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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄?そんなのどうでもいいです
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ディン エンピィの日記

「……これで最後か」


 残るはディンの日記。

『絶対に守る』なんてことを口走った矢先、守ることが出来なかったせいか、やたらとこの日記の表紙は重い。


『私の秘密、私は魔女である。

その中で、見栄を張っているが、あまり強くない、もしかしたら迷宮探索についていけないかもしれない。

そんな不安をここに書き置いていく』


 彼女らしいが、ディンでさえ、魔女の中ではあまり強くないらしい。


『生誕祭に出て、リーダーを見つけて、刑期を終えて、お金を稼いで家を買う。

文字にするとすごく短い。お金稼ぎの日々はとんでもなく長く感じたのに、思い返せば一瞬だ

デクターの頑張りあっての事だ、彼女凄い。』


 口が達者な方ではないが、文字に起こすとおしゃべりに見える。


『今日は買い込んだ本を沢山読んでいった。

買うだけ買って手をつけていない本は、見返してみると山ほどあった、これには私も驚きを隠せず、ロウソクの火に負けない熱い探究心を胸に本を開く』


 比較対象がロウソクなのは彼女らしいといえば彼女らしい。

『息を吹きかけるだけで消えてしまいそう』儚さならロウソクといい勝負だろう。


 そして数日間の何気ない日常を記したページ、次はジャンパーの命日1日前。


『明日も聖女様のために迷宮へ行く。

そろそろ何かがありそうだ、本なら奇想天外などんでん返し』


 たしかに当たってはいるがマイナス方面に行っているな。


 そしてここから俺と2人で五十層地下へ叩き落とされた後、帰還して意識を取り戻した辺り。


『ジャンパーが命を落とした。

冒険者なら、当たり前のように死人が出ている。

そういう仕事だ、リスクの代わりに一攫千金を夢見る人の多さからその夢の大きさが想像出来る。

だが、知り合いが、仲間が命を落とす、そしてそれは統計上のデータの1人に、名もない一人になる、それはなんだか嫌だ』


 ディンなりの意識があるのだろう、その後、熱く文を書き綴り、次のページ。


『所でこれは日記だ、日記とは元来読むのも書くのも私だけだろう。

だからはっちゃけた事も言える訳だが、人間不思議なことに誰かに見られた時のことを考え、書いてしまうものだ』


 確かにそうだ。


『だが、私はそれを無視して書く。

もし私が生きている間に見られたら笑いものだ』


 その前置きの後、余白を大きく残して次のページ。


『カルカトス ナイトメアに恋をした』

大きくそう書かれていた。


「……え?」


『弟子のグエルには話したが、これをもしもジャンパーとかに見られよう物なら三日三晩問い詰められるだろう。

そして我らがリーダーはキメラ、性別不明と言うよりも無いのだろう、きっと私に魅力を感じることの無い叶わぬ恋として終わるのだろう。

……これを読んでいる時に私が生きていたら恥ずかしすぎる!』


 ドクンと胸が跳ねた。

この感覚は少し前のものとは似て非なるもの。


 脈拍はフレイの呪術にかけられた時なんて比じゃない程に上がり、心臓が耳になったのではないかと錯覚する程に大きい。


 グエルの謝罪の意味、それは二つの意味があったのかもしれない。


「……早く言ってくれれば良かったのに……」


 性別がないとしても魅力は感じるし、そもそもカルカトスとして歩んできた人生での性別は間違いなく男だった。


 綺麗な女性に目を奪われることなんて何度もあったはずだ。


 今は記憶が無いため憶測でしか話せないが、オスならオスとしての本能的なものに逆らえないはずだからきっとそうだったのだろう。


『だから、私はカルカトスと添い遂げたい、そのままゴールインしてやる!なんて言うことは考えてはいない。

ただ、あなたの中にあなたを思う私がいることを覚えていて欲しいだけ』


 次のページ。


『明日はジャンパーの仇、援護を頼まれたがもとよりそのつもり、絶対に生き残って、もっと長くカルカトスと過ごしてやる』


 その意気込みがあってもなお、弟子の危機には身体が勝手に動くぐらいな、虚無の魔女。


「すごく情熱的な女性だな」


 格好つけているわけでもなく、そんな言葉が口をついてでた。

はい!全滅ですよ全滅!なんで!?

この後カルカトス×ディン。

デクター×ジャンパーをかけるだろうなぁって、ちょっとぐらいご褒美あってもいいよねって思った矢先にこのザマよ。

ルーレットで決めてるんで、そこら辺は容赦しませんが……闇堕ち……怖ぇです。

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