デクター アルハザードの日記
ジャンパーの日記を読み終え、次にデクターの日記に手をつける。
『今日から日記を書く!今日は家を買った!リーダーと同じ敷布団!洗濯の仕方忘れたから明日教えてもらう!』
メモ書きじゃないんだから……
『洗濯の仕方教えてもらった!お風呂すごくいい!お湯暖かい!騎士寮とは違う!体をしっかり洗える!』
文が短い!
『聖女様の未練ってなんだ!?明日ディンに本を借りてみようかな?』
デクターなりに解決策を出そうとしてくれていたのか。
『分からない!から今後がんばって見つける。
今日も仕事を頑張って、ご飯が美味しい、平和で嬉しい』
『明日も聖女様と一緒に迷宮へ!』
次のページから様子が変わった。
『恐らくジャンパーは即死、2人も無事か分からないが、私だけで逃げ帰ってしまった。
やるべきことは今よりも強くなること、そして2人を助けに行く。待っていて』
あの日の次の日記、重いものを感じた。
『今日の動きは悪い点が多い。
もう少し魔法での牽制に頼ることをやめ、自力の能力もあげなければ。
身体を上手く扱えていないし、魔剣も扱えるほどMPは多くない、使い方を考えなくては。』
試行錯誤を繰り返している様は、俺の実験ノートの様で親近感が湧く。
『今日、2人が帰ってきた!嬉しいけれど、ジャンパーはもう居ない』
そうだな……この頃は3人だった。
『明日、五十層の守護者を倒す。
みんなでやるんだ……私のこの剣で打ち倒したかったけど、私はディンと魔法で後方支援だ
嫌じゃないと言ったら嘘になるが、勝利の為に』
これが最後の日記。
デクターは毎日新しいことを書き込んでいたから、昔話がひとつもなかった。
残るはディンの日記だけ。




