アクセサリー店ミットアイン
「わお、これはこれは……打って変わって重々しい雰囲気だな」
ミットアイン、看板は無骨で飾りはないが、なんだろう?だからこそ引かれる。
「このお店はアイアンアクセサリーのお店みたいね、うちのメンバーの一人がこういうの好きみたい」
「へー」
扉を開ける。
チリンチリンと音はならず、ギィと音がなっただけだった。
「……いらっしゃい」
スキンヘッドの男が腕を組み、椅子に座っている。
横の看板には『オーダーメイドやってます( *´꒳`* )』と書いている……少し吹き出しそうになった。
「アイアンアクセサリー……か……たしかにかっこいいかも」
ピアスや、ネックレスまである……なかなか迷う……どれもいいな。
「せっかくだしさ、さっき買った服に合いそうなやつ、お互い選び合う?私はカルカトスの選ぶからさ、カルカトスは私の選んでよ」
「お、それいいな、面白い……やるか」
まぶたの裏に浮かぶフロウのさっきの姿を刻みつけ、ものを眺める。
「……お、これいいな」
名前は……チョーカーって言うのか、これいいな、似合いそう。
「これ、お願いします、あと、クーポン」
「あいよ……4000フォルだ」
白銀貨を4枚だす。
「ん」
「へ?」
「クーポン……」
1枚紙を渡された。
中を見回すとフロウは見当たらない……外に目をやると待っているみたいだ。
「ありがとうございます、それでは」
「またこい……」
「カルカトス、遅かったね」
「ごめん、思ったより時間かけてたみたい」
「いーよ、それじゃ、せーので出そっか……せーのっ!」
紙袋から取り出す。
「……指輪……?いや違う……ネックレス?」
「こっちは……ち、ちち、チョーカー!?」
「?どうしたんだ?アレルギーだったか!?」
「い、いや……そういうのじゃないけど……あははっ、ありがと」
少し顔が赤く見える……チョーカー好きだったんだな。
「ネックレス、つけてみるね」
首の後ろに手を回してつけようとする……が、初めてつけるせいか手間取る……
「ふふっ、後ろ向いて、私が着けてあげる」
「お?そうか、ありがとう」
後ろを向いて少し屈む。
「……よし、これでいいかな……苦しくない?」
「うん、ありがと……ふふっ」
「?どうしたの?」
「いや……人からなにかプレゼントしてもらうのって嬉しいなって……なんか笑顔が零れてくる」
そういうと、フロウは
「私もよ、チョーカーありがとうね」
「こちらこそ……次、どこ行く?」
「それがまた、クーポン貰ったところと同じなのよ……もうそろそろ日も落ちてきたし、このメモにも夕方に行くように書かれてあるのよね、だからちょうどいいかな?」
「アインワイン……なんか聞いたことある名前」
「そう?なら知ってるところかもね」
「ワインか……あんまり飲んだことないな」
「そうなんだ?お酒弱いの?」
「いや?ただ、ギルドの酒場で、安いやつを友達とよく飲んでてさ、それでワインなんてあんまり飲まないんだよね」
「冒険者らしくていいね、そういうの」
「でしょ?」
ふふっ、と笑い合い、沈む夕日の方へ歩いていく。




