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2.街での生活開始

ブクマ、レビュー、評価をお待ちしています!

 その日は(監視の意味もあり)寄宿所に泊めてもらえる事になった、翌日には素材の前金を受け取ることが出来るらしい。

 

 ◇ ◇

 

 翌日。

 

 詰所ではなく、素材代の受け取りをするために冒険者ギルドに向かいギルドカードを受付の人に見せる。


「君がジンくんか、解体は終わったんだがあれだけの品だ、換金に時間がかかるから前金としてとりあえず銀貨20枚を渡しておくよ、売りさばき終わったら残りの分は通商銀行の君の口座に振り込んでおくから1週間ほどしたら確認してみてくれ、各ギルドで入出金することが出来るから無理に下さないでおくと荷物が軽くなっていいだろう」


 銀貨20枚を受け取り受付の人にお辞儀をしてギルドを後にする、まずは宿を取らないといけないのだそれにしても銀貨20枚かどれくらいの価値があるんだろう?屋台の食べ物でも買ってから宿に行くことにした、そうして町の中心のほうに歩いていくと目当ての屋台街が見えてきた、昨日の衛兵さんたちに宿の情報とかお店の情報は聞いていたのだ、抜かりはない。


「おじさん、2串ちょうだい」


 焼き鳥のような串を売っている屋台を見つけたので早速試してみる。


「はいよ、そんじゃ銅貨2枚だ」


 お金を渡し焼き鳥を受け取る、ふむ……銅貨2枚で焼き鳥2本、焼き鳥1本あたり銅貨1枚か、じゃあ銀貨20枚だから焼き鳥2000本分? 結構大金を受け取った気がするぞ……おっと、とにかく次は宿だ宿、たしか穴熊亭だったかな。

 

 屋台街を抜け、中央噴水広場が見えてくることにお目当ての穴熊亭が見つかった、やたらと間口が広いな、まぁいいか。


「すみませーん」


 受付に行くが誰もいなかったので大き目な声で店員さんを呼ぶと……熊が出てきた、ズイッと奥の方から扉が狭いようで潜るようにして出てきた。


「なんだ坊ちゃん、迷子かい?」

「いえ、泊まる場所を紹介してもらったらここだったので泊まれないかと」

「あぁそうか大丈夫さ、いま客が一人もいないからね、一泊につき小銀貨2枚と銅貨5枚、夕食付きで小銀貨3枚だがどうする?」


 焼き鳥25本で宿泊、プラス5本分で夕食か、とりあえずそれでいいかな。


「じゃあ夕食付きでお願いします、とりあえず10日で」


 そう言って銀貨を3枚差し出す。


「あいよ、夕食は日没からの時間から第一の月がてっぺんに来るまでの間であれば食堂で食べれるように準備しておくよ、2回の奥の部屋を使いな……ホラ、これが部屋のカギだ」


 鍵を受け取り部屋に行ってみる、ベッドが置いてあるだけの部屋だけど意外と綺麗だな、だけどなんで他のお客さんがいないんだろう? そんな疑問はその日の夕食ですぐに解けることになった。

 

「ぐ……ぐぎぎぎぎ、ぐにぐにぐに……ふぅ……」


 夕食は黒パンと野菜スープ、あとは何かの肉のステーキだ、そして今食べたのはステーキなのだがとにかく硬い、臭い、焦げてる、さらに野菜スープはニンジンみたいな野菜は生煮え、黒パンはまぁどこで食べても同じだからいいか。


「これが原因か、確かにこれだと……あと9日もある、死活問題だな」


 典型的な素材だけ料理と熱の通し方、黒パンの硬さは異世界物の定番だが、体験してみるとこれはきつい。


 ◇ ◇

 

 そうして厨房に乗り込みぼーっとしていた女将さんに現状について聞くことにした。


「半月前にうちの旦那が馬車で事故っちまってさ、しばらく何もできない状態なんだよ、わたしゃ料理はからっきしでね」


 なるほど付け焼刃か、少しは料理が出来ると説明し、材料は自分で出すからちょっと料理を見てみてもらえないかと頼んだら、女将さんも死活問題だったようで了承してくれた。

 

 作るのはとりあえずステーキだ、格子状の切れ目と筋切りをして常温にしてから水けを拭く軽く塩を振って少し待ち弱火でじっくり。

 

 昨日女将さんが作ったのは単純に何もしていない(下ごしらえ無し)のと強火なのか表面は焦げ、中はレアだった。

 

 塩は直前という人もいるが俺はある程度なじませる派だ、とにかくこの状態の肉を焼く、もちろん自分のと女将さんの分との2人前だ。

 

「じゃ、食べてみてください」


 一口パクっといく、するとカッっと目を見開き一心不乱に食べ始めた……それは食用に適したコモドっぽいドラゴンのステーキだ。


「坊ちゃんこのステーキは? 絶対ボアとかじゃないだろう? ハイランドオーク? そんな感じでもないじゃないのさ」

「ドラゴンの尻尾部分ですね、美味しいでしょ」


「……」


「……」


「……」


「坊ちゃん? 私を無理やり借金奴隷にでもするつもりかい? そんな超絶高級品なんて買う金なんてうちにはないよ?」

「いえいえ、これは単純にステーキ作りを頑張ってもらいたいから出した必要な物資なだけですよ、たくさん持ってますし」


 口元がひくひくとしている、だけど練習してもらいたい、こっちも食事は死活問題なのだ。


「とにかく練習してほしいです、他の料理も聞いてもらえれば知ってることは教えれますから……ほら、これで練習してください!」


 そう言いながら作業台の上に大量のドラゴン肉を置く、笑顔は忘れずにね……にっこり。

 

 ◇ ◇

 

 5日後……泊り客はまださほどではないが夕食処として女将さんは大忙しとなっていた、ステーキに使う肉はオークの物だが焼き方や焼く前の下ごしらえを覚えてからはからり柔らかく焼けるようになった、野菜スープも根菜類の基本である水から煮るなどを教えてから飛躍的に良くなった、小手先の技術よりも基本の「き」これが料理の大鉄則だ。

 

 そこに追加した新料理であるモアのから揚げなど冒険者が好みそうなメニューをいくつか追加した、それを宿の外で露店として売り出してみたところ最初のうちは見たことのないメニューに対し戦々恐々と言った様子の人たちも、何人かに無料の試供品だと言って渡したところ、その評判が広まって行った。


「このから揚げってのうまいな、エールに合いすぎてヤバイぜ」

「こっちのサンドイッチとかいうのもいいな、狩りに行くときにも食いやすそうだ」

「いやいやお前ら解ってないな? このはんばーぐこそ至高だ、溢れる肉汁ぅ」

「はっはっは、今日は露店にしたが明日からは宿の食堂で出すメニューだからね、このはんばーぐだってあんたらが狩って来た肉を使うんだから沢山狩ってきなよ」


 教えたメニューはサンドイッチ、カツ、から揚げ、ハンバーグ、フライドポテトといった簡単だけどおいしい料理だ、揚げ物を教えた時は驚かれた、油が貴重らしかったからラードを炊く方法を教えたら泣いて喜んでもらえた。

 

 ◇ ◇

 

 前世で大好きだったメニュー、この世界にも広まってほしい……前世では病院食とたまに許可を受けて差し入れとして時々食べさせてもらったのだが本当に美味しかった。

 

 体が弱かったこともあって生まれてから死ぬまでずっと入院してたから暇つぶしにいろんな本を読んだりゲームをしたり、MMORPGは唯一家族と病院の人以外と話すことのできる最高のツールだった、まぁ最期は手を動かすこともできなかったから視線センサーでページをめくったりする電子書籍しか楽しみは無かったけどね。

 

 そんな境遇だった俺は転生して自分の足で歩くことが出来るだけでも大いに興奮した、一人歩きができるようになって少しして家から出てみると、まさかドラゴンと人間が共存する村に生まれていただなんて、あまりのファンタジーさに感動して大人の人たちがアワアワ言うのを聞かないであちこち歩きまわっていたんだ、そこで出会ったのが年の近い小竜のグリーンドラゴンだったというわけだ。

 

 仲良くなった僕たちは探検ゴッコをして怒られたり、村長に決闘ごっこを仕掛けて怒られたり、魔法やブレスを失敗させて小火(ぼや)を起こしては怒られたり、とにかく楽しく過ごして来た。

 

 そんなある日、俺は村長と父さんに呼び出され話を聞くことになったのだが、その内容はこうだ。


・人間としての常識を学ぶため、8歳になったら王都にある学校に入学し6年間在籍すること

・そこで学びつつ、学友を作り冒険者稼業も続けて強くなること

・【ギフト】のことはばれないようにすること、信頼のおける仲間の場合は仕方がない場合は許容するということ

・グリーンドラゴンは連れていけないこと、人間はパニックになってしまうらしい

・そろそろ6歳になるが人間や様々な種族がいる街での生活に慣れるため、事前にクレイモアの街を拠点として生活する事


 と、もう少し細かいことは何個か言われたがだいたいこんな感じ、それで村を出て森を抜け、東へ直進して今に至る。

 

 ◇ ◇

 

 宿としてのお客さんも戻ってきたころ、日課のように確認しに行っていた素材の入金確認をするとようやく振り込まれていた、金額は……小金貨34枚、焼き鳥換算34000本である、これなら家を借りることもできるかな?

 

 家を借りるために商業ギルドに行くと子供が一人で? っと驚かれてしまったが冒険者証ギルドカードを見せると問題なしと判断してもらえた、商業ギルドを利用するのには条件があるのだ。


・満10歳以上

・何らかのギルドのランクが【L】以上になっていること

・街への寄付を一定額以上している事


 このどれか1つの条件が必要だと宿の女将さんに聞いていたのでN級常設依頼の【薬草採り】や【鼠の駆除】を繰り返してすぐにランクを上げることが出来た。

 まだ【サーチ】のスキルはスクロールが見つかっていなくて覚えてないから覚えてる人を早く見つけたい……大分便利そうだしね。

 【M】級で受けることが出来るようになるのは常設討伐依頼のゴブリンやウルフだけどこの辺りにはこいつらはいないらしい、この周辺では比較的高めの敵が多いらしく【H】級のオーク【I】級のモア【J】級のウッシ(小さめの闘牛みたいなやつ)が一般的な討伐対象兼食料で人気の依頼だ、とにかく強い魔物でも倒せることはもう冒険者ギルドの受付さん達もある程度知ってるけど規則だからなるべく守ってほしいと言われたので、3日間で【薬草採り】を80回分と【鼠の駆除】を20匹繰り返し【L】級にランクアップすることが出来た、商業ギルドにとって【L】級は最低限活動できるの信頼ボーダーラインということだったらしい。

 

 そんなこんなで家を紹介してもらい、街の外郭にあるが門にも近く活動のしやすい小さい平屋を借りることにした、ぼろっちい代わりに内装の改造などは自由で月の家賃は銀貨4枚、流石に宿よりは安い宿だと1か月で銀貨9枚だったしね、まぁ夕食は付かなくなるけど、前金払いらしいのでとりあえず学校に行くために王都へ行くまでの間の約2年分を小金貨9枚と銀貨6枚を一括で支払うと驚かれた、せいぜい数か月分かと思っていたみたいだ、毎月払いに行くのもめんどくさいし、数か月にすると忘れそうだし一括が一番楽だと思う、あとの計算も不要だしね。


一般人の平均月収が銀貨15枚で、高額なやり取りをする場合以外は金貨以上の硬貨はあまり使用しない


【ギフト】は転生者と稀に生まれ持って取得する人がいる能力

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