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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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王子様を求めて【ミラン】

 私は今ただひたすらに剣を振り続けている。


 1人の童話のお姫様みたいになりたくて、もう一度この世に来たのに、今しているのはまるで前世と変わらない。


 いや、正確には死んでいないから今世でもあるのか……?


「勝者!ワイパー選手!」


 ワーと歓声があがり、対戦相手が握手を求める。

インタビューの質問に答え、挑発的な言葉を振りまき、ヒートアップさせる。


 英雄譚の一ページ……それも、今の私はどっちかといえば主人公側だ。


 主人公に救われる姫ではなく、その姫を救う主人公だ。


 だが、そんなふうに剣を振り続ける意味はある。

あと、少しで……『彼』と戦えるのだから。


 私は戦いが好きだ。

それ以上に、誰かに愛されるのが好きだ。


 だから、その両方を満たしてくれる人と会いたい……会えた。



 なんて楽しいんだろうか?彼とただただ剣を混じえ、ゆっくりと手の内を明かしていくこの戦い。


 契約の都合上、力は弱まっているが……それでも、この昂りは収まることを知らない。


 私の未練はきっと間違いなく、確実に彼が晴らしてくれる。


 その思いを胸に秘め、準備は整った、逆サイドから出てくる王子様の為に立ち上がろうか。


 1つの気がかりは、ここが四十層そのものではないという点かな。


「まぁ構わない。ただただ楽しみたいんだ!」


 彼ともうすぐ戦えるのだ。



 私の剣に対応しながら、あたらしく次々と技を繰り出す彼の姿には驚いた。


 私の固有スキルにも反則とも言える動きで、私の反則に食らいついた。


 ダメだと思って、彼のことを少し、侮ってしまった。


 だけどね、その侮りがあったからこそ……いま、君が立ち上がり、そう豪語する姿が嬉しくて仕方ないんだ。


 あぁ、身体が消えていくのを感じる。

もうほんの数分しか居られないほどに希薄だ……けども!


 楽しくてやめられない、幸せすぎて身体は今も走り続ける。


 彼と私の力の差は、今度は大きく開き、私の負けで幕を閉じた。


 それだけで、私は嬉しかった。


 でも、私に世界を、世界の色を見させてくれた。


 私のスキル『心眼』は優秀だが、世界を『白と黒の濃淡』でしか表せないのだ。


 だから、彼の顔を見て、世界の色を知って、太陽の色を知り、世界にある『黒と白』の色の深さを知った。


 世界はこうも美しく、私はこれを最後に見ながらしねるのだ。


 そして、最愛の人とのキスを……


 おとぎ話的にはお姫様が死んでしまうのはナンセンスだけど、私的には120点以上のものだ。


 私の幼稚で夢物語でしかない『英雄』の人物像は間違っていなかった。


 だって、私の英雄は『誰よりも優しくてカッコイイ人』なのだから。

予想の2億倍は長くなってしまって驚きを私は隠せません。


もっとスマートにやれないものですかねぇ?(呆れ)

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