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82. ギルド結成!

 多分、皆うれしい日曜日の朝。意味もなく創った会議室にギルド創設メンバー全員が集まり、会議室にそぐわない大きな炬燵に入って重大な議論を交わしていた。


「やっぱり、可愛い可愛いアオイちゃんが良いに決まってるんだね」


 なんかムラマサが変なことを言い出した。これがトーナメント優勝者だとは、誰も思わないんじゃないかな? チートプレイヤーへの挑戦権は断ったみたいだけど、表彰式で乱入してきた怪盗ビリーザとの大立ち回りは、なかなか評判が良かったそうだ。やっぱりあの眼鏡の男の子は役に立たなかったみたいだね。

 私を絡める名前ばかり挙げるムラマサはスルーして、これはギルドの名前を決める重大議論だ。もっとぴったりな名前があると思う。


「ここはやっぱり、あおいせ食堂!」

「お前どんだけ自分ち推し何だよ」


 そんな渾身の名前もヨーナの突っ込みとともにあえなく却下、私の案に同調してくれるのはムラマサだけなんてちょっと悲しい。サクラでさえそれは無いって顔してるし。

 その後も案はでるけど、ムラマサの案を激しく頷いて肯定するサクラはある意味予想通り。だけど恥ずかしすぎるので当然却下。スラミの案であるスライミングも、クイネさんの推す自身の店の名前も却下と、これでは決まるものも決まらない。なので自分の趣味趣向は控えることにしよう、そう決めて再び議論を再開する。

 それでも一見まともそうなトヤマさんも何かと富山県推しだし、ヨーナに至ってはまるっきり漫画のタイトルだ。ちょっぴり期待したユイナもあろう事か自分の曲名と、本気で自分を隠すつもりがあるのか疑問に思ってしまう。趣味趣向は控えようと書かれたホワイトボードが、何となく少し悲しそうに見えてきた。


「ご主人様! 早くパフェ作んないと、もちが城をパフェと見做して食べに行きそうだよ!」


 そんな時、会議室の扉が勢いよく開け放たれ現れたジーヌが、とんでもないことを言い出した。どうやらもちの中で空前のパフェブームが到来したらしい。今は先生が作っているものの、その食べるペースは恐ろしく、早くしないと本当に不味いらしい。


「もう、パフェで良いんじゃないか?」


 そんなヨーナの言葉を背中で聞きながら、急いでリビングに駆けていく。城の賞味期限が一日とか洒落にならないから!


 人型モンスター総出で行ったパフェをアイテムボックスへ詰め込む作業も終わり、これで当分持つだろうと安堵する。ひたすらパフェを作る間も、もちによるリクエストが止まる事はなく、アイテムボックスの中は様々な種類のパフェがずらりと並んでいる。その種類からして専門店を作れるんじゃないかと思う程だ。

 会議室の炬燵でのんびりみかんを食べていた皆に、まだ冬にもなってないよ! なんて突っ込みながら作り立てのパフェを差し入れして、名前はどうなったか聞いてみる。皆の結論はパルフェサンデーで、パフェから発想を得てそれに至ったそう。欲張りな名前だけど、私も異論は無いかな。合い言葉が器は飾りっていうのが、ちょっと意味が分からないけどね。


 ギルドの名前問題も解決したしと、ギルドバトルについての詳細を皆で読んでいく。トヤマさんやクイネさん、ムラマサはもう読んでいたそうだけど、探索していた私達やスラミ、ユイナは仕事があったからまだ読んでないんだよね。その間に私の口の端についた生クリームを、ムラマサが舐めようとするなんてハプニングも起こった。この人のアクティブさは危険だ。

 そんな邪魔もはねのけつつ、この後ジョンのギルドである、パイレーツオブヤマトとバトルする予定だから、今の内にしっかり読んどかないと。名前に突っ込むのは会ってからだ。


 ギルドバトルは、現代の市街地を模した特別フィールドで行われるみたいで、益々世界観に拘らなくなってきたと思う。ギルドバトルを行うにはギルド同士の同意が必要で、これは冒険者ギルドや、メニュー内にある専用の掲示板で募集を掛ける事も出来る。そうして同意したお互いのギルドマスターが、冒険者ギルドの受付で申請する事で、特別フィールドへ行くことが出来るのだ。三組や四組で行うギルドバトルでも同様みたい。

 特別フィールドは縦十キロ、横五キロの広さがあり、三組以上になると横が五キロ伸びて正方形の形になる。バトルの制限時間は三十分で、転移が使用禁止な為移動速度が鍵になってくる。敵を倒すだけなら移動速度が無くても何とかなるだろうけど、そうはいかない仕様もある。


 その仕様とは四つのオブジェクトの事と死に戻りの事。オブジェクトはキング、クイーン、ルーク、ナイトがあって、その名の通りチェスの駒に似たような形になっている。そのオブジェクトはバトル開始前に好きな場所に配置する事が出来、ギルドバトルの勝敗はキングのオブジェクトを破壊するか、制限時間経過後に破壊したオブジェクトの数で判定される。

 それぞれのオブジェクトには特殊な効果があり、キングは言わずもがな勝敗を決めるものと、倒されたプレイヤーを自身の側で復活させるもの、これがギルドバトルにおける死に戻りだ。そしてクイーンの効果は、クイーンのオブジェクトに触れている間キングを好きな場所に配置し直す事が出来ると言うもの。

 ルークとナイトの効果は相互関係にあり、ナイトは破壊されてもルークが場にある状態なら好きな場所に再配置出来る。しかし、ルークが破壊されると残っているナイトも共に消えてしまう。


「ナイトの再配置はギルドマスターか副マスターに限られる。そこら辺もちゃんと決めないとな」

「【プロビデンスな目】のような視界を変える能力、魔法も使用禁止ですものね。駆け引きが重要になってくるわ」


 既に頭から煙が上がりそうな私に、クイネさんとトヤマさんがフォローと言う名の追い討ちを掛けてきた。それなんで私に言うの? あれ、私がギルドマスターなの? 私は誰かがやってくれると思ってたのに。


「当たり前だろ? お前が家主なんだから。そうなると副マスターが肝心だな。トヤマさんは避けた方がいいのか?」


 私の動揺をよそに話は進み、白羽の矢が立ったのはスラミだった。トヤマさんが有力候補何だけど、仕事の関係でログインするのが限られてしまう。ユイナも同じ理由で無理だし、ヨーナとクイネさんはそんなのやる気なし。ムラマサとサクラは私に甘い可能性があるので却下。

 そんな中でスラミの場合、結構自由な時間のある仕事をしているらしく、仕事さえちゃんとやっていれば毎日でもログイン出来るそうだ。それを聞いたトヤマさんの雰囲気がどんよりし始めたけど、私達にとっては都合がいいため、副マスターはスラミに任せる事になった。私がギルドマスターなのは揺るがないらしい。ちょっと泣きたい。


 決めなきゃいけないことも無事決まり、おかわりしたパフェも何事もなく食べ終わったので、ギルドを作るために冒険者ギルドへ。このゲームの気温は低くもなく、高くもないという丁度良いものだから炬燵の魔力は殆ど無い。だから出るのも簡単何だけど、この炬燵はログハウスの備え付けだから今後、気温が実装されるんじゃないかとちょっと心配な反面、炬燵で丸くなるクロが見れるんじゃないかとちょっと楽しみだ。


 スールガの冒険者ギルドは今までにない賑わいだった。その殆どがギルドへの勧誘か、バトル参加への呼びかけ。ギルドは一人からでも作れるため、勧誘は多分そうした人を目当てにしていたんだろう。だけど私達が来た時点でその注目は私達に向けられ、お互いが牽制しあう事態になってしまった。

 私達の一団はチートプレイヤーに、体育祭でのリーダーを務めた二人がいる。その内の一人が昨日のトーナメントの優勝者なんだし、注目が集まるのも当然なのかな。そんな中を進むのはちょっとドキドキするけど受付への列にちゃんと並び、ひそひそ声にちょっと居心地悪くなりながらも無事にギルド、パルフェサンデーは結成する事が出来た。


 後は適当に持ってきた素材を納品してポイントを貰い、ジョンに連絡して連れてくるだけだ。初めてのギルドバトル、バッチリ勝って皆と祝杯をあげたいよね。


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― 新着の感想 ―
[一言] ( ̄□ ̄;)!!あの家は『あくまでも、個人のプライベートハウス』扱いだったのか
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