国内大会 フロウパーティ
「……さぁ!お次の試合はまた僕帰ってきました!べレマでーす!待ってたー!?」
そう彼が言うと、観客は「キャー!フォルテさーん!」といった様子だ。
「う、うらやましいですぅ!」
「あ、あははっ……」
「いやーしかし、またしてもカルカトス選手の試合を見るとは……まぁ、この試合は貴重なものですからね、フォルテさん」
「えぇ、近代の風の勇者『フロウ』さんと、仮面の探索者『カルカトス』くんの1戦……是非見てみたい!」
「だな!アタシも2人とも気に入ってるから楽しみだわ!」
「アニラ!?なんでここに!?」
「いいじゃねーかよォー!なっ?べレマ!?」
「えぇ、どうぞ、メヌエットもいいかな?」
「はい、椅子どうぞ」
「へっ!」
「……はぁ」
「……では、両雄入場を!」
今回の大会は30組、次のステップには15組……今は準々決勝。
どっちが勝っても、構わないが、負けなくない……自分をしたってくれている子にいいところを見せたいのだ。
「……すごい拍手だな」
さっきまでとは大違いの大喝采。
「……お久しぶりですね、カルカトスさん」
マイクから、彼女の声が届く。
「あぁ、久しぶりだね……悪いが負けないよ、私は」
勇者、翼人、魔族、人間、どこかしらフメテアパーティーを彷彿とさせるパーティーだ。
「それは私達もですよ……ルールはどうします?」
「なんでもいいよ」
「なら、デスマッチで」
「分かった……あと、この台から落ちたら負けね」
「あ、それいいですね、お願いします」
「カルカトス選手ゥ!それだと風で押し飛ばされちゃうよ!?」
べレマさんがそう声をかける。
「……それはどうかな?」
不敵に笑って返した。
「賭けは?どうします?」
「私はなんでもいいよ……君が決めてくれよ」
「……な、なら、私が勝ったら……一緒にお食事行きましょう」
「………おおおぉ!いいぞぉ!なんていじらしく美しい心か!いいですね、フォルテさん!」
「えぇ!こういうのはいくつになっても面白い……ふふっ」
「さぁ!カルカトス選手!何を賭ける!?」
「なら、私は………」
そう1つためを作る。
皆がこっちに身を乗り出すほどにまたせ、フォルテさんも、身を乗り出した頃を見計らい、誤解を招く言い方をして盛り上げよう。
「君を1日、2人だけになれるよう、連れ出したいね」
その瞬間、大地が震えるほどの歓声が上がる。
「えっ!?……えぇ…………んんぅ……」
「ふ、フロウ……?まさかわざと負けたりなんて」
「しませんよ!……し、しません……と思います……」
顔を真っ赤っかにして、そっぽを向く。
「いい答えですねぇ!色恋はこうじゃないと!」
「えぇ!まるで英雄譚の1ページのような、言い回しでしたね……ふふっ、これは勝敗が楽しみだ」
「ちなみに女性方2名はあの返答はどうですか?」
「いい答えだと思いますよ……ふふっ、これは……私もファンになっちゃいそうです」
「可愛らしいことこの上ない!アタシもこういうの大好きだ!」
「おぉ!好感触!さぁ!始まる前からこの盛り上がり様!この戦い凄まじく盛り上がりそうだ!それでは試合………開始!」




