光明
「……私へのプレゼント、ありがとうございます」
「……ジャンパーを……よくもぉ!!」
剣を抜き、ハウルで切り掛る。
体を覆う光の粒が、ハウルを弾いた。
「はぁ!?」
「これは演出じゃありませんよ、私の防御魔法……さようなら、今度こそ」
剣を作る……構え、守る。
デクターはジャンパーに駆け寄り、腹に穴の空いたジャンパーの手を握りしめている……もう、無理だ。
ディンは動揺している。
俺が食い止め、そして逃がそう。
そんなことを考えていると、刃が振るわれた……その刃の矛先は、自分だった。
「……じ、自害……?」
ありがたい、このまま倒す手間が省けるというものだ……
「あ、あは、あははははっ
何を安心しているんですかぁ!?」
「!まだ話せるのか……!?」
「私の未練は!『まだ解消されていませんよ』!?」
「は?……あ」
思い出した言葉、そして、変貌を始める。
「さようならの意味、わかりましたよね」
「ふざけっ!逃げろ!まずい!はやく!!」
「『私は嘘を本当にしますよ』」
目から光が消え、防御の光の粒も消える。
「早くぅ!早くしろ!逃げてくれ!!!」
ディンが、こちらを向き、デクターの元へ行き、そして手を引き逃げる。
引きずられながら、ジャンパーを見続けるデクターを横目に立ち向かう。
振り返ると、そこに居たのは、化け物だった。
「……こ、これは……〈暁之空〉!?」
いや少し違う。
色の振り分けが違う。
赤いところが白い……〈白夜之暁〉とでも呼ぼう。
そのデカさは天井スレスレまでに達している。
「っつああがあ!!」
「頭がある!?」
無いはずの頭……黒い球体の中にはフレイがいる!
「あれが核か!」
身体を水に!今まで積み重ねた《悪夢魔術》と共に!
上り詰め、剣を振るう。
ガキンという音ともにまた弾かれた。
「ハウルだぞ!?」
俺の方には見向きもせずに、足を振り上げる。
その足の底から、光の剣が伸びている。
とんでもなく大きい。
その矛先は……あの3人!……2人のいるところ!
「デクター!ディン!置いていけ!逃げろ!避けろ!」
「そんなのできない!」
「デクター……!言うことを……聞いてっ!」
っくそう!デクターはジャンパーのことを気に入ってたからな……!
振り下ろされるまでに余裕はあまりない……急いで着地し、そしてデクターを押し飛ばす。
「〈虚空弾〉!」
削ることに特化したディンの魔法が剣に当たる。
「さいせっ」
その言葉の続きを聞くことは出来なかった。
剣は地面に達し、俺たちごと五十層をふみ砕く。
間に合わないことを察して、ディンを身体でおおってせめて守る。
俺は踏み潰さたその瞬間、僅かに覚えていたのは……剣の亀裂に落ちていくのと
同じように血だらけで、意識を失っているディンの僅かな呼吸を腕の中で感じていただけだった。




