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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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優勝者 ワイパー ド ハウル

「……失礼」


 コンコンとノックの後、聞き覚えのある声が聞こえる。


「ハウルか……どうぞ」


「やっほー、元気かな?王子様」


 ニコリと仮面の奥では笑っているのだろう、楽しそうな雰囲気で、リンゴを片手にやってきた。


「あぁ、元気だよ、とりあえず、優勝おめでとう」


「ん、ありがと、カルカトスも、生誕祭進出おめでとう、おかげで私の夢はまだまだ続きが見れそうだよ」


 そういいながらリンゴを放り投げる。


「それはどうも………おぉ、美味しいね」


 シャクッと瑞々しい音を発しながら口の中へ絶妙なバランスの甘みと酸味が満ちる。


「でしょう?私の目で見たから間違いないよ」


 そういう汎用先もあるのか……


「それで?どうしたの?何か用事?」


「ん〜……いや、ただ雑談しに来ただけだよ、なにか面白い話ない?」


「む、難しい無茶振りを……」


「それもそうだね……なら、いつまで療養生活なの?」


「あぁ、それなら明日にはもう立ち上がれるよ、迷宮に行って体をならそうかな」


「そう!?なら良かったー……」


「?そんなにボロボロだったかな?」


「いやぁー、戦い方がさ、獣っていうか、化け物っていうか……ねぇ?」


 相当荒々しい戦い方だったらしい。


「そ、そんなにか……」


「まぁね……あ、私の剣術指南、また明日から始めなきゃだね」


「あぁ、たしかに……」


 そういえばそんな事を教えて貰えるんだった。


「生誕祭までに仕上げられるかなぁ?」


「さ、流石に無理かな……」


 もうあと1ヶ月と少ししかない……


「……あっはは!確かに!なら、私が残せるものは残していくよ」


 私が残せるものは残していくよ……か。

私がミランに勝てることを間違いなく信じきっている言葉だ。


 剣を極めなくても私なら自分に勝てるとそう信じている。


 夢を叶えてくれると、期待を通り越して信じている。


 なら、その期待に応えない訳には行かない。

なぜなら、私は『英雄になりたいから』英雄の時に叶えられなかった『平凡な夢』を叶えるのが『英雄』が『英雄』たる所以なのだ。

……私の自論だけどね。


「明日からが楽しみだよ」


「!そう?私もとーーっても楽しみだよ!」


 伸ばし棒の部分で肺の中が空になるかならないかぐらいまで息を吐いてそう言葉を送ってくれた。


「あぁ、私もとーーーーっても楽しみだ」


 満足気な顔をしているのだろう、仮面の2人の部屋は意外と暖かい空気が流れているものだった。

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