国内大会 2
「さぁ!今大会、ブロック分けがされています!A〜Gとなかなかに多く、その全ては見応えバッチリでしょう!『魔力板』の前の皆様も、我々と同じく戦いを見ることになりますが、そこはご安心ください!
合計7チャンネルを今大会は独占しています!好きな戦いをどうぞ!解説付きなら、チャンネルはそのまま!」
「盛り上がってるね……王子様?」
「えぇ、そうですね……行ってくるよ」
「うん、行ってらっしゃい……王子様なら勝てるよ」
「もちろん、守るべき姫のため、負ける訳には行きませんよ」
会場へ続く道は暗く、会場の晴天が眩しい。
私が姿を表した瞬間、歓声が上がった……少なくない、むしろ多い。
「さぁ!私たちはGブロックの彼らの戦いを見るとしましょうか!フォルテさん!メヌエットさん!」
あのメガネの司会の女性は『メヌエット』というのか。
「先ほど話題に上がったネルカート西区のカルカトス選手ですか……」
メヌエットさんは、興味深そうに目を向ける。
「えぇ!対戦相手はネルカート南区のブラーバパーティーです!
この戦いどう見られますか?」
「ちょっとは自分で考えてみては?べレマさん……」
メヌエットさんの鋭い言葉に「うぐっ」と呻き声をあげる、そして私も含め、吹き出してしまった。
「まぁまぁ……そうですね、ブラーバ選手のパーティーといえば、やはり速攻でしょう。
速攻で有名なパーティーは数多いですが、珍しい『魔法』の、速攻型。
ブラーバ選手達が仕掛ける試合の形式によって、有利不利は大きく変わることでしょう」
「ほー、さすがですね、様々なパーティーを覚えてらっしゃる」
「当然です、トップは皆がライバルですから、いつ誰が王座を崩しに来ても……負けはありえない」
「おぉ!かっこいいセリフです、試合する選手たちが霞んじゃいますよ」
べレマさんの言う通り、私たちはほぼほぼ空気とかしていた。
「あ、すいません……さぁ、初めて行ってくださいね」
審判が私たちにマイクを持ってきた。
「……あーあー……よし、声は入ってますね」
テストを終えた審判が手渡してくれた。
「ありがとうございます」
お互いお礼を言ってマイクを手に取る。
「初めまして、カルカトスさん」
「えぇ、初めまして、ブラーバさん」
「ルールの方だが……花落とし、でいいだろうか?」
赤い目がキラリと光った……まぁ、やっぱりそうだよな。
「……えぇ、構いませんよ?」
そう言い放つ。
それに少し驚いた顔をしたあと。
「余裕そうですね」
「迷宮は、驚異がいつでもやってきます……対応力と柔軟性で売ってますからね」
「おぉ!フォルテさんに負けず劣らず、いいセリフを吐きますね!
ところで『賭け』は?」
賭け……そう、大会では何かをかけたりできるのだ。
「……うーん、どうなさいますか?カルカトスさん
こちらのルールを飲んでいただいたんだ、かけるものはあなたが決めてください」
「と言っても、かけるものが釣り合いそうにないので、賭けは無しで」
「分かりました……それでは始めましょうか」
マイクを返しブラーバパーティを見る。
4人構成の全員魔法使い。
「さぁ!ルールは花落とし!これは僕にも分かります!ブラーバ選手の有利だと!」
「えぇ、不利な条件をあえて飲んだ、そのカルカトス選手の気概は評価しますが……大剣では部が悪くないでしょうか?」
フォルテさんも、疑問符を浮かべる私の選択……まぁ、これが正解なんだ。
「それでは、改めまして、第1試合、初めっ!」
響いた鐘の音と共に戦いが始まる。




