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95. これはフラグかなんかなの?

 ログハウスに戻るとサクラとムラマサ、スラミがテーブルを囲んでお茶を飲んでいた。トヤマさんとクイネさんは居ないけど、二人はエルフの村へ行くみたいで双六は不参加だそう。だから双六をやるのは私達も含めて六人だね。正直クイネさんが居ると危なそうだから丁度良かったかな。


「スラミ、ホントにスライムになったの?」


 めっちゃスライムと言っていただけにその姿は気になっていたけど、一見してスライムっぽさは微塵も感じられない。


「変幻自在なんだよ、ほら」


 そう言って、私の見やすい位置に出した右手をヨーカンみたいな色のゴム鞠みたいに真ん丸なスライムに変化させた。プニプニそうで触ってみたいけどちょっと怖い。

 全身をスライムみたいに変える事も出来るそうだけど、それだと動きにくいんだそう。それでも練習はすると言うスラミのスライム愛は半端ないね。


「集まったなら早く行かない? あたしちょっと楽しみなんだよねー」


 私を見ながらニヤニヤしてるムラマサにはどん引きだけど、あそこは写真撮影出来ないようになっているからちょっとは安心。

 でもここで言ったりはしないよ? がっかりする顔を見るくらいの役得はあっても良いと思う。


 皆を連れて転移したゲームセンターでは、事前に聞いていたよりも多くの人で盛り上がっていた。

 この人達ってあおいせ食堂国の住人だよね? マルン達がエアホッケーで遊んでいるから連れてきたのかな。


「此処、自由に行き来できた方が良くないか?」

「そうだよね、隠れ家っぽくしようと思ってたけど後で入り口作っとくよ」


 この状況だとヨーナの発言は皆の為を思って、みたいに聞こえるけど実際違うと思う。畜生、私の練習スポットにしようって思ってたのに。


 賑わいを見せる一団に混ざることなく、皆を引き連れてゲームセンターの隅へ。そこにはこのゲームで今のところ唯一の扉があり、そこには双六ルーム入るな危険、と丁寧に書かれている。

 そんな物騒な事を書いてあるお陰か、今は誰も使ってないみたいだから丁度良いかな。そんな注意書きにユイナが少しビビってるけど、ムラマサとサクラのテンションは急上昇。スラミは嫌な予感でもするのか顔をしかめている。


「それじゃあ、覚悟はいい?」

「アオイさんは何処に行く気ですの?」

「やっぱり止めねーか?」


 言い出しっぺのヨーナは何を言い出すのか。でも、此処まで来たら引き返すつもりはないよ。だからこそ、覚悟を決めないと。

 だって恥ずかしい格好になるかもしれないんだしね。皆の反応が見たくて言わないけどさ。リアル双六は羞恥心との戦いでもあるのだ、ボードゲームとは違うのだよ。


 扉を開けると、そこに見えるのは白い床のまるで倉庫のような空間。床は二メートル四方の升目状況になっていて、これが双六のマスになっている。扉は一番隅にあって、扉の前にはスタートの文字。他のマスには矢印が書かれていて、時計回りに進む順路を迷わないようになっている。


「指令みたいのは無いのか?」

「この双六はマスに立たないと文字が出てこないの。それにサイコロも無いんだよ」


 その為、六マス以内なら自由に選んで進むことが出来る。だから先を行く人が少し不利かな、マスの内容的に。


「じゃあ、一番目は言い出しっぺのヨーナね」

「なら、その次はアオイさんですわね。ヨーナさん、期待してますわよ」

「私に何させる気だよ、まぁ良いけどな」


 皆スタート位置に入って早速順番決め。出来れば一番最後が良いんだけど、この際一番じゃなければ良いや。

 私の後が良いというサクラとムラマサが少し揉めたけど、スラミに入ってもらい次にユイナ、そしてサクラ、ムラマサと言う順番に決定。あまりに欲望垂れ流しなので満場一致で最後に回しておいた。


「じゃあ、行くぞ。やっぱ六マスだよな!」


 そう言って六マス目まで進んでいくヨーナ。そして六マス目に立ったところで、床が無くなった。


《落とし穴に落ちた。スタートに戻る》


「いだっ!? くそっ! いきなりスタートに戻るとか何なんだよ!」


 初っ端からスタートに戻されるヨーナがちょっと哀れ。普通もっと進んだところで戻されるのが当たり前なんじゃないかな? でも、これで避けなきゃいけないマスが分かったから私はラッキーだ。


「私は一マスね!」


 恐らく先を急げば後悔するような作りになっているはずだ。運営のやることだしね、アオイちゃんはお見通しなのです!


《五マス進む》


「どうしてこうなった」

「フラグ立ってたんだろ」


 運営が意地汚すぎる。あれか? 急ぎ過ぎても、慎重過ぎてもダメだって言う運営のメッセージなの? この先のマスが不安になってくるよ。


「そんじゃ、私は二マスね」


 スラミも少し慎重に進むみたいだね。そろそろまともに進んで欲しいけど、どうなんだろう?


《四マス進む》


「何なの!? これ何なの!?」


 何このクソゲー。何としても落とし穴に落としたいのかな? こうなると正解は一つなのかもね。残っているのは三マス、四マス、五マスの三つ。その中に正解があるとしたらどのマスなんだろう?


「私は三マス進みますね」


 ユイナは順番通りに進む事を選んだみたい。アイドルの勘は正解を導き出せるのな?


《綺麗な砂浜だ。水着に着替えてください》


 水着に着替えたユイナはスレンダーだけどスタイルは抜群だった。胸も小さい訳ではないし、くびれもはっきりしていてグラビア映えしそう。アイドルの勘はそう言うのを呼び込むのかも。


「撮影でも、水辺に来たわけでも無いのに水着になるのは少し恥ずかしいですね」


 少し照れてる仕草を見せるのも流石アイドル。これを無意識でやってるんだから本当に才能なんだね。それより後ろからのプレッシャーが凄い。まるで私もあのマスへ行けって言っているようだ。


「私は四マス進みますわ」


 サクラは全部のマスを確かめるつもりかな。まさかムラマサとグルになって、私に進ませたいマスでも探す気かもしれない。でもそれで安全なマスが分かればラッキー何だけどね。


《二マス進む》


「新しい大陸が増えたら気を付けないとな。ぜってー落とし穴満載とかやってくるぞ」


 ヨーナの運営へのイメージは落とし穴で塗り固められたみたい。私は双六だからこんな風にしてるって信じたい、けど運営、というよりAI達の考える事って分かんないからね。もうどっちが主導でこんな設定にしてるのか分かんないけど。


「あたしは五マス! 湯気モード来たら待ってるからね!」


 別にこんな所でなんなくたって温泉なら何時でも行くよ? 調子乗りそうだから声には出さないけどさ。でもこれで六マス目までのマスが分かる訳だね。どうせまた進むとかって指令だと思うけどね。


《逆バンジー! 大空飛んでスタートへ》


「え? ちょ、まっ!?」


 突然空を飛んでいったムラマサには吃驚した。天井にぶつからないか心配したけど、上を見たら五マス目の辺りだけ青空が広がっていた。丁寧な作りに感服します。


「これもう止めてゲーセンでゲームしようぜ?」


 言い出しっぺは早くも諦めた模様。私も同意したいけどさ、どうせなら六マス目以降も少し知りたいんだよね。上と下に落ちて飛ばされた一巡目だけど、それ以降にはどんな罠が待っているのか。


「ユイナには悪いけど七マス目、確かめて貰ってもいい?」

「良いですよ。私もちょっと気になってましたから」


 ユイナに了承を貰い、ヨーナ、私と続いて水着マスへ。私の水着で喜ぶ二人が居るけど、こんなの温泉とか海なんかへ行けば何時でも見れるのになんでそんなに喜ぶんだろう?


《一マス戻る》


 そして肝心のユイナの番。これはもう落とし穴推しは確定かもしれないね。ヨーナの気にする通りに、残り二つの大陸では気を付けないと。

  

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