先の刃、蹴りあげたハウル。

お互いの皮膚を軽く斬り勝負は終わる。


「相打ち!?」


「……いや、俺の負けかなぁ」


 ギリギリ伸びた刃の方が早かった。


「私体鍛えたのに、結局勝敗を決したのは、魔力操作精度かぁ……やっぱ両方大切かなぁ」


 あれは魔力らしい……?


「だなぁ……よりもさ!!最後お互いの篭手当たったよなぁ!?」


「あ!やっぱりアレ狙ってくれたの!?私も『カルカトスなら……』って期待があったのは間違いないよ!!」


 ガツンと篭手をぶつけ合う。


「お2人は仲がいいんですか!?」


 誰かが問いをなげかける。


「「とっても!」」


「篭手はお揃いのものを!?」


「こいつから勝ち取った!」


「負けて取られた」


「先程の勝負の、勝者のラジアン様は何か取るんですか!?」


「!いいねそれ……じゃあ、カルカトスの……唇でも奪い取ろうかな?」


 ニヤリとイタズラ気味に寄ってきて、俺の顎に触れる。

息が当たりそうな程に寄ってきて、艶やかに笑う。


「ま、冗談だけどね」


「だと思ったよ……」


 ガッカリしたような声が響く。


「でも、またなにか頼むかもね」


「……なんなりと」


 てくてくと歩いて帰る。

魔王様がおよびらしいからな。

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