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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
アレとコレの間
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別れの先【エン】

「……カル、中に消えていったね」


「そうだな……中には階段を下れば行けるだろうな」


 元孤児院の跡地にやってきたかと思えば消えたカル。

もう私たちは立派な大精霊……きっとカルを助けられる。


「いこ、皆」


 シガネ、リョク、スイ、ライ、みんなに声をかける。


 シガネの銀髪は長く伸び、腰に届きそうだ。

その腰に差している一振の剣は綺麗だ。


 リョクはどこから持ってきたのか分からないが眼鏡をかけている。

ロン毛というやつだろうか?ヒョロいのは相変わらずだ。

リョクはライとの合作の弓を持っている。


 スイは色々成長した……羨ましい、そのぐるぐるの髪はどうしたのか?

糸目でのほほんとした雰囲気が増した気がする。


 ライも変わった、チクチク髪がアフロのように四方八方に人がる。

1本の槍を手に、今ここにいる。


 私だってかなり変わった。

身体的には平べったいが、それでもいいんだもん。

シガネと私の合作の剣を手にここにいる。


「それじゃ!いっちょ救出に行きますか!」


 ライが先陣を切り、中へ入っていく。

それに合わさって、全員中へ入っていく。


 カルは『助けてあげないと』まだまだ弱いまんまなんだから。


「……なにこれ?……なんにもない?」


 敵はおろかカルもいない。

あるのは血溜まりや、びしょびしょの大地。


「そういえばカル、ウンディーネと契約したんだっけ?」


 悲哀の水精霊、生誕祭で契約を結んだのはおどろいた。

そして、同一化するのも驚いた。

スイもかなりの熟練レベルだが、ウンディーネには敵わない……ましてや同一化したとなれば尚更だ。


「なるほど……だったらこの水も説明が着くな」


 しかし、いつの間に精霊魔法を使えるようになったのだろうか?

シガネが言っていた指輪を外した瞬間からおかしくなったんだろうか?


「ほ、本当に何もいないね?」


「カルったらどんな速度で奥に進んでいるんだ?俺たちだって全速力だってのによ!?」


「記憶が無くなってもカルがすごいのは変わらないのよ」


 口数がめっきり減ってしまったシガネが言葉を発した。

その言葉に、皆頷くばかりだった。


「まだ……まだつかないのかな?」


「いくつも下ってるはずなのに……なんでこんなに深いのよ!?」


 これはまるで


「「「迷宮(ダンジョン)みたい」」」


 私と、ライ、シガネのダンジョン同行組は同じことを呟いた。


 リョクもスイも、私たちの話を何度も聞いているから、それに大した違和感は感じない。

今一度足を止める。


「もしかして、ループでもしてるのか?」


 そう言いながらライがむく方向にはまた水溜まりがあった。


「なら、こうすればいい」


 リョクが壁に矢をうちつける。


「さぁ、この矢がまた見つかれば対策を考えよう」


 その数秒後。


「……リョク」


「ループしてるな、さぁ、考えようか」


 矢を引き抜き、矢筒に入れながら落ち着いた口調でそう言う。


「掘ろう!」


 ライが地面に槍を刺す……少し傷がついた程度。


「む、無理だ……硬すぎる」


「ちょっと待て……」


 リョクが地面に手を触れ、魔法を使う。


 ビキビキと少し、ヒビが入る。


「な、何したんだ!?」


「この中に植物を生やした。

成長の勢いは何にも止められないからな。

ほら、みんな、ここを叩いてくれ」


 それを何度も繰り返すうち、焦げ臭いフロアに到着し、地面をもう一度掘る。


「……よし!次の階だ!」


 そう言いながら、ライが飛び降りる。

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