ランクアップを目指して
「……まじかよぉ!」
「……か、カルカトスよ、どんまい……まぁ、俺も頑張らなきゃだけどな」
「……私も『大迷宮』行くつもりだっただけに残念……」
「……はっ、やはり私よりも優れたものなどいる訳がない」
落ち込む3人、自尊心高めの竜族の女性。
「……とりあえず、ランク上げから取り掛かるよ、俺は今から仕事受けてきます
ラングさんとヴェーラさんはどうするんですか?」
「俺ももちろん仕事だ!
こっちに来る時にだいぶお金使っちまってな!宿代バカになんねぇし、斧買いてぇしで、やりてぇこと山済みなんだわ、とりあえず、俺のカード登録しといてくれや」
ギルドカードの凄い点の1つはこんな感じで、カードを合わせると、お互いに文字でのやり取りや、時に、顔を合わせていないにもかかわらず会話ができたりと、中々にやれることは沢山ある。
「私も……よろしくお願いします、サクラさんは?どうしますか?」
「はっ、貴様らといた所で大した利点は見つけられん……が、ラング、貴様だけは見込みがある、どうだ?登録してやっても構わんが?」
「なら、お願いするぜ」
そんな感じで、同期の皆と仲良くもなったし、仕事を受けるとしましょうか。
「……あ、こんにちは、本日が初めてのお仕事じゃないですか?」
緑の帽子のお姉さんに仕事を受けようと話しかけると覚えていてくれた。
「覚えていてくれたんですね」
「えぇ、もちろんですよ、新人さんの実力も気になりますし……何よりもあなた、竜に立ち向かって行ったそうじゃないですか『度胸があるやつだ』なんて感じで、あの一戦を見た人にはまぁまぁ評価されているんですから」
「……手も足も出ませんでしたがね……」
「行動することが大切なんです、さ、お仕事ですねー
ブロンズの最初期となりますと……まぁ、無難に薬草採取などはいかがでしょうか?
薬草でしたら、ポーションの材料にもなりますし、あって困るものではありません
なによりも、危険が少ないんですから、新人育成には持ってこいと言うやつです」
薬草採取の利点を山ほど教えてくれる受付さん。
「場所は……あら、『満月湖の森』ですか、ここは確か……」
「奥に行けば行くほど敵が強くなる、面白い森でしたよね」
「えぇ、よくご存知ですね、こちらのお仕事にしますか?」
「えぇ、少しばかりスライムなんかも狩ってきます」
「いい経験になることでしょうね、それでは、カードをお貸しください」
「はい、お願いします」
依頼の書かれた紙の上にカードを置く、すると少し光り、紙に印が焼かれる。
この依頼を誰かが受けているということになる。
「それでは、行ってらっしゃいませ」
「はい、行ってきます」
「まーた森だね」
『なんか縁があるんだろうか?』
そんなことをリョクと話しながら、満月湖の森へ足を運ぶ。
【ギルドカード】
冒険者に皆配られるカード
以来の受注、友人との会話、宿泊先の割引、入国審査の緩和、危険地域への許可が降りたりなど、上げれば山のようにある。
犯罪を冒したもの印が溜まり、3つ溜まるとギルドカードは効果を失う。
現状、世界でも数少ない『人が作れる魔法具』である。




