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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄?そんなのどうでもいいです
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五十層 怪物

「……わかったな!?」


「だからヤダって言ってるだろーが!?人間!!」


なんだ?言い争っている……


「お前負けたいのか!?やるしかねぇの!!」


「そんな行き当たりばったりな考えに乗る気は無い!」


「わからず屋!」


「……喧嘩せずになんでもいいからやれぇ!!」


 ラングに頭を強く叩かれる。




「……ん?どうした?人間」


「……いや、なんでも……」


「?体調が悪いのか?軟弱者が」


「ちげーよ……」


 なんなんだ?今の


「……よし、着きました……皆さん、お願いしますね」


 皆の顔を見回す。

ここにいる猛者達と共に『白夜之暁(ビャクヤノアカツキ)』を殺す。


 4本の足、炎のような皮がビロビロと空を舞う。

頭は獅子を彷彿とさせるたてがみ、しかし顔の位置にあるその球体の中にいるフレイ。


「初っ端から全力で飛ばすぞ!」

 サクラがドラゴンの姿に戻り、そしてその背にラングを乗せる。


 そのドラゴンの影と共に全員が五十層に足を踏み入れる。


「援護はみんなに任せて、我々も前へ!」


「はい!」


 アーガンさんがこのレイドのリーダーをしてくれる。


 空を飛べる者は皆サクラの後を追う。


「『空総べる種の頂点』『厄災と交わらば』『力は重なりあう』《悪夢魔術(ナイトメアマジック)》〈天翔る厄災竜(カルラドラゴン)〉」


 無の魔力の抽出は今はできない……あの時の1度きりだ。

だから今発するのは水の魔法。


 黒い竜のその羽はカルラド・ボルテのようなものだ。


「それが作戦会議で言ってた新しい翼か!」


「あぁ!そうだ!」


 そのままの勢いでサクラを追い越し、球体に突進する。


「流石に割れないか……!」


 ヒビや傷のひとつ入ってくれよ。


「ラング!投げるぞ!」


「あいよ!」


 グルンと一周回り、ラングを投げつける。


「粉々にしてやる!」


 無事に当たったが……凄まじい音もしたがヒビがひとつ入った程度……とても小さい。


「っがああかっれ!」


 何かを叫んだその時、ついに動きだした。


 前足を持ち上げ、足の裏の刃を踏み鳴らす。

地面にいくつも穴を空け、そして皆を踏み荒らす。


 炎のような皮がこの階層を包み込む。

そして光が1つ、跳ねた。

皮にあたり反射し、そしてまた飛んでいく……


「……どんどん加速していく……」


 それが増えていく。

凄まじい速さで光の線がどんどん増えていく。


 その間も絶え間なく下でも上でも攻撃をしているのに怯む素振りひとつない。


「ガオォオアォオアン!」


 そう怪物が吠える。

光は爆ぜ、爆風が辺りを包み込む。


「っづ!あっいって」


 下の方にもクレーターが出来上がっている……目の前の怪物がぐらりと揺れた。


「怯んだ!?」


 そう声を漏らし、痛む中喜びを声に出す。


「やっとか!」


「効いてま………す……よ?」


 下の皆に声をかけようとそこは真っ暗な穴が拡がっていた。


「……まさか……救助を!」


「ファクト!テイル!アーガン!!」


 アモラスさんが急降下、それに合わせて空を飛んでいる全員が救助に向かう。


 俺以外の全員がだ。


 アーガンさん、グリーズさんたちは壁に剣を突き立てて、ファクトさんはアモラスさんが、フロウさんは風で自分とランさんを助けている。


「デクター……任せた」


 眼下に広がる宝石の大地。

それが見えればもう安心だ。


「フレイ メイ テンス!今!ここで殺す!」


 カルラド・ボルテの疑似推進力と巨大な翼の先に着いたハウルでヒビを突き穿つ。


 バリンと碎ける音、弾かれる剣の感触。


 そして霧散する『白夜之暁』


「よしっ!」


 アーガンさんと目が合った。

あの人も怪物レベルに強いな……


「まさか破られた!すごいですねぇ!」


「フレア!?」


 口を開き声を発した……流石に終わらないか!


「はい!『フレア』であり!『フレイ』です!!『フレア メイ テンス』でも『フレイ メイ テンス』でもない!《五十層の守護者(フィフスガーディアン)》『フレイ』です!」


 霧散していくその光が五十層の地面を形作っていく。

不味い、分断される!


「カルカトス君!」


「!はい!?」


 アーガンさんの声だ。


「君たちが希望だ!」


 その目は輝いていた……英雄を見る少年のような瞳だ。


 そして、手を合わせ、一人の人間をこっちへ飛ばそうともしていた。


「デクター!?」


「リーダー!今行く!」


 地面が完璧にでき上がる少し前、デクターとサクラとラングが五十層に、登りきった。


「リーダー!下はモンスターの処理で忙しい!」


「そうだ!俺たちでやるしかない!」


「人間!やるぞ!」


「4人も残りましたか……まぁ構いません!」


「……俺が……俺たちが勝つ」

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