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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
アレとコレの間
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決戦決意

「こちらです」


 防具宿屋にパック、今や俺はここの常連となった。

最近ではこちらで素材を用意してオーダーメイドのものを用意してもらえるほどになった。


「ありがとう……少し失礼します」


 そして、新しいブーツに足を通す。

しっかりと閉めて、軽く飛んだりの動作を済ませる。


「で?どうかな!?」


「最高ですパックさん!天才!」


「いやぁ……それほどでも……「あるかな?」」


 言葉を被せてグータッチ。


「それで?これってどういうもの?」


「超軽量!そして、とんでもなく頑丈!

生誕祭で見たけど体術使うでしょ?キックの時に威力を乗せるため、軽くしておいた」


 頑丈というのも本当だ。


「どうやったんですか?」


「貰った魔石を上手く使ったのよ……『魔法道具(マジックアイテム)』制作の副産物の知識よ」


「それで……軽量化をつけたわけですか」


「そう!……あ、あとあなたいつも左手だけ篭手つけてるわよね、右手の分、あげるわ」


「えっ?それって……お代は」


「いいわよ水臭いわね」


「な、なんで急に?」


「あなたのそのローブ、あと仮面も、初めてうちで買ったものよね?

私の商品をそんなに物持ち良く愛してもらってるからね。

実績もあるからサボってて無事って訳じゃないからサービス」


 渡された篭手は左手と同じ黒。

でも、青い魔石も嵌められている。


「……そう、それは水の魔石。

そこまで大した力はないけど……お守りみたいなものよ」


 昔、シアさんにあげた髪飾りと同じようなものか。


「きっと役立てます」


「おう!行ってらっしゃい!」


 背中をバシンと叩かれる。



「シーアーさん?」


「ん!?は、はい!?」


「俺だよ、カルカトス」


「!あなたでしたか……どうしましたか?」


「……いや、特に要はないんだ、呪いもかかってない」


 その言葉を聞いて身体を軽く見てから頷く。


「そうみたいですね」


「シアさん……俺、行ってきます」


「?……行ってらっしゃい?」


「それと『今の俺』とは多分今日でお別れです」


「へ?」


「きっと明日の俺は取り乱しています……良かったらちょっと助けてあげてください。

過去からの俺の贈り物だって、そう明日の俺に伝えてください」


 そう言って小さな箱を2つ渡す。


「これは?」


「青いリボンはシアさんに、赤のリボンは明日の俺の家の前に置いておいてください」


「は、はい」


「変なお願いしてごめんなさい」


 そう言って、教会を後にする。



「ギルシュさん、呼び出されたわけはなんですか?」


「これだよ」


 封筒を1つ……アリーさんと同じこれは。


「推薦書?」


「あぁ、アリーさんからも、貰っただろう?」


「……ってことは」


「あぁ、私からも押させてもらうとするよ」


「ははっ、ありがとうございます」


 ギルドから、アリーさんの所を寄らずに外へ出て、宿屋へ向かう。


「ついたぞって連絡したんだけどな」


 そう呟いていると、扉が開く音、そこを見ると、サクラがいた。


「おはようサクラ、これ服だよ」


「わざわざ紙袋に入れてまで……いい匂いだな、さすがは家持ち」


「そりゃどうも、それじゃ」


「……お前何か隠しているのか?」


 ドキッとした。

なぜ気がついたのだろう?


「……バレた?」


「やっぱりか、目が違う……何をする気だ?」


「……明日から、最低でも数週間は俺に関わるな」


「!?ど、どういう意味だ!?」


「……今は言えない、でも、お願いだ、理由を聞かず、頷いてくれ」


「……せっかく話してくれたんだからな……いいだろう、聞いてやる」


「……ありがとう、それじゃあ『また』」


「あぁ!『また』な!」



 今日は俺の命日だ。

『カルカトス ナイトメア』には今日限りで死んでもらう。

『カルカトス』が明日から生きていく。


 シュプ フングを殺し、カルカトスを取り返し……俺はサヨナラだ。


 後悔があるのはわかる。

今から死ぬって考えると……もうみんなに会えないって考えるとすごく怖い。


「ラングにも何か言えばよかったな」


 歩きながらなんて言うべきか考えたが、都合のいい言葉は出てこなかった。

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