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いよいよ僕が生まれ育ったオクタウス村を出ることになった。代官屋敷にある厩舎へと向かう。そこには3頭の騎乗用ドラゴンがいた。そのうちの1頭はお代官様のドラゴンなので、殿下とサモンドさんの2人とも騎乗用ドラゴンに乗ってきたことになる。
「アルベルト君はドラゴンに乗ったことはありますか?」
「いいえ、一度もありません」
「ではアルベルト君はサモンドのドラゴンに一緒に乗ってください」
「はい。わかりました」
2人は厩舎からそれぞれのドラゴンを出すと、轡をはめ、鞍を乗せ出発の準備を整えた。僕はサモンドさんと二人でドラゴンに乗った。
「うわぁ、高い」
ドラゴンに乗ると目線がかなり高くなった。よく知っているはずの村の風景が違って見える。
ドラゴンをゆっくりと歩かせ村の入り口へと向かう。
「代官殿、お世話になりました」
「それでは、殿下。お気を付けて旅立ちください」
見送りに来ていたお代官様が声をかける。
こうして僕らは村かシルバスタッドへに向かい出発した。
ドラゴンがドタドタと足音を立てて走る。サモンドさんに聞いたら、ドラゴンはこの速度で早足くらいらしい。もっとスピードをだして走ることもできるそうだが、2人乗りをしているためドラゴンにあまり負担をかけないようこの早足の速度で行くそうだ。
何度か途中で休憩をはさみながら街道を進む。ドラゴンにエサとなる草を食べさせたり、水を飲ませたりしないといけないし、ドラゴンにずっとまたがっているだけでも結構疲れる。人もドラゴンも休憩なしで旅することはできないのだ。
僕が休憩して水を飲んでると、サモンドさんが言った。
「このペースで進むなら、今晩はグロセワネンの村で一泊するのが良いでしょう。日が暮れる前に到着できるよう急ぎましょう」
「グロセワネンの領主のレヴィンさんは私の教育係をしていたので面識があります。オクタウス村に行く途中立ち寄った時と同様に屋敷に一泊くらいさせてくれるでしょう。サモンドのいう通り日暮れ前までにグロセワネンに着くようにしましょう」
レヴィン様という方は公爵家の陪臣貴族で、グロセワネンの村を領有している方らしい。殿下が幼い頃から教育係を務めた公爵家の忠臣ということだそうだ。グロセワネンの村でなら安全に一泊できるとのことだ。
日が暮れて、外灯もない真っ暗な中をドラゴンに乗って走るのは自殺行為だ。それにできれば野宿もしたくない。僕らは日暮れまでにグロセワネンの村に到着できるようにペースを上げて街道を走った。
ペースを上げて行程を進んだため、何とか日暮れ前にグロセワネンの村に到着することができた。町の入り口で門番をしている者にサモンドさんが告げた。
「我々はジルバーン公爵が3男バルディウス殿下一行である。今宵この村で宿をとるべく立ち寄ったものである。グロセワネン領主レヴィン様に取り次ぎ願いたい。」
急に公爵様のご子息を名乗る一行が現れたにもかかわらず、何事もなく領主様に取り次いでもらえ、領主様のお屋敷へと案内されることになった。
案内されたお屋敷ではレヴィン様が出迎えてくれた。
「バルディウス殿下、ようこそわが屋敷へお出でくださいました。」
「レヴィンさん、また一泊お世話になります」
「いつでもいらしてください。歓迎いたします」
「レヴィンさんの協力のおかげもあり。無事に目的である新しい家臣も見つかりました。こちらがそのアルベルト君です」
「随分幼い子を家臣としましたね」
「アルベルト君はこの年歳で字の読み書きができるのです。将来有望なのですよ」
「なるほど。将来有望な家臣を見つけるとはめでたいことですね。今日はお祝いにご馳走を用意いたしましょう」
「ありがたくいただきます」
こうして僕たちはグロセワネン領主様の歓迎を受けることになった。




