生誕祭1日目の夜
「……いやー、楽しいねやっぱり」
「そうだね、すごい人達がしのぎを削りあう、ハラハラするし、手に汗握るすごい戦いもあったからね」
「ははっ、なんだか他人事みたいに言うね?」
「へ?そうだろうか?」
自分ではそんなつもりはなかったんだけどな?
「うん、君ももう、そのすごい人たちのしのぎを削る1人なんだからさ」
ツンと人差し指を胸に刺された。
「自信もっていいよ、王子様、あなたは強いからさ」
仮面の奥の少女はきっと笑っている。
いつもみたいに眩しい笑みを浮かべているだろう。
「しかし、君は『視ていて』面白いね」
目の見えない彼女の『視る』はスキル『心眼』のことを指す。
「面白い?前も言っていたっけ?何が?」
「君はさ……不安定だね、興味があるのかないのか、そもそも『君は君かい』?」
「へ?何の話?」
「いやー……君さ、誰かに『操られている』よ」
「……へ?」
「あとひとつ面白いことを教えてあげよう……ふふっ、不思議だなぁ!今日やってきた魔王軍みんな!『君だけを見ていた』よ」
「……へ?そうだった?」
「魔王も、参謀も、四天王もみんな君を見ていた……そのうち、黒髪赤目の魔族の少女は異常なまでに君への『執着』があったね」
「……ラジアン……?」
「あ、知り合い?よく知ってたねー魔族の四天王なんて」
「前に1回襲われたから」
「へぇー!よく生きてたね」
「確かにね」
「やっぱり君は面白い……ふふっ、用事出来たからさ、私はちょっと席外すね」
「あぁ、気をつけてな」
「うん、ありがとうね」
そうか、なら、1人で晩御飯は食べようか。
「や、やぁ、カルカトス君……」
自信なさげに、怯えるような弱い声が私の名を呼ぶ。
「はい?……あ、アーガンさん!!」
「お、覚えていてくれたかい!?嬉しいな……へへっ」
アーガンさん達……フメテアパーティーの面々だ。
「久しぶりですね」
「だね、しっかりとここまで上がってきて……凄いなぁ!
仮面の下、みんなに見せてよかったの?」
「いいですよ、今は仮面つけてますけどこっちの方が安心するだけですから」
「そっか……ねぇ、前の話、覚えてるかな?」
「えぇ、まだ、気持ちは変わってませんよ」
前の話……パーティーに入らないかという勧誘の件だろう。
「そっか……まぁ、それは別にいいよ、それはついで
本当の目的は君が元気かどうかみたかっただけさ」
「?なんで元気じゃないと?」
「いやさ……アモラス」
「はーい……いやさ、あなた……ラジアン様にびっくりするぐらい見られてたからさ……ね?」
この人たちも同じことを言っている……ミランと同じことを
「それ、私の友人も言ってましたからね……彼女とは1度あったことがありましたから、それで驚いてたんじゃないですか?」
「あぁ、会ったことあるんだ!?それでか……なるほどね」
納得してくれた様子だ
「それよりも、ご飯一緒にどうですか?時間空いてて」
「あ、いいね、お願いするよ」
今日はフメテアパーティーと一緒にご飯を食べた。




