武器育成イベント!? テーマパーク満喫編 象
ある程度のお金は使ったと、自分の中で満足した私は、最後の思いで作りにと動物園の中を見て回っていた。
お金を使うという最大の目的はあったものの、私がそれで満足できるのは、おそらくアクティビティエリアだけだと思うのだ。ギャンブルにも観劇にもあまり興味がないから、それらがあるエリアには行くつもりはないし、アトラクションエリアは人が多かった。
のんびり自分のペースで楽しめるとなると、おまけに好きな動物たちがいるとなれば。此処でお金を使う以外の道はないのだ。
そのお金を使うという行為にもある程度のめどが立っていることから、後はテーマパーク入り口にある受付へ行けば目的の物は手に入るだろう。
となれば、後は観光しかないよね。と言う訳で。
檻の中でのんびりと暮らす動物。我が物顔で通路を散歩する動物。柵の向こうから餌を強請っている動物などに癒されながら、私はソフトクリームを頬張りながら歩いていく。
私の後ろを着いて歩くペンギンは、なにを考えているのだろうか。
あ、炬燵から顔を出すライオンがいた。こういうのテレビ番組の企画でやったことがあるらしいのだけど、私は観ていないから現実ではどのような光景だったのかは分からない。
けれど此処で観るその姿は、正しく猫そのものであった。
反対側の柵の中では、フラフープを使ったキリンの首への輪投げが行われている。輪の軌道に合わせてクネクネと首を動かす彼らの姿からは、確かな優しさを感じられる。
現実では味わえないだろう動物の行動を眺め、場所によっては触れ合うことが出来る。それがこの動物園の良さなのだろう。
「お前、ペンギンを連れてなにしてるんだ?」
ヤギに餌を与えていた私の背後から、耳慣れた声がかけられる。まだ動物園にいたらしい、うーぴょんだった。
「ヤギに餌をあげてたんだけど、ペンギンは勝手に着いてくるの。餌が欲しいわけではなさそうなんだけどね」
「……やはり、人間を観察しているのか」
「それはもういいから」
そんな遣り取りの後、うーぴょんは穴場があると言って私を連れて動物園の奥へと進んでいく。
スタッフしか入れないような場所を進んでいく彼に、思わず大丈夫かと問い掛ける。すると、動物園内を歩いた歩数により、特典が与えられるという隠しボーナスがあるそうなのだ。
その中の一つが行動制限の解除。スタッフしか入れない、子供の動物たちが集まる秘密の施設にも入れるのだそう。
「ほら、ちっこいのがいっぱいいるだろ」
辿り着いた場所は吹き抜けとなった室内で、一面に芝生が敷き詰められている。その中で駆け回るのはライオンやチーターの子供達で、中央ではゾウとカバの子供がじゃれ合っている。
「ホントだ。可愛いなー」
「ところで、ゾウってなんかハゲてる感ないか?」
なんという雰囲気ブレイカー。可愛さが一瞬にして吹き飛んだのだけど。
いや、ハゲているとは思わないよ。そういう動物で、それがデフォルトなのだから。でも、ね。大人のゾウの微妙に毛が生えているような頭を見ると、うん。思ってしまうのも無理はないかなぁと。
「失礼なことを言わないでよ」
けれど流石にそれを認めたくはないので、注意するようにうーぴょんを睨む。
「いや、馬鹿にしているとかそう言うことではないんだ。ただ、ライオンとかシマウマとか、ハイエナだってさ、サバンナに住む奴って頭の回りますフサフサなの結構いるだろ? 頭の周りじゃなくても基本モフモフのやつばかりだ。なのに、なぜ象はあんな感じになったのだろう? 似たようなカバは水中に生活圏を伸ばしていること考えれば妥当な進化と思える。サイの角も成分は髪の毛と同じ物だというのだから、身を守るために進化しているのだろう。ならば、ゾウの進化とは一体何なのか。マンモスは毛に包まれた姿であった。しかしゾウにはその面影はない。なぜ毛は消えてしまったのか。それは、生命体が辿り着く進化の先に毛など必要ないというメッセージではないか。かつて捕らえられた宇宙人の姿には、毛などなかったはずだ。つまり、どのタイミングで人から毛がなくなるか、それがきっと、人類の進化におけるブレイクスルーになるのだろう」
また始まったかぁ。私、ホイホイ人に着いていくのを止めないといけないのかなぁ。なぁペンギン、あんたもそうだよ? そう頭を撫でたペンギンは、可愛らしく首を傾げるだけだった。




