暗き森での運命の出会い【ラジアン】
私の名前はラジアン!
魔王軍でいわゆる四天王をしているんだー
今日は魔王様にお仕事を任されています、それは『聖剣を探すこと』です。
魔族が聖剣なんかもってどうするの?って?
そりゃあ決まっているさ、危険因子の排除さ。
そんな中、今日も見つからずため息をついている中……1人の男と出会った。
精霊と仲良くしている……おかしな『人間』だ。
「……ヘイ少年、名前は?」
「……カルカトス」
ブスっとした顔でいかにも嫌そうにそういった。
「……そ、そっちの精霊くんは?」
「+°\々:€>○」
「……な、なんて?」
「リョク、って名前だ」
「へぇ……ねぇ、君たち、やろうか」
「……え?」
「《自由で横暴な決闘》発動!」
いつも使い慣れている私の『固有スキル』一昔前は『固有魔法』と呼ばれていたが、魔法の域を超えたものが多いためひとまとめにスキルと読んでいるらしい。
まぁ、私のスキルの内容は……ただ、お互いに『枷』をかけて戦わせるものだ。
「うーん……どーんなルールにしよっかなー?」
それを決めるのは私だ。
「ちょ!?なんだよこれ!?」
「決めた、君は私にかすり傷1つでもつけることができたら勝ち、私は君を殺せたら勝ちね……よし、発動した」
このスキルは『お互いが平等』な条件でしか発動できない……彼の実力なら、これが妥当だと私のスキルは言っている。
「……舐めやがって!」
仮面の向こうの赤い瞳がギラりと光る。
「ささ、カモーン、私は負けないよー!」
「リョク!弓!」
緑色の弓を取り出し……矢が生み出された。
「わわっ!凄いね!その魔法具!」
「喰らえっ!」
4本……いや、狙っているのは3つ、もう1つは……逃走用?
「逃げる気かい!?だけど!それはダーメッ!」
「早っ!?」
「というか、このスキルは発動すると逃げられないよ」
「はぁ!?」
魔力の壁はどんなことがあっても破壊できない、そういう『理』なんだからね。
「ちっくしょう!戦うしかねぇのかよ!!」
「ささっ、カモン!カモン!!」
「……よし、やるか」
独特な構えをとる……そして、詰めてくる。
「はっ!」
下からの切り上げ、横にずれて回避。
「ははーん!それじゃ、隙だらけ……っ!?」
剣を……『捨てた』!?
切り上げに使った剣から手を離し、地面に深く沈む。
そして、掴みかかってくる……いや、フェイントだね、足払いだ。
軽く飛ぶことでそれを避ける。
落ちてきた剣を手に取りもう一度横に凪ぐ。
「ははっ!何その連撃!!獣みたいな勢いだね!」
「似たようなものだからな!」
ふむ?どういうことだろうか?
「……そのローブの下も見てみたいなぁ!」
「そうはさせない!」
「いや、させてもらう」
伸ばした手との間に剣を振るカルカトス、その剣を軽く片手で弾く。
「は?ちょお前っ!?」
バサッとそのままローブを外す。
「……!へぇ!黒髪赤目か!私とオソロってるねぇ!……あれ?君本当に魔族じゃないの?魔人でもなく?」
「くどいなぁ!ほら、ステータス見てみてよ!人間でしょ!?」
「むむっ?本当だ……なら、再戦としよう、もうそれに気遣うこともないしね!」
「……忘れてはくれない?」
忘れるわけないじゃないの!こんなに楽しいのに!
「無論!」
【固有スキル】
生まれながらに、持つもの、努力の果てに手にするもの、経緯は違えど、この世に2つとないスキルの事。




