表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/499

冒険者試験 第1回戦

 試合が始まると同時に、白いドーム状の何かが舞台を包む。


『……あれって何か知ってる?リョク』


「あれは……あぁ、あれは『実戦型安全訓練魔法具(リアリティドーム)』だよ、あの中で死んでも、あのドームの外に転送されるだけなんだ」


『なるほど……確かに、安全に実戦形式の戦いが出来るわけね』


「そういう事……お、あの子やるなぁ」


 リョクがそう言ったので戦いに目を戻す。


 あの獣人の彼の戦い方は……突進と、そこから避けた所に拳を振るうと言う、シンプルな戦い方だ。


 黒魔法使いの彼女は……魔道具の杖を『棒術』のように扱い、彼の範囲外から上手く攻撃をしている。


 黒魔法も、何度もかけているようで、足が遅くなったり、効果は様々だ……


「……疲れてきてるな」


「両方とも、だね」


「……だね」


 何度突進しても当たらない、何度棒で突き、叩いても倒れない。


 彼らの相性は、最悪だろう。


 だが、戦いには終わりが来るものだ。

最後は、足がもつれ、そして、その隙を付いてはね飛ばした彼の勝利だ。


「……そこまで、勝者、ラングさん」


 あの獣人の彼の名前は『ラング』と言うのか……

その声を聞いて、ラングさんは、嬉しそうな顔をしたあと


「うおぉぉぉ!」


 と雄叫びを上げ、勝利を噛み締めている。


 黒魔法使いの彼女の方は……少し悔しそうな顔をしている。


「お嬢ちゃん!あんた名前は!?」


「……グエルよ……ラング、あなた強かったわ……」


「いやー!俺も焦ったよ!黒魔法使いがあんなに動けるなんてな!!」


「師匠からの教え……いざという時に動けないようじゃダメだって」


「なるほどな!まぁ、ありがとう!いい勝負だった!」


「……こちらこそ」


 2人が握手を交わす、会場の人達が拍手をする。

俺もそのひとりだ……竜の彼女は腕を組んでいるだけだ。


「お次は、64番と66番の勝負です」


 わかってはいたが、俺と、この竜の女の子が戦うようだ。


 とりあえず、いい勝負にしたいものだ……滅多に戦えないしね。


「頑張れ、カル」


『ありがと、リョク』


 応援してくれるリョクに礼を言い、手を差し出す。


「よろしく、お願いします」


「……ふんっ」


 その手は取られることなく……背中を向けて行ってしまった。


 その手で剣を握り、構える。


「……なんだ?あの構え」


 そんな声がどこからか聞こえた気がした。


 剣の先を斜め下に向け、手首は首元まで持ってくる……これが一番、自分に合う。


 それを見た彼女は少し訝しげな顔をして……大剣を大きく上へ構える。


「第2回戦、開始です」

 あのドームの魔法具はランバート作です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ