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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、誰よりも優しくてカッコイイ人だろう
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いつもと違う

「……いやぁ、酷い火傷ですね……それに大剣?」


 アリーさんがそう私に声をかけた。

左腕から肩にかけて酷い火傷跡が残っている。


「えぇ、私としたことがヘマをしてしまいましてね」


「『私』……?……まぁ、今日も迷宮攻略ですか?」


「えぇ、そのつもりです」


「では、こちらにサインを」


 『カルカトス ナイトメア』と書き込む。


「……あら、カルカトス君ってフルネームカルカトス『ナイトメア』なんだ」


「あれ?言ってませんでしたっけ?」


「えぇ、いつもはカルカトスだけだったからね……まぁ、いいや、行ってらっしゃい、気をつけてね」


「?はい、行ってきます」


 なんだかいつもとは違うアリーさんの反応に若干の違和感を感じながらも、今日は教会へ向かう。


「あら、今日も来てくださったんですね、おはようございます、カルカトスさん」


「もちろんですよ、おはようございます、シアさん」


 毎朝、迷宮へ行く前によっている。


「はい、おはようございます……あら、左腕に火傷跡が……痛くないですか?」


「ははっ、大丈夫ですよ、もう治ってます」


「そうでしたか……あれ?それって……大剣?」


「?はい、そうですよ?」


 何がおかしいのだろう?


「へぇ、直剣は今日はお休みですか?」


「?直剣……?」


 また、噛み合わない話だ……何の話だ?


 そういえばさっきのアリーさんの時と言い、今日はなんだか噛み合わない。


 大剣を持っていることの何がおかしい?


 一人称が『私』の何が変だ?


 どうして私は今までフルネームを名乗らなかったのだ?


 自分の存在上名前が貰えるなんてことはなかったはず……なのにみんな『カルカトス』を知っている……?


安定した思考(デリート)


 いや、別にそんなことは大切ではない。

噛み合わないのなら合わせればいい。


「はい、今日は……と言うよりもこの先は長いお休みかなって」


「へぇ、そうなんですか……あ、そういえばもうそろそろ大会があるの知ってます?」


「大会?」


「えぇ、今からまだ、3ヶ月ぐらい先ですけど……なんでもこの国の生誕祭とかで、王様の子供たちがみんな帰ってきたり、お祭りがあったり、それで、そのお祭り1週間ぐらいやってて、その最後の日まで残ってたチームには褒美が与えられたりするんですよ」


「へぇ、褒美?」


「犯罪者とかも参加ができて、その人物の構成具合によっては即出所なんてこともできますよ」


「へぇ!それはなかなか夢がある話なんですね」


「えぇ、一般人でも、賞金や、希少なものが貰えたりと本当に、夢のある話なんですよね」


「……へぇー!」


「あとは、各国のお偉いさんが見に来たり、観戦に来た国は、各国15組の実力者を国から選び抜くことが条件で、所謂予選が行われたりしますよ」


「なるほど……私も参加してみましょうかね?」


「!なら、私是非応援に行きますね」


 両手を合わせ、嬉しそうに笑う彼女。


「受付は各ギルドで行えますので、名前を入れたい時に入れるといいです、幸い、今日から始まったばかりですし

予選の締切は1週間ですよ」


「へぇ……つくづくありがとうございますね」


「いえいえ、頑張ってくださいね」


 3ヶ月か……なかなか先なら余裕があるな。


 なんてことを考えながら迷宮へ足を運んでいると、私と同じように、仮面とローブを身にまとった3人が、視界の横を通り抜ける。


「……お、カルカトスじゃん!元気ー?」


 どうやら、声の主は女性らしい、しかも私を知っている。


「?どなたですか?」


「?あぁ、そっか、これ付けてたら分からないか、私だよ『ラジアン』だよ」


 『ラジアン』?……ラジアン……?……ラジアン!?


 その名前の指す意味を咀嚼し飲み込んだその瞬間、背中にヒヤリとした感触と、咄嗟に飛びのき、背中の大剣に手をかける。


「ラジアン……つまり『魔王軍四天王』の、ラジアンだな?」


「…………え?」


 キョトンとした顔をしているのだろう、仮面の向こうのラジアンは。


「とぼけるな、私は知っている……というか常識だ、お前が『四天王』であることぐらい」


 まずいな、この道は人通りが少ない、それにこの時間はほとんどの人がここを通りかからない……助けはあまり期待できない……!


「私?というか大剣?イメチェン?私の篭手は?指輪は?カルカトス……?」


 その彼女の反応に、1歩退いた。


 思っていた反応じゃない、知っているラジアンじゃない。


 ラジアンと言ったら、戦闘狂ということで有名……有名?ラジアンが?


 名前しか世間に知られていないあの、ラジアンが有名?


 何故、彼女の性格を私は知っている?なぜ彼女は私の親しい人物と同じ疑問を?彼女と会ったことは?無いはずだ。

指輪とはなんだ?それがあったからなんだと言うのだ!?

それに篭手?アイテムボックスの中のアレか?


「……ねぇ、カルカトス?なんでなの?分からないの?」


 その彼女の姿にまた1歩退き、たじろぐ。


 なんで悲しそうな目をしているんだ?どうしてそんなに泣きそうな声を出すんだ?なんでそんなに弱々しく見えるんだ?


「な、なんのことだっ!?」


「……違う……?カルカトスじゃない?」


「……え?いや、カルカトスだ、私の名前は間違いなくカルカトスだ」


「なら……なんで?……あれ?目が……目が違う?」


「……目?」


 ラジアンは何を言っているんだ?

箱舟の破壊剣(ノアブレイカー)


筋力1.5倍

耐久1.5倍

白魔法Lv5


箱舟の騎士が手にもつ巨大な両手剣。

その一撃は世界の箱舟を破壊し、強大な力と、魔を払う聖なる力を持つ。

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