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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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国内大会まであとちょっと

「……あれ?痛くない」


 結局椅子に座って眠ったが体は幸い痛くない。


「……ふぁーあ……んー、おはようカルカトス」


「うん、おはよ、ハウル」


「……さー、朝ごはん食べよ!」


「だね」


 今日の予定はひとつもない。

結局自由行動で夜にこの宿でまた会おうということになった。



「……なぁ、そこのあんた」


 ぶらぶらと街を歩いていると声をかけられた。


「……はい?」


「俺たちのこと知ってる?」


 振り向いた先には黒い髪に赤い目……魔族の、それも最近であったラジアンに似た見た目の男がそう声をかけてきた……そして、知っていた。


 黒髪赤目の人間、魔人と灰色の狼の獣人、緑の髪に薄い黄色の目のエルフ、立派な白い羽根の翼人。


「フメテアパーティーの面々かな?」


「……よ、良かった……これで知らないなんて言われたら……恥ずかしかった……」


 ほっとした顔で沈み込む人間。

さっき声をかけてきたのは彼じゃないのか?声が違う。


「あぁ!?リーダー!話しかけたんなら話しなよ!」


 その人間をリーダーと呼び、励ます魔人。


「り、リーダーじゃないって……俺たちはみんながリーダーなんだってば……」


 確かに、このパーティーに『フメテア』はいない。


「そういえばフメテアさんって人はいないもんね」


「あ、はい……俺達の名前の頭文字をとって『フメテア』です、俺とアモラスは頭文字同じなんで4文字なんです……みんなリーダーでみんな大切って意味を込めて作った名前ですから……」


 はにかむように笑いながらそう説明した。


「なるほどね……それで?私に何の用ですか?」


 良い話だ、本題へ移って欲しい。


「そ、それは……」


「立ち話もなんだしよ、どっか行こうぜ、あんた暇?」


 灰色の獣人がそう問いかけてきた。

声から察するにさっき声をかけてきたのはこの人みたいだ。


「えぇ、暇ですよ」


「なら、決まりだ」


「……ファクト、初対面の人にアンタ呼ばわりとはなんですか?」


「あー?硬っ苦しいなぁテイルはよォ」


 エルフの女性を名指しし、そう愚痴をこぼす。


「す、すいませんね……うちの駄犬本当に……」


「あぁ!?誰が駄犬だこの貧乳!」


「まぁ!?女性に対して『貧乳』とは何事ですか!?」


 どうやらエルフと獣人は仲が随分といいらしい。


「この……アホっ!」


「っづ!?」


「あいたっ!?」


 巨大な両翼が彼らの脳天を叩く。


「公衆の面前で馬鹿騒ぎして……ほら、行きましょ、リーダー」


 彼女の羽は器用に2人を摘み、羽で2人を包み込み持ち上げリーダーに指示を仰いだ。


「いつもごめんね、メリッサ、俺は頼りないし……本当にごめんよ……」


「アーガン、メソメソしない!……あ、カルカトスさん、お待たせしました、私たちの家へ向かいましょうか」


「え、えぇ……お願いします」


 完全に彼らの空気に飲み込まれていた。

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