2階は未知の世界
「……これが個室か……!5つある!」
「あぁそうだ!階段を挟んで右の2つが男!左の3つが女!
男性陣の一番端には書斎がある!本はまだひとつもないが今後埋めていけばいいんだ!」
「おおぉ!!夢があるな!!」
「だなっ!それじゃ次は屋根う……ら……」
1枚の紙が目に入る。
「?どうしたんだ?」
「ジャンパー?何してる?」
「ん?あぁ、自室の整理をな、どうよ、このポスター」
「ぽ、ぽすたー?いや、それ……」
ボロボロの紙をポスターと言い張る。
「それ……手配書だろ『クロン ウェイパー』の」
「ん、よく知ってるな、リーダーは戦ったことあるんだっけ?
俺あの人に憧れてんだわ、すげぇ強かったらしいじゃん?」
「だな、すごく強かった……その手配書どこで?」
「わかんねぇ、俺ん家探してたらあったわ」
「へ、へぇ?」
こいつってもしかしてクロンと近しい人間なのかもな。
「ま、いっか、屋根裏行ってくるわ」
「あいよ」
既に降りているハシゴを上がり、屋根裏部屋に行くと、フレイさんがいた。
「屋根裏部屋、どうですか?」
振り返るとニコッと笑いながら
「最高です!私はここの部屋をお借りします!」
このことは以前から決めていたことだ。
「えぇ、どうぞそうしてください。
アイテムボックス貸しますから、それで物の運搬はしてくださいね」
「はい!ありがとうございます!」
そのあとは、書斎で空っぽの本棚を眺めてニヤニヤしているディンと話して、庭に出る。
「さて、お前たち、家の中は一通り見たな?」
皆、首を縦に振る。
「なら、お前たちはこう思ったんじゃないのか?『何か足りないなぁ』と……『思い描いた家にしてはやけに物悲しいな』と!!」
同じように首を縦に振る。
「なら!今!ここで!決めよう!自室のプランを!マイルームの名に恥じない!自分の部屋の!その設計図を!」
そう言って、庭に面しているリビングの窓を開け放つ。
「紙とペンは用意した……心ゆくまで練るといい!俺もそうする!
そして!リビングやシャワールーム……いや、バスルームの形を考えようじゃないか!」
そう言った瞬間、窓の中に、リビングへ消えていく。
「カーテンも、決めようかな」
同じように後を追う。
「なぁ、ベットどうするよ?」
ジャンパーが話を振ってくる。
「ど、どうするって、何が?」
「いやよぉ、ノーマルベット、2段ベット、敷布団、椅子のタイプとかもあるらしいじゃん?ハンモックとか、どうしよっかなって」
一同あ〜と言ってジャンパーの話に深く頷く。
「俺は2段ベットに決めた!高いじゃん!?」
ジャンパーらしい。
「私は……敷布団に決めたぞ!
朝起きたあと、布団を畳むのはいい目覚ましになる!」
そういうことを面倒くさがらないのは流石、デクター。
「私は……身体が弱いから、いつでも運んで貰えるようにノーマルかな」
「自分を第一にしてもいいんだぞ?」
「……椅子……」
きっと本を読みながら、ディンは眠るんだろう。
「私はもちろんハンモック!せっかくの屋根裏なんですし!」
キラキラした目で聖女は言った。
「俺は……そうだなぁ……布団かな……ふかふかしてるし」
「布団か、リーダーにあってるかもな」
「お揃いだな!リーダー!」
「……布団人気ね」
「いいんじゃないですか!?」
ありったけの金を持って、街へ繰り出す。
「さ、お買い物開始だ」
カーテンは各部屋各々決め、リビングの分は朝と夜の区別のつけやすい遮光に優れたカーテンを探そう。
バスルームはデクター、キッチンは俺、書斎はディンが部屋の大まかな形を決める。
とは言っても、バスルームは女性用のシャンプーや、石鹸を、後は洗剤とか。
キッチンは調味料や具材。
書斎はディンのおすすめの本を沢山持ってきてくれる。




