力の真髄
「作戦は!ただ上回る!『俺は摘み取るもの』『終末論を綴るもの』『悪夢となり飲み込む』《限界突破》」
「出ましたね!あなたの不確定要素!」
「……なら、私も出し惜しみしてられないな……『活路は前に!』『世界の夜明けを迎える者は!』『その資格に勇気を求めた!』《勇敢な者》!」
「あなたのそれは見覚えがあります!」
そう言って距離を詰める俺を横切り、竜の姿をしたサクラに正面からぶつかりに行く。
「あなたのその能力の効果は!『基礎能力の向上!』違いますか!?」
その瞬間、俺のすぐ横を何かが高速で飛んでいく。
そしてサクラが笑いながら言う。
「違うな、私の力は……無理を押し通す力だ」
吹き飛んだ何かの方を向き直ると……フレイがいた。
「……なんですかそのデタラメ能力……騎士は呪術無効、探索者は超強化、竜は無理難題、獣人は腕力が桁違い……こうなったら……《聖なる落し物》」
そう言って手を胸にかざし、淡く美しい光が身体をおおっている……
「行きますよ……私の魔法を……!《聖弾》」
ただの基礎的な魔法の弾、剣をかまえ、弾き返して前へ突き進む……そうインプットし前へ走り出す。
「……は?」
バシュン……と嫌な音が左から響く……弾が早すぎる……!
「……り、リーダー……左腕!」
「?……っ!?なっ!?いだっ!?っうぐぅうぅ!?」
左腕が肘から先にかけて吹っ飛んでいる……!?
「うぅん、その怪我の仕方彼を思い出しちゃいます……また、遊びたくなってきちゃいました!」
こんな危険な遊び何度も何度もしてたまるか……痛てぇ……血が止まらねぇ……!!
「……せめて……止血を……!」
固有スキルのおかげでほとんどノーモーションで行える体の変質化……髪をのばし、その数本で血管を締め付ける。
「……完璧にとはいってませんねぇ」
「……なんだよあの魔法……無詠唱で撃っていい魔法じゃねぇ……!」
俺の《水弾》じゃお話にもならねぇ……!
「大丈夫か!?カルカトス!?」
「うん!……だ、大丈夫!!」
《限界突破》の大切な使用時間を無駄にする方が大丈夫じゃねぇ!!やらないと!
「『再生しない』意外と大変ですよねぇ?」
「おい人間!」
テクテクと歩き出す俺を引き止めるサクラ
「みんな……ワガママ言ってもいいかな?……俺に合わせてくれ……ドラゴン……」
「……なんだ?」
「……『合わせてみろよ』」
「っっっ!!!……やってみろ……私が合わせられないことは……ない!」
「……皆、俺を頼む」
限界を超えた速度で走り出し、限界を超えた勢いで剣を振る。
「はははっ!私に攻撃は聞きませんよ!」
光の剣が身体に触れかける……その凶刃が当たれば次は死ぬだろう……だが、回避は考えない。
「どらぁ!!……いいとこなかったからなぁ!俺だけ!」
頼れる仲間がいるからな。
「片手じゃ私には勝てませんよ!」
「なら!俺は!さらに積み重ねる!!」
「?」
「……マインさん!力を今だけ貸してくれ!!」
アイテムボックスから輝石を取り出す……以前から考えていたことを……ここでする。
「……まさか……!?」
「そのまさかだ!輝石を……取り込む!!」
「やめなさい!?自殺行為です!!?」
右の掌から輝石を喰らう……白い光におおわれて、違う場所に来たかのように感じる。
「……ここは……?」
「お元気でしたか……以前よりは体調が良さそうで何よりですよ」
「!あなたは……!」




