急募 実力者
「……!!か、カルカトスだ!!?」
迷宮の入口に立つ見張り役の騎士たちに驚いた顔をされる。
「ディンもいますよ……ちょっと失礼、ギルドまで早く行かないとなので」
「し、失礼、どうぞ」
街ゆく中、人々はジロジロと遠慮なく見つめる。
多分、死んだと思われていたんだろうな。
「……しつれい……」
「は?……カルカトスゥ!?」
大声でギルドにやってきた俺を迎え入れるのは。
「!び、びっくりした……悪いな、ラング」
良き友の獣人ラング。
「?竜族のアイツは?」
「2階でギルマスと話してるさ」
あたりの人達はぽかんとした表情だ。
「アリーさん、どうもただいま、ディンもいます」
「あ、はい……ええっと、おかえりなさい、無事で良かったです」
掲示板にはやはり、デクター以外のカルカトスパーティーの全滅が示唆されていた。
「『調子に乗ったルーキーの末路』か」
新聞の一面を声に出して読む。
「……ラング……!!?人間……おまっ!?」
「よぉ、お前」
振り返りながらニヤリと笑い、目を合わせ、睨み上げる。
「おま、お前生きて……はぁ!?なんでぇ!?!?」
「ひでぇな、生きてちゃ悪かったか?」
「ち、違う!ちょうど今お前が生きているかもしれないという一縷の望みにかけてだな!?この!私が!ギルドマスターに直談判しに行ったのだぞ!?救助隊の派遣と、先導と!あと数名の実力者を集めている所で!2日待っても進展が無くて!文句を言いに来てたところだったのだぞ!?」
怒涛の勢いで詰め寄り、胸に指を突き刺し、壁に押付け、睨みつけられる。
「お、おう、それはすまん」
こいつともたまに酒を飲む中だ……たまにな
「んでっ!これで救助は行かなくて済みそうだな、どする?サクラ」
「どうする……どうしたものか………うぅん……」
顎に手を当て、唸り、椅子に座る。
それに合わせ、ディンを座らせ、俺も椅子に座る。
「そう言えば、迷宮は?」
「ん?あぁ、今はそんものどうでもいい、助けるのが意外と楽しくてな」
「……え?お前……ラング!?こいつに何食わせた!?」
「あぁん!?どういう言い草だコラァ!?私をなんだと思ってるんだ!?」
「自分以外の全ての他者を見下す厚顔無恥の権化ドラゴン」
「ぬぅわぁにぃ!!?」
「至って正当な評価だ!」
立ち上がり指を指す。
「全くもって不当な評価だ!」
立ち上がりその手を払う。
「お前ら仲良いよなぁ」
「「良くない!……あぁ!?真似すんな!……真似するなって!!?」」
「ははっ、ほら」
なんて掴み合いをしていると扉の開く音がする。
「騒がしいな……何事だ……カルカトスくん!?」
「あ!ギルマス!ただいまです」
「あぁ、お、おかえり……長年冒険者をやったり見てきたりしたけど死んだやつが帰ってくるのはそう見ないな……」
「何度かあるんだ、そういうの……」
そんな声が聞こえた気がした。
「ま、とりあえず帰るデクターのこともあるからな、ギルシュさん、五十層の守護者はあいつです、強者をお願いします……レイド形式での討伐を検討して頂きたい」
「……相変わらず君は私を困らせるなぁ……話と随分違うが、それであっているのだろうね、わかったよ、手配しておく
あと、件のデクターさんは修練場にいるよ」
「へ?修練場?なんでですか?」
「更に強くなるためだとか」
「俺も一回やったぞ!気迫が凄かった!」
「……ちょっと俺もやってみようかな」
仮面に少し絵をつけたし、声帯と身長を少しいじる。
「よし、これでちょっと戦ってくる」
「……サプライズって訳か?」
「ま、そんなところだ、多分びっくりするぞ」
ジャンパー、お前はめそめそしてる俺らを見てたらあっちに逝けねぇだろ?
リーダーからの最後の配慮だ、手向けに一勝負見ていけ。




