目指すはシルバーランク
「……はい、今日もお疲れ様でした!」
「ありがとう、アリーさん」
今日も今日とて換金、換金、慣れたものだ。
あの日以来時々飲みにも誘われる。
その度に顔を隠そうと四苦八苦している。
かれこれこの生活を1ヶ月ほど続けている。
「もうそろそろ僕も交代だな」
そんなことをリョクが言っていた。
どうやら1ヶ月交代制らしい。
「そっか、残念だな」
「ははっ、それ他のみんなにいうと怒られるぞ」
「……それもそうだな!」
なんて感じでいつも通り会話をしていると、リョクが真剣な顔でこういった。
「なぁ、カル」
「……何?リョク」
「シガネはな?特別な精霊なんだ」
「……特別?」
「本来、精霊武具っていうのは、精霊本体が近くにいないと、すぐに消えるんだ」
「消えるの!?」
「まぁ、正確には魔力の粒となって、本体の元に戻るんだ……それは僕の体の一部でもあるって事」
「……な、なら!この剣が消えないのって?」
「そこが、シガネの特別な所だ
なんでかは分からない……けどシガネと離れていても、剣は使えるんだ」
「……ってことは向こう何ヶ月かは弓が使えないのか!?」
「そういう事だ」
マジか……スライム狩る時も安全策で弓を使ってたからなぁ……どうしようか。
「……はぁ、ラングさんも1週間前にシルバーランクに昇格、サクラさんは……もうゴールドランクにでもなってるのかな?」
竜の彼女なら、有り得そうだ。
ラングさんは1週間前に連絡をくれた。
その時はヴェーラさんと一緒に祝ったものだ。
少しばかり奮発もして、酒を振舞った。
「……それじゃ、今日がリョクの力を借りられる最後の日ってことか?」
「そゆこと、ダンジョン見てみたかったなぁ」
「まぁ、またいつか見れるさ」
「だな、それじゃ、今日も仕事をするか」
最近は討伐依頼を受けている主に『ゴブリン』なんかだ。
小型の人のような様子の生き物、武器も人のように扱えるし、力も普通に強い、初心者の俺には決して弱くはない相手だ。
採取部位は左耳だ。
「アリーさん、おはようございます、今日もお願いします」
「あ、おはようございます、カルカトスさん、今日はお知らせがあります!」
「お知らせ?」
「あなたにシルバーランク昇格の試験参加の資格をプレゼントです!」
「……え!?本当ですか!?」
「嘘は言いません!ささ、これどうぞ」
そういうと、いつかのように木の板を渡された。
「……ん?これって」
「カルカトスさんの事ですし、すぐにでも受けるんでしょう?
それを持って、あちらの席でお待ちください」
「はい!是非そうさせて貰います」
「よかったな!カル!」
「あぁ、最終日なんだ……こき使ってやるよ」
「お手柔らかにな」
くすくすと笑い合う




