国内大会 3
「……さぁ、始めるか」
こういうのは最初が大事だ……初めっから飛ばしていこうか。
大剣を地面に突き刺し、篭手をはめ直す……。
「〈フレイム〉〈フレイム〉〈フレイム〉!」
「『地に這いつくばれ』黒魔法〈重圧〉!」
「コウラス様……我々に力を!白魔法〈思考加速〉」
「『大自然の名のもとに』『逃げ場は無い』自然魔法〈大地の檻〉!」
篭手をはめ直しただけで4種類の魔法が襲いかかる。
「『私は摘み取るもの』『終末論を綴るもの』『悪夢となり呑み込む』《限界突破》〉」
胸に挿した花を庇いながら詠唱、発現させる。
魔法の全てを篭手で打ち払い、全員の花を一つ一つ摘み取る。
計4輪の花をもち、《限界突破》を解除し、花を彼らの方へ向ける。
「……っ!?」
「私の勝ちですね」
勝利宣言をする。
「んなっ!?は、花を……し、勝者、カルカトス選手!」
「おぉおおぉ!?あの一瞬で4人の花を!?速攻のブラーバパーティーを上回る『超速攻』で花を摘み取り、あっという間に勝利だ!!?」
「……み、見えなかった……」
「さ、早速見えなかったので、フォルテさん、お願いします……」
「はい、今のは見えなくて仕方ないでしょう……うん、素晴らしく無駄のないいい動きだ、いい師匠を持ったのだろうね。
加速、そして、魔法を全て篭手で打ち払い、最短距離で全員の花を摘み、背後に回った……それだけですね」
「ただ走り!ただ避けて!ただ摘んだだけ!?」
「その『だけ』が難しいのです……うちのアニラみたいな動きをするのですね、彼は……」
あ、アニラさんと比べられた……!!
VIP席にいる女盗賊のアニラさんの方を見ると、獰猛な笑みを向けたあと、飛び、司会席まで行き、マイクをもぎとりこういった。
「フォルテのやつはこういってるが、私の方が早いからな!」
そりゃあ……まぁ、その通りですよ……
「こら、アニラ……ったく、大人気ない……ごめんね!カルカトスくん!」
「はっ!はい!!」
「うらやましいですね、声かけられて……完敗です、ありがとございました」
「こちらこそ、ありがとございました」
握手を交し、拍手がお互いを称えるように鳴り響いた。
「さぁ、これにて第一試合終了!次は第2試合へ向けて、ささっ、どうぞ休憩を」
言葉に甘え、裏へ戻ると、ミラン……ハウルがもう居た。
「!終わったの?」
「うん、秒殺!」
後で試合を見たが……同じく花落としのルールで始まった瞬間、全ての花が凍てつき、戦いが終わった。
「氷魔法も使えるのか……」
「昔、教えて貰ってね」
教えてもらったからと言って使えるのは別の話……さすがは剣聖なのか?




