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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄?そんなのどうでもいいです
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久しぶりのパーティー

 ネルカートのとある監獄の前で、待ち合わせの時間より少し前に着く。


「そ、その……ここって」


「監獄ですね、俺の仲間は犯罪者で……少し前のとある大会で仲間になることになったんです」


「大丈夫なんですか?その人たちは」


「戦って見極めたつもりですよ……あいつらで根っからの悪人になり得るのはジャンパーだけですよ」


「1人悪人なんですか!?」


「ははっ、大丈夫、強いし、悪いやつだけど良い奴だ……諦めもいいし、仲間に欲しい人材だ、俺には無いものを持ってますから」


「随分評価が高いんですね」


「あぁ、その分期待以下なら蹴り出すけどな」


「あら、それは大変そうですね」


 2人でくすくすと笑っていると、堅牢そうな鉄の扉が重厚感のある音を立てながら開く。


「お!リーダー!待っててくれたのか!?ありがとう!」


「おう!久しぶりだな、3人とも……お勤めご苦労様?」


 使い方はあっているだろうか?


「おぉ!ご苦労さまだ!ありがとうリーダー!」


「……ん、ご苦労さまです」


「……みなさん思っていたよりも普通の人達なんですね、私人生で犯罪者の方々と会うのは初めてでしたのでどんな人達かと内心怯えていましたが……」


「ははっ、そりゃあ……俺は別に人殺したわけじゃないしなぁ、ただ盗んだらバレただけなんだよな」


「そういやなんでお前は自分のスキルで逃げなかったんだ?」


「意外と飯が上手くてな、流石は栄えている国だ!それに逃げてお尋ね者になったり……あとは」


 そういうと当たりを見回し、声を潜めこういった


「次の為の布石だ、ネタは隠しておくものだろ?」


「……ね、行ったでしょ?」


 聖女様の方を向きながらそう言った。


「えぇ……懲りてないんですね」


 そういうと自慢げに


「まぁね〜」


 と答えるのだった


「でもお前あの時の戦いでさらけだしたじゃん」


 そうデクターが言うと


「あぁ、アレな、あれが俺の真骨頂だとでも?」


 そう不敵に笑った。

こいつは頼りになりそうだ。


「ところでお嬢さん、あなたは誰なんだい?

ちなみに私の名前はデクターだ」


 そう言いながら手を差し出す


 そういえばなんて名乗るのだろう?


「私の名前はフレイと申します……どうぞフレイと呼んでくださると嬉しいです」


 そう言って手を取った。

名前はそのままで、フレイという一人の人間となるのか。


「……昔の聖女様と同じ名前……いい名前ね……私はディン……よろしく」


「はい、よろしくお願い致します

あなたはジャンパーさんですね、カルカトスさんから聞いています」


「へぇ!?リーダーが?なんて!?」


「パーティー唯一の根っからの悪党と説明されました」


「り、リーダー!?」


「なにか間違ってるか?」


「そ、そんなわけないけど……でもさ、他にもっとあったよね!?悪意を感じるぞ!?」


「なんの事だか」


「リーーダーー!?」


 頭を抱え、オーバーに地面に膝をつく。


「いくぞ、早く立て」


 そう言ってみんなでぞろぞろ歩いていく


「冷たっ!?俺に悲しむ時間をくれないのか!?」


「そんなに悲しみたいなら後でいっぱい悲しませてやるからはやくこい」


「それはそれで嫌だな!?デクター!ディン!お前たちまでどうして!?同じ釜の飯を食った仲じゃないか!?」


「え!?そうだったのか!?ジャンパー!私たちは同じ釜の飯を食っていたのか!?

でも私がボコボコにしたのはその同じ釜の飯を食った騎士たちだしなぁ……」


「デクター……あれはジャンパーの冗談よ、私たちはそもそも飯じゃなくてパンだったでしょ?確かに同じ石窯で焼いたかと言われたらそうかもだけど……」


「って言いながら置いていくのやめてぇ!?」


「皆さん仲良しなんですね、騒がしくて居心地がいいです」


「えぇ、楽しいパーティーになりそうで何よ……」


 最後まで言う前に言葉は遮られた。


「リーダーよ!あの串焼きを所望する!」


 デクターが目を光らせながら出店を指さし、そう言った。


「……金は?」


「ない!出所祝いと思ってくれ!」


「あ!なら俺は酒奢ってくれ!」


「……私は本」


「お、ま、え、ら、なぁ!!??」


 お金を貯めておいてよかった……そう少し思ったのだった。


「いらっしゃい!」


「串焼き5つを頼む!金はこの男が持つ!」

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