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 僕は家に帰り着くと、ドラゴンでレースを行う方法を考えることで頭がいっぱいになった。レースをするためには、人を乗せて走るドラゴンつまり騎乗用ドラゴンを複数頭用意しなければならない。

 しかし、騎乗用のドラゴンはエサをたくさん食べるし、世話をする人も用意しなければならないと今日ターニャ姉さんに聞いた。つまり維持費がたくさん必要になる。僕一人で必要な騎乗用ドラゴンを集めてレースをするという方法はあまりにも現実的ではないと思われる。

 いや、そもそも零細農家の次男という身分では、何をするにしても不足しているのではないか。リカルド兄さんが成人して結婚して嫁を迎えたら、次男の僕は下手をしたら家を出ていかなければならないかもしれないのだ。そんな不安定な立場から僕は抜け出さなくてはドラゴンレースなんて夢のまた夢である。

 非常に厳しい現実にぶち当たったが、ドラゴンレースを諦めるという選択は僕にはなかった。異世界へ転生して失ってしまった生き甲斐である競馬をドラゴンで再現できるかもしれないのだ。どうして諦めることができようか。僕は何か方法がないか考えを巡らせていた。


 「アル、夕飯だぞ」

 リカルド兄さんに呼ばれて、僕は一度考えるのをやめた。

 

 家族全員で食卓を囲む。メニューはやっぱり野菜のスープと固くなったパンだった。

 食事をしながら今日あったことを報告しあう。子守で村を散策した時のことや、お代官様がドラゴンに乗ってどこかへ駆け抜けていったこと、ターニャ姉さんに案内されて村長の家のドラゴンをもに行ったことを僕とリカルド兄さんは報告した。

 父さんは子守番を果たしたリカルド兄さんを褒め、裁縫をしていた母さんを労った。僕たちも農作業をしていた父さんを労った。

 

 僕はお代官様について父さんに聞いてみたが、返事は芳しくないものであった。

 お代官様はお貴族様で、庶民の我々とは違う。普段は村長が相手をしていて、我々はなるべく関わらないことが双方のために良いらしい。


次に、ドラゴンについても聞いてみたが、予想通りうちではとても飼えるものではないとのことだった。やはり、農家の次男という身分から抜け出すしかないと再確認した。


 夕食も終わり、寝床に入っても僕はドラゴンレースのことを考えていた。ドラゴンレースを行うには、それなりの財力や権力が必要だ。つまりお貴族様や大商人に僕がなるか、強いコネクションを持つ必要があるということだ。とりあえず少しでもいい身分に近づくために教養を身につける必要がある。僕はそう結論付けた。

 次に問題なのはどうやって教養を身につけるかだ。まずは文字の読み書きから始めようと思うが、誰に教わればいいだろうか。うちの家族は当然のように僕と同じく読み書きができない。読み書きができるとなると、それは村長一家だろう。お代官様も読み書きはできると思うが、お代官様から習うわけにもいかない。

 村長一家の誰に習うといいだろうか。村長一家は村長夫妻、村長の両親の前村長夫妻、今年15歳になって成人した長男のパーゼル兄さんと長女ターニャ姉さんの6人だったと思う。その中で僕に読み書きを教えてくれそうな人は誰だろうか。

 僕はいろいろと考えた結果、前村長であるアーレフさんに教えてもらおうと決めた。前村長なら仕事で忙しいということもないだろうし、人生経験が豊富でいろいろなことを知っていそうだからである。

 あとは、アーレフさんにどう頼むかであるが、とりあえず明日率直に頼んでみよう。そう思いながら僕は眠りについた。




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