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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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第5試合 魔法と魔剣

「………そんじゃ、頼んだ!ジャンパー!」


「おまかせあれ、デクター」


「……私は……狙うわ」


「……頼む……か」


 多分、魔法に集中する気だろう。


「『蒼の魔剣よ』『その大河の激流に』『飲み込み巻き込め』〈抱きしめる水(ハグネロ)〉!」


 距離の問題もあるが、一発目は相手に許してしまった……

うねる水が私を捕え、体の自由を奪う。

が、水の魔剣はこっちにとって都合がいい。


 辺りには魔剣に寄せられた水の子精霊達がいる!

仮契約を結び、詠唱を始める


「『水ノ理』『思イハイツモ届カナイ』『デモ』……」


「《絶無魔法(ゼロ・マジック)》〈相殺(リターンズゼロ)〉」


 作ったその魔法が崩れた……?


「そういう魔法かっ!?」


 邪魔する魔法もあるわけか


「『紫色ししょくの魔剣よ』『天をも魅せる輝きよ』『我らが身を守る盾となり』『我が敵を貫く矛となれ』〈溢れ出る宝石(ジュエルパニック)〉」


 地面に剣を突き刺し、私を後目に魔法を作る。


 その瞬間、あの叫んでいた男がこの剣をあそこまで欲していたのかがわかった。


「……宝石……どこから!?」


 いや、答えはもうわかった。

()()()宝石にする魔法なのだろう。


 わかっても、この魔法よ恐ろしさは変わらない。


「準備完了だ!」


 そう言った瞬間、彼女の左目が淡く、一瞬光り、あたりの宝石が剣となり、空中へ浮かぶ。


「了解だ」


 浮いた剣のひとつがこちらへ襲いかかる。


 簡単に弾き、次弾を警戒……いや、ジャンパーは?


「……んなっ!?今のを避けてくるか!?」


「いつの間に後ろへ……!?」


「……《絶無魔法》〈無魔砲(ゼロ・ブラスト)〉!」


「っおぉ!?」


 ジャンパーの刺突を避けたところに間髪入れず、ディンの魔法。


 避けたらまたジャンパーの攻撃とデクターの魔剣。


「《精霊魔法》!!」


「くどいわよ、1度見た魔法……簡単にくずせる!」


 確かに、霧散していくからな……!


「頼む!」


 精霊にひとつ、目で願いを伝える。


「私の魔力ならいくら使ってもいい!」


 不出来な子精霊、維持するだけで秒ごとに消えていくMP。

そんな未完全な存在の未完全な魔法はコスパ最悪だ。


「はーい」


 のほほんとしていて羨ましいなぁ!?


「『水ノ理』『無限ノ回廊ヲ廻ルモノ』『世界ヲ揺蕩ウ彼ノ大蛇』『捻リ拗ラレ渦ヲ巻ケ』《精霊魔法》〈五日目ノ大雨(レヴィアタン)〉!」


 独特な詠唱だ……多人数で不完全を紡ぐのか?

代わりにごっそり持っていかれちゃったな。

だが、その結果は本物だ。


 水の大蛇は私の元にいる。


「力、貸してくれる?レーヴィ」


 親しげに1人の精霊が聞くと


「シュルルラ」


 舌を鳴らし、快活そうに笑う。


「あとは、お兄さん次第だね〜!」


「だねー」


「面白そー!」


「レヴィアタン!?」


「まじかよまじかよ!?ディン!?」


「……私が感知できなかった……まさか無詠唱で……?いや魔法名も何も言ってない……」


「ディン!!」


「っは!?……ごめんなさい、集中集中」


「レヴィアタン……あ、嫌?なら、レーヴィ……」


 レヴィアタンと呼ぶと嫌そうな顔をしたから精霊を真似ると満足そうだ。

意外と人間味のある爬虫類だ。


「レーヴィ!敵を払え!」


「〈宝石壁(プリズムウォール)〉!〈宝石檻(プリズムプリズン)〉!」


 結構無理な魔法を2連続……なら、ここで落としにかかれそうだ。


「『私は摘み取る者』『終末論を綴る者』『悪夢となり飲み込む』《限界突破(リミットブレイク)》!」


 レーヴィがせっかく来てくれたんだ、ここで落とさなければ負けだ。


 MP的にももう魔法は使えない。


「おおぉおぁ!!」


 突進、弾き飛ばし、3人に明らかな手応えを感じる。


 いや、倒せたのは2人かな?


「……ジャンパー、やっぱりお前は凄いな」


 1人、レーヴィから逃れ、私からも逃れている。


「レーヴィ!!」


「《点と点(ジャンプジャンプ)》!」


 そう彼が叫ぶと目の前にレーヴィが、背後にはジャンパーがいる。


 やはり『対象との位置交換』が、こいつの固有スキルの正体だ。


 それをわかっていた私は、拳を振るい、意識を奪う。


「全員……戦闘続行不能……勝者!カルカトス選手!!」


「素晴らしい激闘だ!!血湧き肉躍る!!素晴らしい戦いをくり広げた4人の戦士にもう一度大きな拍手を!!」


「……インタビューお願いします」


「あ、はい……とっても強かった……文句なしで合格かな?」


 そういうとまた拍手が大きく上がったのだった。

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