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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄?そんなのどうでもいいです
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創造主 シュプ フング

「……頼む、グリム」


「うん、任せて」


 肩に手を触れ、転移の魔法に乗る。

光に包まれ、目を開くとそこは見慣れた孤児院……の実験場。


 四方が無骨なねずみ色の壁で覆われている訓練用の実験場。


「おかえり、2人揃って帰ってくるのは珍しいね」


 声がどこからが響く。

この声はシュプ フング……魔法生物学第一人者。

スクールでも引っ張りだこの人気者。


 俺たちを作り、俺たちを弄び、俺をいじくった張本人。


「じゃ、あとは頑張ってね、カルカトス ナイトメア」


 転移の魔法で消えていく。



すぅーっと大きく息を吸い、大声を出す。

「シュプ フング!今から貴様を殺しにいくからなぁあ!

何十年の雪辱を今!ここでえぇえ!」


「それは別に構わないよ!君という完成品の更なる進化のために試練を用意し、そしてその進化の礎となろう!!」


 そういうと、辺りの壁から染み出す失敗作たち。


「やっぱり結構失敗してるんだな!!」


 怒りだけがにじみ出る。

俺を、俺たちをなんだと思っているんだ……!


「実験に失敗は付き物!実際君という成功失敗作もある!」


「自我を持ったのがそんなに気に入らなかったか!?」


「自我は結構!その反骨精神がダメだね!」


 そう言うと一斉に襲いかかってきた。


 動きはのろく、読みやすい。

ハウルの力を借り、切り捨てていく。


 飛び散る鮮血はペンキをぶちまけたようにカラフルで、嫌なものを思い出させる。


「うぅん!失敗作如きでは傷どころか息切れすらしないか!やはり恐ろしい速度で成長している!!」


「うるさい!早く降りてこい!殺してやる!!」


「ははっ、今の君じゃまだ殺せないよ」


「なんだとぉ……!!」


 まずい、落ち着かなければ、怒りに身を任せるな……


 『先代』カルカトスはどうやった!?

『近代』カルカトス ナイトメアよりも弱いのに強かった……!それは何故か!


「楽しめていたから……か」


 毎日が楽しくて、ただただがむしゃらに前に進んだからだろう。


「なら次は合成生物……モンスターベースの化け物と戦ってもらおうかな!」


 筋肉が異常発達したオーク。

本来1つの頭のはずのオオカミが3つの頭を。

体の割に核の小さいスライム。


 それだけじゃない、ほかの生き物を足し合わせた化け物だって山ほどいる……


「俺もか……」


 なら、こいつらをさっさと殺してしまおう。

無理な合成は極端に寿命を縮める。


「こい、兄弟……いや、息子か?娘か……孫かもな」


 なんにしても俺の血が混じっているのは当然だろう。

なんて言ったって成功作だからな。


 複製椀を4本作り、6本の腕を持つ。


「多椀の猿の真似事か!悪夢魔術(ナイトメアマジック)やはり興味深い!!」


 今の俺は、人として立っていない。

化け物としてここにいる。

更にこれを超えた化け物になっても構わない、ここにいるヤツらは俺を軽蔑したりしないから、全力で行く。


「!!……っ!なんなんだい!?そんな化け物見た事ない!!」


 だろうな、今の姿は想像上の化け物、絵に書いたような存在。


 人の手から人の手が生え、その先から足が生えて目もあって、爪も牙も、生物のパーツをぐちゃぐちゃに合わせた化け物。


 硬質なものに変化し、そして水との同化を試みる。


 ドプンと身体が水になる。

化け物の質量そのものがまるっと水になる。

その水は俺の体の一部。掌の上、胃の中、全てが手に取るようにわかる。


 溺れない生き物は風魔法や、水魔法で処理を続ける。


 その中で更に魔法のきかない者には体の一部を別の生き物に変化させ襲わせる。


 巨大な水槽となったこの実験場で全て飲み込み、元の体に戻る。


「シュプ フング!!これで十分だろう!?早く来い!」


「まだまだ足りないね!君にはまだ!」

やっとこさシュプ フング戦。

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