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93. 鬼ごっこは後ろに注意

 ヨーナから連絡が来たのは日も落ち始めた頃。着いたら連絡するよう頼んでおいたんだけど、相当大変な道のりだったみたい。主に距離が。


「なんで隠れ里に案内板なの?」

「案内板が好きな奴がいてな、拘ったらしい」


 その拘りが距離にまで影響を与えてしまったんだね、困った奴だ。ちなみに図書館には全国案内板写真集があるらしい。ちょっと気になる。


 もう辺りは暗くなっているけど、夕飯を頂くにはまだ少し早い気がする。こんな時間まで喫茶店でのんびりしてたのは自分でも驚きだけど。


「ヨーナはこれから試練だって」

「なら私も行こっかな、アオイちゃんも行くよね?」

「勿論!」


 早く空を走りたいし、ご飯食べ終わったら皆が空を走り回ってたとか嫌だもん。サクラもロマンを感じてるのか当然とばかりに行く気満々だし、ユイナは称号よりも獣人の方が気になるみたいだけど、皆がやるなら、と此処にいる全員の参加が決定。


「ねぇ、社長。試練って皆で出来るの?」

「出来るぞ、ただの鬼ごっこだしな。逃げる奴が増えるだけだ」


 猛烈にスライムの鬼ごっこが気になってきた。このゲームのスライムってポヨンポヨン跳ねて移動してたし、俊敏なイメージが全然無いんだけど。スラミはやっただろうから後で聞いてみようかな。


 会計を済ませ、社長に別れを告げてヨーナ達の下へ転移すると、視界に広がるのは松明に照らされた背の高い木が生い茂る森だった。

 上を見れば木を利用したツリーハウスが幾つもあって秘境にある村って感じがするね。ちょっと羨ましいかな。そうだ、今度ポプラの木に造ってみよう。しっかりしたやつよりテラスみたいな感じが良いかな? いや、出来るのかな?


「どうだ、凄いだろ!」

「ヨーナさんが言うことじゃありませんわ」


 ツリーハウスに見とれていた私達に自慢げに言うヨーナはどこかご機嫌。やっと探検らしい事が出来たのかな? トヤマさんとクイネさんはちょっとぐったり気味に木に寄りかかって座ってるから距離以外にも大変な道のりだったのかもしれないね。 


「あの二人、今は試練受けないってさ、だから早く行こうぜ」


 そう言うより早く歩き出すヨーナを追いかけながら周りを見渡してみる。ユイナもさっきからキョロキョロしているけど、此処には色んな種類の獣人が居るみたい。

 プレイヤーは犬、猫、狐しか選べなかったけど、此処には兎だったり熊だったりと耳の形も尻尾も様々。あ、狸の尻尾可愛い。


「狸良いですね!」

「称号貰うと神社で種族変えれるようになるみたいだぞ、種類もかなり増えるってさ」

「本当ですか! 頑張らなくちゃ!」


 そこまで乗り気じゃなかったユイナも火がついたみたい。ヨーナは此処の社員さんに聞いたみたいだけど、それぞれの村の称号でも対応したものが増えるみたい。

 スラミがスライムになってる可能性もあるのか、邪魔しちゃ悪いと思って連絡してなかったけど気になるし聞いてみようかな。


『スラミはスライム?』

『めっちゃスライム!』


 次にあった時が楽しみだ。


 ヨーナが案内したのは小さな広場のような空間だった。中心には木箱が置かれ、その上には着ぐるみ感丸出しのライオンが立っていた。此方に手を振る姿は可愛らしいけど、なんかのイベントで写真撮影に誘ってる着ぐるみみたい。


「よし、人が集まったなら早速試練だ。今この森の中を逃げ回る兎獣人を捕まえれば称号を与えよう。ただし、転移は禁止な」


 転移を使えば楽に終わるからそれは仕方ないけど、夜の森は厄介だよね。広場や住居近くには松明があるみたいだけど、奥へ行けば相応に暗いだろうし、明かりを出すと影が出来て探しにくくなるかもしれない。

 視界を明るくすれば良いだけだろうけど、太極図を持ってないヨーナ達は辛いはずだ。ここは一肌脱いでみようか。


「それでは、始め!」


 そのかけ声と共に颯爽と駆け出すユイナの気合いは凄い。逆に太極図を持ってない面々はちゃんと状況が読めてるみたい。


「アオイさん、よろしくお願いしますわ」

「はいはーい」


 状況どころか、私が何をしようとしてるかも分かってるみたい。それなら盛大にやらなきゃね。


「ふふっ、盛大にやりましょうか」


 セリンとリンクして呼び出したのはアマテラス。この人、というか神様系ならいきなり転移で呼び出しても平気そうだけど、転移禁止と言われた手前セリンに頼るしか無いからね。状況をバッチリ把握してるのかアマテラスも気合い十分だ。


 そんなアマテラスを憑依させる際、あることを耳打ちされて予定を少し変更。昼にしてみました。


「こうなるとは考えてなかったわー」

「お前どこまで出来んの?」

「掲示板で大騒ぎですわよ?」


 皆吃驚だよね。最初は空に太陽っぽい明かりを出せばいいか、ってそのくらいの考えだったけどアマテラスが出来るって言うからやってみたんだよね。


 何時までもこの状況じゃ他のプレイヤーにも迷惑かもだし、早めに終わらせるように頑張ろう。そう三人にも話して早速行動開始。それぞれバラバラの方向に向かって森へ入り、木の枝を蹴って駆け抜けながらアマテラスにさっきの事を聞いてみる。


『私が太陽だからよ!』


 私の中の神が疼く! 気分は中二病だね。発言はぶっ飛んでるけど、これはアマテラスに与えられた仕事みたい。


 このゲームの神様はまさに神様で、このゲームの基礎を作った言わば制作者。だから色んな仕事が与えられているんだそう。アマテラスなら太陽、大まかに言えば朝昼晩の管理。イザナミとイザナギは全体の管理と、リーダーみたいな役目。あの二人で大丈夫なのかちょっと心配だけど、ああ見えてやるときはちゃんとやる人達みたい。


 


『社員さん達って何してるの?』

『強いて言うなら監督かしら? 私達としても居なきゃ困るわ』


 うん、あんな運営でも居ないときっとカオスになるよ。私は光の戦士にはなれないからね。


 さて、話しながらも探しているけどなかなか見当たらない。この森も広いし、この辺りには居ないのかも。この森じゃあ視界を飛ばしたって見通しが悪いし、こんな時にはどうするか。二択かな?


 ウォーセとしーちゃんに頼んで探してもらうか、イザナミを憑依させて便利な物でも作って探すか。そんな事を考えていた時、妙に尻尾がざわつく感じがした。


 周りを見渡してみても何も無さそう。そもそもこの森もリザードマンの所と同じならモンスターは出ないだろうし、でも尻尾が反応するなら私に対して何か行動を起こしている奴が居るんだと思う。そうじゃなかったらわざわざ尻尾は反応しないし。


『アオイ、後ろ後ろ』


 アマテラスの声に反応して後ろを振り向いても誰もいない。もう一度振り向くと見せかけて!


「「あっ」」


 振り向くと見せかけて少しだけ顔を動かした後、直ぐに戻せばそこにいたのは兎の耳が生えた獣人の女の子。直ぐに逃げ出そうとするその子の前にバリアを張ると、まるでコントのようにビタンとぶつかってくれた。


「はい、確保!」

「トリックオアトリート!」


 それはまだ早いよ。


 広場に戻ると、まだ皆は捕まえていないみたいで誰も戻ってきていなかった。とりあえず後ろに居るかもと皆にメールしておき、早速空を走ってみたいと思う。

 捕まえたときに得た称号は【獣人の秘技】走力アップとしか書かれていないからどうすれば空を走れるのかいまいち分からない。とりあえず階段を上がるように走ってみよう。


 空を走って気分は爽快! でも飛ぶのと違って風の受け方が違うから少し疲れやすいかな? いや、そもそも足を動かしてるんだから疲れるのは当たり前だけどね。

 それでも空中戦はやりやすくなる気がする。飛ぶのと違って足に踏ん張りが聞くし、でも空中戦は上を取った方が勝つって聞いたことある気がする。それとは違うかな?


 正直、私がそんな上手い戦い方が出来るとは思えないし、先ずはご飯だ! 皆にメール送っとこう。


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