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 僕がドラゴンレースを開催しようと決意を密かに胸に秘め拳を握りしめていると、ターニャ姉さんが僕に言った。

 「ドラゴンならうちでも飼っているわよ。見たいならうちに来る?」

 何という魅力的な誘いなんだ。さっきのお代官様を乗せていたドラゴンはあっという間に走り去ってしまったのでよく見えなかったのだ。今の僕はその存在を知ったばかりのドラゴンに対してものすごく興味を持っている。

 「ドラゴン見たい。ターニャ姉さんの家に行く!」

 僕は思わずそう言った。

 「ちょうど村の散策も終わって子守も終わるところだし、リカルドといっしょに見に来なさい」

 「リカルド兄さん、早く一緒に見に行こう」

 「一緒に行くから慌てるな、落ち着け、アル。子守をちゃんと終えてからだ」

 そう言うと、リカルド兄さんは広場へと子供たちを誘導し始めた。僕はすっかり頭の中がドラゴンのことでいっぱいで、子守が途中であることを忘れていた。


 広場について、子守も終わりみんなが解散することになった。大きい子たちはそれぞれ自分の家に帰り、小さい子たちは母親が迎えに来ていた。みんなそれぞれ帰るのを見届けると、早速僕らはターニャ姉さんの家に向かうことにした。


 ターニャ姉さんの家は広場から近いところにある。村長の家だけあって、村のほかの家よりも立派な佇まいをしていた。まず家の大きさが倍近くも違う。その上大きくて立派な倉があった。

 

 「ターニャ姉さん、ドラゴンはどこにいるの?」

 僕はこらえきれずに尋ねる。一刻も早くドラゴンを見たかったのだ。

 「こっちよ。ついて来なさい」

 ターニャ姉さんに案内され家の裏手側へまわる。するとそこには低い柵で囲まれた土地があって、中には中型犬程の大きさのトカゲみたいな生き物が十数匹いた。

 「こいつらもドラゴンなの?」

 僕がお代官様を乗せていたドラゴンとまるっきり大きさが違うトカゲみたいな生き物について尋ねるとターニャ姉さんが答えてくれた。このドラゴンは卵をよく産んでくれる種類のドラゴンで、人を乗せて走るドラゴンとは種類が違うらしい。人にはあまり懐かず、2、3日に1個の卵を産み、肉はたんぱくな味であるらしい。

 うちの食卓にごくまれに出ていた卵や肉は、うちでとれた作物と交換されたものであるらしかった。村長さんの家だけでなく他にも何軒かこの卵用のドラゴンを買っている家があるらしい。てっきりこの村は畑作だけかと思っていたが、畜産も行っていることを初めて知った。


 続いて案内された場所には厩舎、ドラゴン用の小屋があった。ターニャ姉さんのあとに続いて厩舎の中に入ると、そこにはさっきの卵取り用のよりはるかに大きなドラゴンがいた。薄茶色がかった緑色の鱗は鈍く光り、太い2足の後ろ足で立ち、顔は少し愛嬌がある、人を乗せるて走るためのドラゴンだった。

 不意にピィーと口笛を吹くような音が聞こえた。どうやらドラゴンの鳴き声らしい。

 ターニャ姉さんがドラゴンに近づきその頭を撫で始める。

 「ヒューイ、リカルドとアルベルトよ。何もしないわ、心配しないで」

 ドラゴンの名前はヒューイというらしい。そしてどうやらドラゴンという生き物は繊細であるらしく、初めて会う僕達に不安がっている様子である。


 「ターニャ姉さん、僕も撫でていい?」

 「いいけど、そっと優しくなでるのよ」

 許可をもらった僕はゆっくりとヒューイに近づき、おそるおそる撫でる。ヒューイは大人しく撫でられてくれた。僕は満足すると、今度はリカルド兄さんが撫で始めた。その間にターニャ姉さんはヒューイのことについて教えてくれた。

 人を乗せて走るドラゴンは草食で、かなりの量を食べるらしい。また、飼うためには餌のほかにもいろいろと手間がかかるが、村には商店がないので買い物しに近くの町まで出かけたり、緊急時の田孫との連絡をとるために村長の家ではヒューイを飼っているそうだ。


 僕はドラゴンに初めて出会い、また、いろいろと知ることができて満足しながら家路についた。


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