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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄?そんなのどうでもいいです
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五十層の試練

「……さぁ、始めましょうかぁ!?」


 手のひらをこちらに向ける、そして魔法を無詠唱で発動してきた。


「『聖呪』〈再構築(リヒール)〉!」


「……は?」


 その魔法は、白魔法にも存在する〈遅効回復(リヒール)〉の名前だ……効果は俺でも覚えてるし、使えるぐらいのものだ。


「持続回復魔法……?」


「奇しくもここにいらっしゃる皆様はほとんどが人外!だーかーらぁー!魔法をかけた!」


「寄りにもよって〈遅効回復〉か」


「えぇ〈再構築〉です」


 そう言うとまた手をこちらに向ける。


「!距離を詰めるぞ!」


 生憎こちらは全員が近接、魔法使いが1人なら全員で詰めて叩けばいい。


「『聖魔法』《崩壊光(ライトパニック)》!」


 手を地面に向け、光が爆発する。


「っち!浅はかすぎたか……!」


 かすり傷をいくつか負ってしまった……が、距離を詰めたことも幸いして、この中で一番リーチのあるサクラの大剣もフレイに掠めた。


「!掠っただけでもこの威力!空恐ろしい!この先が不安になってきましたねぇー」


 手をかざし、ただそれだけで傷が言える様は俺の治癒力を彷彿とさせる。


「……?あれ?」


「どうした人間!?」


「サクラ……傷……俺たちの傷が癒えてない!」


「んなっ!?た、確かに……人間!白魔法だ!」


「あぁ!『白魔法』〈治癒(ヒール)〉」


「……な、治らない……」


 おそらくポーションも無意味……!


「当たり前の!事です!」


「っつ!?」


 動揺している俺に真っ直ぐ飛んできて掌底を腹にめり込ませる……


 並の体術じゃない……聖魔法で強化を?


「さ、ら、にぃ!〈ホーリーブレッ〉……!」


「大丈夫か!?カルカトス!」


「っがはっ!だ、大丈夫……ありがとうラング」


 止めて貰えなかったら危なかったかもしれない……!


「ちぇー『ウェイスさん』と同じ殺し方にしてあげようとしたのに」


 殺されるところだったのか……


「……いやまて、ウェイスとは誰だ!?」


「?デクター?」


 激昂した様子で怒鳴る。


「あら?ご存知でしたか?ウェイス……あぁ、あなたがたには『ジャンパー』そうなのっていましたね」


「……なん……だと?」


「ジャンパーさんの本名、それはこの私の『擬神の目』にかかればちょちょいのチョイで一目で分かっちゃうんですよ」


 こともなさげにそう言う……つまりこちらの能力はダダ漏れか……!


「……デクター……!?」


 デクターが俯いている……


「……やっぱり、ジャンパーはウェイス君だったんだ……!」


「知っているのか……!?……!デクター!危なっ」


 また、不意打ちで今度はデクターに襲いかかるフレイ。

バスンと軽い音と、大量の血が飛び散る。


「……それさえ分かれば十分だ……!私は2人の大切な人の仇を!とる!」


「痛いですねぇ!」


 右手を切り飛ばす……また手をかざしただけで元通り。


「『呪術』〈異常興奮(オーバーテンション)〉!」


 血が全て消え、そして黒いのに明るいという矛盾を孕んだ光を辺りに放つ。


「私の血は高級ですよぉ!」


 その瞬間、胸が高鳴る。


「っ!?な、なんだ!?」


 バクンバクンと心臓の音が近くに感じるほどに大きい。

その勢いでそのまま出血量も増えていく……!


「あぁあ!!」


 デクターが突き進む。


「まてっ!デクター!」


 落ち着きを保てない……!


「ははっ!かかりましたねぇ!」


「デクタァー!」


 そしてまた血が飛び散る。


「……っ!」


「……不意打ちなどと卑怯な手を使ったのは騎士らしくはない……が!今の私は仇をうちに来ている!正面からそんな呪術跳ね除ける!」


「そ、そんなデタラメな……はははっ!あなたがまさかの!ダークホースでしたか!厄介とは思っていましたがサクラさんやカルカトス君に比べて劣ると考えてしまっていた!」


「くだらん事を!」


 袈裟型に切られた胴はまたすぐに治る。


「あの治癒力厄介だな……!」


「……」


「サクラ……?」


「っふー!っふー!……あぁ!?なんだ人間!?」


 息が荒い……まさか


「!落ち着けサクラ!」


 ラングさんがたしなめる。


「ラングさんの言う通り!ここは落ち着け!」


「……分かってる……!わかっているが……!!」


「……『水魔法』〈水弾(アクアバレット)〉」


「わぷっ!?冷た……!何をする人間!」


「落ち着けよ、負けるぞ?」


「っ!言わせておけば……!なら貴様に勝つ方法があるとでも!?」


「むしろお前にないのか!?ブレスをバンバン打てばあいつを焼き尽くせば!勝てるだろ!?」


「あっ、まてっカルカトス!それ禁句!」


「へ?」


「……っううぅ!!!言わせておけばァ!?

私とてブレスをバンバン撃てるのならとうの昔に撃っておるわ!」


「……サクラは熱を内包する体質で撃てば撃つほど火力は高まり、そして体温も高まって倒れてしまうんだ」


「そんな話聞いたことない……!」


「前例がないからなぁ!?」


「そして体温が高まると、性格の沸点も近くなる……今みたいに鼓動が高まっている時なんかは特に顕著に現れる」


「……なら!俺がお前の熱の放熱機関になってやる!お前が俺を装備しろ!道具だ!それで撃ちまくれ!体温の上下設定は俺がする!」


「……いや!いい!私は私でやる!」


「はぁ!?負けるぞ!?意地はるな!」


「まだ負けたと決まっていない!早計がすぎる!お前も焦りすぎだ!人間!」


「!……っ!分かった……落ち着いてもう一度やり合おう」


「そろそろ私も動いていいですかね?」


「あぁ、待ってもらって悪かったな……行くぞ!」


「作戦は!?」


「作戦!?作戦はこうだ!」

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