精霊とカル
主人公の種族……なかなか面倒なものになりました。
「……って言うこと、わかった?」
頷き、理解したことを伝える。
今俺は彼女たちに本を読んでもらっている……幸い、学習能力なら人並み以上らしい。
「へぇー!もうわかったんだ……なら、次は森で生き抜くすべだね
言葉はゆっくり覚えればいいさ」
黄色い少年のような精霊が言う。
「いつか大精霊様にも合わせてあげるよ、きっと驚くだろうなぁー!私たちが見えるなんて!」
そう言いながらも淡々と準備を進める精霊たち。
彼女たちを見ていると、長い髪を腰まで伸ばした白銀の精霊が剣を作り、緑色の精霊たちが……弓?を作っている。
他にも、忙しなく動き続けている。
すこし、彼らを眺めていると白銀の精霊がこちらにやってきて肩の上にちょこんと座る。
「カル……なにか、気になるの?」
鋭い目をした、ツンとした印象を受ける子だと思った。
みんなには『カル』と呼ばれている。
「……あれ、なに……してるの?」
「……もう会話はある程度できるんだ……
君の武器を作ってるの、君が死なないように
せっかくこんなに面白いことが起こっているんだったら、それをみすみすと失いたくないからね」
「あり、がとう?」
「うん、あってるわよ、どういたしまして」
他の精霊たちが
「シガネばっかりずるいー!」
と言っている。
白銀の精霊……シガネに唇をとがらせそう言う
「……ライ、ありがと、う」
黄色い精霊、ライに礼を言う。
「エン、リョク、スイも……ありがとう」
『ありがとう』だけはスラスラと言えるようになった。
赤色の精霊 エン
緑色の精霊 リョク
青色の精霊 スイ
彼らにもお礼を言う。
ちなみに、エン、スイ、シガネが女の子、ライ、リョクが男の子だ。
大抵はこの6人で集まっている。
エンはいつも元気で、スイは少しオドオドしていることがある。
ライもエンに負けず、元気だ、リョクは物知りで色んなことを知っている。
みんな、大切な友達だ。
「……なんでニヤニヤしてるの?」
「ニヤニヤ?……って、何?」
「……あんな感じの顔をしてる人の事よ」
シガネがスイを指さしてそういった。
それに気づいたスイが少し焦った顔をして
「な、なんですか!?」
「あー、別に悪口言ってないから
ニヤニヤしてるっていうのがどういう顔のことかを教えてたの」
「そ、そうでしたか……カル君、私も何か知らないことがあったら聞いてくださいね!」
「うん、ありがとう」
「はいっ!どういたしまして!」
それを見ているシガネやエン、ライ、リョクが……ニヤニヤしている。
ああいう顔のことか、ニヤニヤというのは。
【精霊】
精霊には大きくわけて4つ、種類が存在する。
1番小さな手のひらサイズの『子精霊』
小さな子供程の大きさの『精霊』
人間の大人に相当する大きさの『大精霊』
精霊の最高位『精霊王』
彼らは総じて『姿が見えない』
もしも精霊が見れたとすれば……白昼夢か、もしくは精霊との親和性が高いかのどちらかだろう。
もっとも、精霊の言葉を解したり、顔をくっきり見たなんて言う事例は存在しない。