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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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炎舞の踊り手エンブラー

「……エンブラー?知らない名前ですね」


 この男、実力は本物だが、名前も聞いたことがないぞ……ヘルヴェティア?魔界の街の名前だったか?


「えぇ、まぁ今の貴殿ならそうでしょうね……ふぅ……さぁ、きなさいカルカトス殿」


 言われずとも、魔族なんて恐ろしいものを野放しにしておく道理はない、今ここで確実に殺す。


「……殺意が増してるね……ラジアン殿のことを忘れたのか!?

あの日!あんなにも君たちは仲良く歩んでいたじゃないか!」


「何の話だ?私に魔族の知り合いなどいない、ましてや仲良く歩くことなんて絶対にありえない」


 今、人の為に名誉を得る私が、そんな私に限ってありえないね。


「……なら、今の君の胸は満たされているかい!?君の心には穴は無いのか!?」


 心にあな?


「なんのことですか?」


 言葉の意味を探しながら、並行して触手をのばし、今すぐにでも切り裂き、締め付け、その命を奪おうと伸び続ける触手を避け、時に切り裂く。


 特にあのエンブラーが厄介だ。

今ひとつ攻めてくることは無いが、その代わりか守りがとても上手い。


「……君の体……崩壊を始めたと思えばすぐに再生してるね、魔族も驚嘆する他ない再生速度だ」


 そう言いながら、距離はどんどんと縮まる。


 大剣をもち、全く届く気配のない間合いの外から、剣を振る……腕を伸ばし首を狙う、間違いなく不意打ちとしては100点だ。


「それも伸びますよね」


 それをギリギリで躱し、伸びた腕を切り裂いた。


 剣は向こう側に落ちる、腕はすぐに再生するが追撃もできない……100点の不意打ちに120点の対応だ。


「……エンブラーさんと戦うとすごく合わせやすいや」


「夜じゃないとあなたは本領発揮できませんからね、ここは私と協力して戦えと、ディブロ様からのお達しですよ」


 ディブロ……『ディブロ クエイサー』今の代の魔王の一人娘か。


 娘が彼女たちを動かしているのか……何故だ?どうして私にここまで戦力を割く?


「どうしてディブロ様がここまで必死なのかと疑問に思いますか?」


 心を読み透かすようにエンブラーがそう言った。


「……それは、あなたが大切な存在だからですよ

ラジアン殿にとっても、魔界にとっても、魔王軍にとっても、魔王様にとっても、そして私にとってもとても大切な存在だからこそここまで力を割くのです、ここまであなたのために動くのです」


「即席だっていのに十分なほどの戦力、随分と私を過大評価しているんだな、魔族は」


「おや?そうでしょうか?」


「えぇ、それに、私は私のままだ、取り返すも何も無い」


「……これは……今は一時引くとしましょうか?

よろしいですか?ラジアン殿」


「うん、どうしようもないのは見てて分かったからね」


 そういうと、2人羽を広げ、飛び立った……それを追撃することはしない……《限界突破》を解除し、地面にぺたりと座り込む。


「……危なかった」


 あの二人に勝てることは無いだろう、口ではあそこまで強がって見せたが、別物の存在である彼女たちに勝つことは今の私にはできないのでしょう。


「……彼女達の目的は私を殺すことではなさそうですからね」


 なら、当分は安全圏から攻撃が出来るでしょう。

少なくとも死ぬことは無いのだから。

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