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第一部 『人刺し人形』編 無感傷少女 埜逆崎櫻 1

おはこんばんちは 眠らない街からやってきました。

ゼロイチキングマンドットコムアンダーグラウンドかけごはんです。

今日から頑張って百合ラノベを投稿したい気持ちがあります。

ここから先は言い訳というかちょっとこのお話が描かれていた時の背景を説明しておきます。

スルーしても問題ないですよ。

このお話はちょっとさかのぼりたくないぐらいの過去の遺産の発掘を手直ししてたんですが書き直してて絶対当時の僕の方が今の僕よりラノベ力が強いなぁって思いました。

このお話は正確にはオールオリジナルではなくってタグにもつけてるパペットプリンセスっていうブラウザネトゲで知り合ったチームの人たちが魔王一家ロールをしていたのでそこからキャラ設定とか外観とか一部の単語、詠唱をお借りしていたものです。ちなみに今パペットプリンセスでググるとえっちなゲームしか引っかからなくなったことに時の流れを感じます。

パペットプリンセス自体が架空歴史、をモチーフで第2次世界大戦後の日本だったのですがこのお話は世界観自体全く違うお話で仕上げております。

詠唱はそのままお借りしたままなのですが世界観は違うしキャラの名前と外観とかはいじりましたのでセーフ理論でお願いします!

仮にそのゲームプレイしたことがある方いてもキャラ違いすぎて多分気づかれない。。。


**************************************


第一部 『人刺し人形』編 無感傷少女 埜逆崎櫻


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 人が死んでいる。

 まるで朽ち果てた人形の為の塵捨て場のように人の死体が折り重なり積み重なっている、

 呻き声が聞こえる。

 それはこの世を呪ったのか、あるいはこの場を支配する『それ』を呪ったのか。

 笑い声が聴こえる。

 刀を持った影はゆらり、と身を揺らした。身の毛のよだつような声が響き渡った。

 血に濡れている。

 刀は赤く、赤く染まる。先端から雫のように血が落ちていく。

 腕が動いている。

 折り重なった中、呻き声を漏らしながら。今なにが起きたか確かめるようにもがく。

 刀が突き刺さる。

 影はそれを目ざとく見つけると水が流れるようにごく自然にその眉間に刀を刺した。

 人が死んでいる。

 さっきまで、わずかに息があったそれは呪いの言葉も吐けずに血を吹き事切れていた。

 静寂が聞こえる。

 もはや言葉をなくした肉の塊だけが積み上げられていた。

 笑い声が聴こえる。

 でもいまやその笑い声を聞くものは誰もいない。生在るものはいまや身体を揺らす影だけなのだから。


「ふん、今回の戦争も俺たちはどうせ何もすることがないぜ」

 苦々しげに一人の魔族が呟いた。見た目は人と変わらなくてもその額に生えた角や不自然に発達した筋肉が人間ではないと伝えてくる。口ひげをたくわえたその姿、人間でいえば50代の外見をその魔族はしていた。

 着ている鎧に施された彫刻や腰に下げた剣の柄にあしらわれた灰色空飛び猫の図柄から彼がこの部隊のトップ、将軍だということが察せられた。

 今彼が率いる多数の魔族軍は戦場が見下ろせる断崖絶壁で宿営を張っていた。

 そしてその眼下には人間が構築したと思われる土嚢による壁やテント等が見えた。

 本来ならそこは森でそれが目隠しの役目をしていたはずなのだ。だけどいまや木は根こそぎ切り倒されそんな人間の努力は水泡に帰している。

 そしてそこには3万を数える人間の兵士がいた。

 そう、『いた』のだ。

 かたや彼が率いる魔族軍がいくら多数といえどその数は2千ほど。身体能力で勝る魔族であれどこの人数の差は動かしがたかった。

 そう、『動かしがたかった』のだ。

 が、いまや本来戦場になるはずだったその森は木を根こそぎ切り倒され3万の人間の死体が積み重なっている。両足で立つことができたのはたった一人しかいない。それを行った、たった一人の魔族だけだ。

「報告しますっ」

 彼の後ろで一人の若い魔族が息を切らせる。20代を迎えたばかりのような彼はこの戦争が初めての戦争だった。実際はただの伝令に過ぎないのだが。

「…」

 将軍はただ振り返るだけだ。その目で若い魔族は射竦められたように身を震わせると言葉を続けた。

「先ほど、埜逆崎櫻様が部隊の方へご帰還されました」

「ふん、適当にもてなしとけ」

 将軍は面白くなさそうに呟くと眼下に広がる惨劇の舞台に目をやった。今やあそこでは何一つ動くものがない。それは圧倒的な力だった。同じことができるか、と聞かれるとできないとしか言いようがない。ここにいる部隊で総攻撃を仕掛けてもできないだろう。だけどあれはそれをたった一人でやってのける。だから上はあれをこの戦場によこしたのだ。だからこそ将軍はこれだけの部隊しか与えられなかったのだ。

 城に帰れば将軍はまた一つ、勲章を貰うだろう。2千の軍勢で3万の敵軍を打ち下した智将として。だけど実際は知略もクソもない。一つの圧倒的な力が蹂躙していっただけだ。それのおこぼれに預かってただ勲章を貰うだけだ。プライドの高い彼にはそれが面白くない。

 それは今まで努力して、積み重ねて、考え抜いて、そして長い時間をかけてこの位置に収まった将軍の人生をあざ笑っているかのようで。そして自分の中にまだそんな嫉妬みたいなものが残っていることに自己嫌悪を覚えながら将軍は傍らに合った瓶を掴むとぐいっとあおった。酒でも飲まねばやっていられぬ。

 ましてやそれが年端もいかぬ少女がやったことであるのならなおさら。

 若い伝令は将軍に敬礼だけ返すと同じように苦々しさをかみ締めながら戻る。

 少女の元へと。


「埜逆崎櫻様、無事の帰隊、おめでとうございます」

 見張り場所から宿営地へと続く小道。その両脇にずらりと並んだ魔族たちがいっせいに敬礼する。

 少女はゆっくりとそれを眺める。

 幼さの残る顔立ちであれど整ったその容姿は少女の血筋の良さを窺わせた。まっすぐ通った鼻のラインにその下に収まる赤い唇。そのどれもに近寄りがたい、気品がある。

 だがその目はどんよりと曇っていて何を考えているのかさっぱり窺えなかった。それどころかその瞳を覗き込んだものさえその深遠に引きずり込んでしまいそうな禍々しさを湛えている。

 灰色の髪は短く、それもただ切っただけというざっくばらんさであちこちの髪の長さが均等が取れていない。

 少女としてはわりと高い身長。160Cmほどであろうか。高価、あるいは手を尽くされて作られたことが一目でわかるドレス。ドレスの形は一風変わっていて随所に東洋風の細工が施されている。そしてそのドレスは焼きつくようなどす黒い赤色をしていた。

 その腰には二本の刀がぶら下がっていた。

 ぴちゃり、と音がする。少女のドレスの裾から滴った音だ。本来なら白と黒でデザインされたはずのそのドレスはいまや血を吸い、赤く染め上げられていた。

「…」

 少女はつい、と地面に目を戻すともはや兵士たちには目もくれずに小道を歩き始めた。

 兵士たちはその姿を敬礼で見送る。そしてそれは形だけだ。

 少女が森の中へ入ってしまって視界に見えなくなった。

「ふん…あいかわらず無愛想なやつだ」

 誰が口火を切ったなんてどうでもいい。ただ誰も彼もがそう思っていたことは事実なのだから。

「いつまでものうのうと魔王様の姓を名乗りやがって…とうに勘当されたくせに」

「なんだ、あの目は…見下しやがって…自分の方がよっぽど欠陥品のくせに…」

「しょせん忌み子だぜ。今日の戦場だってもし俺達がいっていたら俺たちごと」

「しょうがないさ、あれは殺すことしかできないし、かといってまともな感情なんて持っていないさ。

 あの目を見たろ?いつみたってぞっとする。なにもかもがあれにとっては塵とか屑と変わらないのさ。

 べつに俺たちを殺すのだってあれは一秒もためらわないはずだぜ。ただ、殺しの現場にいて殺すことができればなんだっていいのさ。戦争ってすらあれは思ってないぜ。多分、動くのを殺して積み上げる。それだけで動いている」

「はっ、そいつはちげぇねぇ。で、それのおこぼれに俺達が預かってるわけだ」

「バカ、俺たちだって殺されかねねぇんだ。だったらこれぐらい当然ってことだぜ」

「敵じゃなくて味方に殺される戦争か!!こいつは傑作だ!!」

「お前、味方だって思ってたのか!?だったらあれに斬られるぜ!!また斬られるぜ!!そしたら記念すべき13人目じゃないか!!」

「ちょ、あまり笑えないこというなって。本当に斬られたらしゃれになんないだろう」

「だから面白いんだよ」

 がっははは、と笑い声が響き渡る。

 小道を曲がった少女の耳にもそれは届いている。そしてそれが彼女を揶揄する笑い声だっていうのも理屈の上ではわかる。だからといって少女は眉一つ動かさずに宿営地へただ足を進めるだけだ。

 他人事のように色んな言葉が彼女の身体を通り抜けていく。

 少女は自分が『埜逆崎櫻』だということがよくわからない。そう呼ばれると返事をしなければいけないらしいがいつも辺りを見回してしまう。

 私よりもずっとふさわしい、本当の『埜逆崎櫻』がいるんじゃないか、と。

 今のこの身体だって自分は何かの拍子で入り込んだ幽霊じゃないか、そんな気さえうすうす感じている。

 だって、周りの魔族に何一つ心を動かされない。死のうが生きようが知ったことじゃないし、殺そうが生かそうがどっちでもいい。今こうやっているのも少女は魔王『埜逆崎望』の娘、という設定であるらしいからその彼の命令に従っているだけだ。べつに誰の命令で動こうがどうでもいいが、この身体の立ち位置上そうするのが一番正しいのだろう。

 宿営地に付くとすぐに一人の下級兵士が駆け寄ってきた。

「櫻様っ」

 櫻は一瞬不思議そうに辺りを窺ったあと、それが自分の名前と思い出し兵士の顔を見やる。

 これが駆け寄った兵士にはまるで馬鹿にされたように思えてしまう。こんな風に櫻に対する不満や不快感はどんどんとつのっていく。

「お食事の用意があちらのテントにできております。その前にあちらのテントですでに衣装が準備できておりますからそちらで着替えてきてください」

 言いながら兵士が顔を引き攣らせている。それは怒りのためなのだがそれが櫻は不思議でまた兵士の顔を覗き込むのだ。

「と、とにかく早く準備をしてくださいっ!!将軍様が待っておられるのでっ」

 顔を真っ赤にしながら吐き捨てるように兵士はいうとクルリ、きびすを返してさっさと歩き去ってしまった。


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