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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄?そんなのどうでもいいです
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五十?層 同類

「……動けるようになってきました、ありがとうございます」


「良かった、無事そうで」


 とは言っても致命傷が重症になった程度だ。

骨折も、足こそちょっと治ったが腕が折れていたり、いちばん酷いのは背骨の骨にヒビが入っていたこと。


 そのせいでまともに体を動かせない。


 その背中のヒビも治って、足も動かせる……ここから位置を変えることも可能なわけだ。

逃げることが、可能になったのだ。


「さ、上で待ってるデクターのためにも行きましょう、リーダー」


 と、やる気だ……が


「まだダメだ、俺が当たりを見てきて、対策を完璧に練って、そして行こう

慎重に行くんだ、ここは俺たちのレベルに多分あってない」


「……そうね、デクターならきっと生きてますからね」


「なんやかんや言って生きてそうだよな」


 笑い声が響く。

ま、きっと逃げ切ってくれているだろうな。


 そして、地上の人達にこのことを上手く伝えてもらって……討伐隊でも組んでレイド形式で殺そう。


「それじゃ、下見に行ってくるよ」


「はい、気をつけてくださいね」


 こくりと頷き、そして息を潜め、奥へ歩く。

目指すは1つ上への階層へ繋がる階段と、そこへ至るまでのルートの暗記。


「……おかしい……」


 何もいない。


「ナ……ナニ……ナニガ……オカシ?」


「っ!!?」


 背後から聞こえた声に振り返る。


「っつっ!?」


「コ、コンバ、ニチハ」


 鳥のような頭、蛇のような胴体、鹿のような細く長い足、魚のようなヒレと鱗。


「キメラ……!?」


「オ、オハヨ」


 挨拶してるのか?


「お、おはよう?」


「オハヨ!オハヨ!」


 カラスみたいなやつだな。それともオウムか。


「な、なんだよ」


「アナタ、アナタサマ、ナカマ」


「……仲間……か」


 キメラ呼ばわりされてるわけか、鳥目のくせに、いい目をしている。


「じゃあお前に質問だ、誰がお前を作った?」


 キメラが自然に生まれることは無い。

ましてや俺と同類なら、作者がいる。


「メイキュウ!」


 迷宮が作った……?生成物か?


「お前は人間を襲うか?」


「ワカラナイ、フメイ、リンキオウヘン!ケースバイケース!」


 それは怖いな、ディンの事を傷つけられるのは困る。


「ここは何層?」


「ゴジュウゴ!」


 そこまで把握できるのか、それに五層分も落ちたのか、通りでボロボロになるわけだ。


「んじゃ次だ、上の階に上がるまでの最短ルートは?」


「トベ!トベバ!?ウエニ!」


「!それだ!」


 盲点だった!確かに空いた穴から飛んでいけばいい話じゃないか!?


 ディンぐらいなら担いで飛べるし、それで上に行こう!


「なら、最後の質問、なぜ俺にここまで情報を開示する?人型じゃないくせにえらく饒舌じゃないか」


「ソレハ!アナタサマガ!ジョウイノソンザイ!ウエ!」


「キメラ界隈の上下関係か?」


「ソンナカンジ!」


 そうか、俺は上の方なのか。


「ある程度のキメラとは戦わなくて済みそうだな……」


 ボソリと呟くと、それを聞き取り、返事をするキメラ。


「ワカラナイ!アナタサマヨリウエカ、クライノワカラナイバカモノハオソッテクルカモ!!」


「そうか、ありがとう」


 このことをディンに伝えて、そして上へ上がろう。

そのためには、ゆっくりと体を休め、万全の状態で外へ行こう。

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