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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
アレとコレの間
232/499

カルカトス宅【シア】

 インターホンを押し鳴らす。


「はーい」


 ドアを開けて、聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「どうも、今日はよろしく」


 友達のカルカトスのお願いを聞き届け、今私は彼の家の前にいる。

靴を脱ぎ揃え、中へ入っていく。広い家だ。


「どうも〜」


 アイビーちゃんがソファーの方で私を見つめる。


「こ、こんばんは!」


「はい、こんばんは〜」


 可愛いなぁ本当に……そういえば髪も黒くて目も赤い……本当にカルくんのようだ。

どことなく顔が似てる……あぁ、なるほど兄妹だ。


「髪がかなり傷んでるね……切り方も無理やりって感じ……私がちょっと髪切りそろえてあげようか?」


「お、アイビーどうする?」


 ぐつぐつといい匂いを漂わせながら何かを煮込むカルくん……匂いで何となくわかる。


「可愛くなりますか?」


「うん!それは間違いない!」


 今でも可愛いんだから間違いなし!……質問も可愛いなぁ。


「よし!それじゃ、任せて!」


 そう言って持ってきた紙袋を机に置き、アイビーちゃんに風呂場に案内してもらう。


「?その紙袋って?」


「?あぁ、これですか?これ『アイビー』ですよ」


 カルくんは「?」と言った顔、アイビーちゃんも「?」


 2人目を見合せ、紙袋を見たあと、カルくんはアイビーちゃんを見て、アイビーちゃんは手足をみている。


「?知らなかったんだ、アイビーって植物の名前なのよ」


「へぇ、花?」


「ま、そうだね、育てるのも簡単だし、良かったらどうかなーって」


「へぇ、ありがとうございます」


「いいのよ、あ!ちなみに花言葉はね!『永遠の愛』とか『不滅』『誠実』って言うのよ!」


「永遠……不滅……」


 生命力が強く、育てやすい事もまた特徴だろうなぁ。


「それじゃ、行こっか」


「は、はい!お願いします!」


 カルくんにも、わたしにもまだどこか緊張している感じだなぁ


 髪を切りそろえ、その長い髪を整える。


「ほら、可愛くなった」


「!す、すごい!すごいです!」


 そういうと褒められると、やった甲斐が有るというものだ。


 カルくんには2度もプレゼントをもらった。

このヘアクリップと、以前の青いリボンのプレゼントボックスの中あった小さな鏡。


 そんな彼には、もちろん、ただ、ものを貰ったから助けているという訳では無い。

友達だから、私が気に入っているから、様々な理由の中に、プレゼントのお礼も含まれている。


「し、シアさん」


「!なぁに?アイビーちゃん」


 初めて彼女から話してくれた。

面と向かって目を合わせてはいないが、鏡越しにこちらを見て、話しかけてくれる。


「私、シアさんが来る前に、カルさんからシアさんのこと沢山聞きました」


「へぇ?ちょっと気になりますね」


「カルさんは、シアさんの事が大好きなんですよ!」


「はいぃ?」


 突然の大告白……これ、カルくんは黙っててもらうように言わなかったのか……


「昔から助けて貰ってて、ずっと助けられて、一つ決めたことをやり通しているのがかっこよくて、自分のことを友達だって言ってくれるから、怖がらなくていいって私に言ってくれたんです。

だからきっとカルさんはシアさんが大好きなんですよ!」


 あぁ、そういう意味か、全く可愛い表現をしてくれる。


「そういう意味なら、私もカルくんの事が大好きですよ、もちろんアイビーちゃんも大好きです」


 ポンポンと頭を撫でる。


「……私も、シアさんの事、好きです」


 きゃああ!!可愛い!


「……い、行こうか、リビングでカルくんが待ってるよ!」


 撫でくりまわしたい衝動をギリギリで押さえつけ、ご飯を食べに行く。


「お、可愛くなったな、アイビー」


 そう言われると、彼女は背伸びを繰り返し、喜びを表現している。


 こうして見てみると、カルくんと同じぐらいの身長……あれ?私よりもはるかに大きい?


「ねぇ、カルくん、身長いくつ?」


「?180……ぐらいかな、いってたっけ?」


 後半は自問自答だが、私の身長は157cmだ。

小さいことはわかっているが、にしても私とアイビーちゃんの身長差は頭1つ分程ある……


「……?シアさん?」


 不思議そうな顔でこちらをのぞき込むアイビーちゃん……くそう!屈まないでください!惨めな気持ちになっちゃいます!


「くうぅ!今日の晩御飯はなんですか!?」


「お、怒ってる?」


「怒ってません!」


「……し、シチューです……」


 シチューかぁ、私もたまに作る好きな料理のひとつだ。

パンとシチューと、サラダとお水。


「ほほう、カルくんはキノコ入れる派なんですね」


「シアさんは入れないの?あ、アイビー熱いから気をつけて」


 さりげなく注意するところがお兄ちゃんらしい……シア流お兄ちゃんポイント3追加ですねこれは。


「私も入れる派です、母が違ったもので」


「へぇー、そうだったんですか」


 ご飯の時は、アイビーちゃんは全く喋らなくなる。

食事に集中しているのだろう。

この私と座高が同じぐらいな所を見るに、足がかなり長いんだろうな……カルくんも、生誕祭で蹴り飛ばしまくってたし、足が長いのは彼にあってる。


「アイビーおかわりいるか?」


 無言でコクコク笑顔で頷く。


「分かった……パン後何個ぐらい食べられそう?」


「にこぐらいです!」


 可愛いなぁ、大きいのはこの食欲のおかげだろう。


 微笑ましい限りだ……私はお腹いっぱいだから食器をキッチンに置きに行く。


 カルくんはシチューを皿に盛っている。

それを心待ちにするアイビーちゃんが可愛い。


 いいところだ、ここは

そういえばシアさん視点は初めてでしたね

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