謝罪のために東へ
「……って言うわけなんです」
「なるほど、以前言っていたことですからね……よろしくね、アイビーちゃん」
「はい、お願いします」
よし、上手くやれそうだな。
「……んじゃ、行ってきます」
「「行ってらっしゃい」」
港町へ足を運ぶ……昔の勇者たちはそんな風にして魔王城へ向かったんだろうなぁ。
「ま、俺は飛んでくけど……なっ!!」
翼を生やし、空を飛び立ち、東へ行く。
「ほら!きた!」
俺を指さし、港にいる人達が俺を指さし、剣を振るう。
「はっ!?」
体をグルンと捻る。
港町の近くにいるとはいえここは港町『上空』
こんな所まで剣を振り抜くなんてどんな身体能力か。
気になり後方を見ると、そこには勇者 ユウジの姿……
まぁいいか、飛び立ち、高速で海を渡る。
近場で揃えた珍味は『ジャノタン』と呼ばれる大蛇の舌。
「ここがハリス……あれはソウルドか……魔界の森にも着いたし」
約2時間の高速飛行、体力バテバテのままに飛ぶが……やはり空を飛ぶのは楽しいなぁ。
いつしか憧れていた空、それはやはり、ラジアンのおかげだろう。
魔界の森を超え、ヘルヴェティアの門前に付く。
「……止まれ、何者だ!?」
殺気立っている門番2人。
なんて言おうか……あぁ、与えてくれた肩書きがあるじゃないか。
「四天王が一人、カルカトス。
そう伝えてくれ、許可がおりるまでここで待つ」
「し、四天王……しかも欠席ばかりのカルカトス……!?」
おぉう、ひでぇ言いよう……しっかりしろよナイトメアくん。
「……おつかれー……今日も疲れたよ……」
聞き覚えのある声……懐かしい、優しい声。
「……ん!?そのローブ見覚えあるなぁ……」
「ら、ラジアン……本当に……すいませんでしたァ!!!!」
「うわ!懐かし!カルカトスじゃん!?」
「……いやまじすいません……ほんと……」
「あ、いいよいいよ、あれ魔王ちゃんから聞いたけど作者にせんのーされてたんだってね?」
「へ?あ、はい」
「大丈夫だよ、みんなそんなに怒ってない……それより私は今はそれ以上に必死なんだけどね」
腕に着けたリング2つを重そうに顔をゆがめながら歩く。
「ありがと、ドン、ミー、この人は私の推薦した四天王『幻霧』だよ」
「!幻霧様でしたか!?」
「げんむ?なにそれ?」
「あなたの2つ名?本名バラしちゃダメでしょ?私は『横暴』ミリアちゃんは『純愛』そんな感じであるんだ」
「なんで幻霧なの?」
「ローブがたなびいて幻みたいだし、霧みたいに君を捕まえられないから、私が考えたんだよ!?」
「あ、ありがとう……大事にする……幻霧」
ニコニコと笑いながら頷く。
「さ、入ろ、帰ろ……そして戦お?」
ニヤリと笑うのは俺の帰りを心待ちにしていたみたいだ。
「あぁ、土下座がすんだらな!」
「情けないなぁ」
笑って案内される。
「!カルカトス、謝らなくていいよ」
頭を下げようとした瞬間、魔王様に止められた。
「で、ですが……」
「代わりにラジアンと戦ってあげて」
「へ?は、はい、無論構いませんが……」
「っしゃああぁ!!封印解くぞぉぉ!!」
リングを投げる前に魔王様に止められていた。
参謀さんのお土産は置いておき、2人に久しぶりに初めましてをして、訓練場に行く。
ナルヴァーもミリアも着いてくるらしい。
「っし!やるよ!!カルカトスゥゥゥ!!!!」
リングを投げ捨てる。
俺の身長を優に上回る土埃を上げて、地面にめり込む。
「あぁ、やるからには全力で行く、ラジアン」
ナルヴァーとミリアの顔はどこか楽しみにしているような顔。
その他にも数人観客がいる。
「『幻霧』様と『横暴』様の対決だとよ!」
「どっちが勝つかなぁ!?」
そんな話で溢れている。
「私の名は!『ラジアン ハイラーン』!貴方に!一騎打ちを申し込む!!」
気が前のめりになって止まらないみたいだ。
「俺の名は!『カルカトス アクナイト』!その一騎打ち!受けて立つ!」
ナルヴァーが真ん中に立ち、ルールを決めさせる。
「あぁ、それなら私におまかせを……お互い一撃を与えたら勝ちにしよう、先にかすり傷を与えられた方の勝ちだ」
「懐かしいルールだな」
「今度は負けないよ」
そのラジアンのリベンジ発言にさらにざわめく。
「……では……開始っ!!」
腕が振り下ろされた。
この2人、好きなんですよねぇ……サクラとラングの絡みも好きだし、フロウさんとシアさんを絡ませたい。




