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4. いざ、フジヤマ!

 上手い具合にバスホースを三頭テイム完了!


 馬だけに上手い具合とは上手いこと言った気分だけど、テイム出来るまではそれなりに苦労したんだよね。


 私以外の二人は。


 その理由は、バスホースはサラブレットと変わらないサイズなのだけど、体格はゴツい。っていうのではないの。


 その体格の割に、臆病な性格で逃げ足も早いって言うのが問題だったんだよ。


 動きを止める為に魔法を放とうとしても、魔法の射程距離に収まらなかったり、追い付けなかったりとサクラとヨーナが苦労したものだよ。


 それに加えて、サクラの黒いオーラでバスホースが逃げ出したりとね。


 そんな中私は、投擲アシストのお陰か、気付かれずにバスホースの側まで投擲できたので転移で一発クリア。


 これぞ怪我の功名とでも言うのかな?


 それもあって、魔法の調整をめんどくさがった二人を私が転移で運んだことにより、上手い具合に三頭テイム出来たんだよね。


 まぁ、自分以外も一緒に転移したからか、消費MPが重かったけど。


 テイムまでにかかった時間の殆どは、このMP回復の為の休憩だったしね。


「名前どうする?」

「私はあれだな、ユーマ」

「それ、未確認のやつ?」

「モンスターだしな、丁度いいだろ」

「私はそうね、シャロウインパクトね」

「何その真逆」

「お前はどーすんだ?」

「モチ」

「それ、面白実況じゃねーか」

「粘り勝ちね」


 うん、みんな適当に決めた感満載だけど、ペットの名前ってこんなもんだよね。


 それに、それよりも重要なのはテイムモンスターを手に入れたことで、称号【モンスターを使役する者】を手に入れたこと。


 この称号を手に入れた事で、餌を与え、愛情を注ぐことでモンスターが進化するようになるの。


 まぁ、テイムすれば必ず貰えるものだから、喜ぶようなものでもないんだけどさ。


 それでも、与える餌や接し方で進化先が変わったりするみたいだから、育てる楽しさで期待に胸が膨らむってもんですよ。


 でも、名前で変わったりしないよね? もちと付けた所為で変なモンスターになったら、ちょっと困るのだけど。


 因みに、このゲームでは鞍が無くとも馬や他のモンスターに乗って移動できるし、落ちることもないそうなの。


 流石ゲーム、便利すぎでしょ。


 そんな有り難い存在であるバスホースに乗ること三十分。


 辿り着いたヤーイズの街並みは、現実ではなかなか見ることの出来ない様な、映画のセットにも出来そうな程の和風の物だった。


 スールガとは全く違うと言っていいほどの物だけど、これはプレーヤーが自由に街を作れるよう、参考も兼ねて色んなタイプの街並みが設定されているのだとか。


 現代建築も出来るそうだから、本当に自由度有りすぎだと思う。


 そんなタイムスリップしたかのような街を散策していると、暖簾のかかった食事処を発見。


 一息着こうかということで中に入り、名物だという2000ゴトーのマグロ丼を三人揃って注文。


 うむ、飛行便は諦めたのです。


「そういや、転移の魔法って消費重いはずだろ?」

「制限付ければそんなでもないみたいだよ。50に収まった」

「十回使えるなら余裕はありますわね。戦闘中じゃなければ結構な早さで自然回復しますし」


 魔法を十種類つくれば、【魔導の目覚め】というMP+100の効果がある称号が手に入るみたいなんだけど、そのすべてを万遍なく使いこなさないと称号は増えていかないらしいの。


 使える回数が増えるのは魅力的だけど、流石にそれを目指すには管理が面倒臭そうなので今はスルーかな。


「それで、これからどーする? 素材集めも兼ねてダンジョン行くか?」

「そうですわね、お金も欲しいし、高く売れる素材があるところがいいかしら?」


 むむっ、それなら私、とても行きたいところがあるんだけど、提案したら二人もついてきたりしてくれないかな?


「はい! 富士山行こう!」

「フジヤマ? 確かに、樹海にいるジュカスネークの皮は高く買い取ってくれるらしいですわね」

「いやお前、火口にある温泉行きたいだけだろ」

「そりゃあ、気になるもん」


 スールガからも見えた富士山、このゲームではフジヤマだけど、火口丸々温泉になっていると話題になっていて、行ってみたいと思ってたんだよね。


 とても気持ちよいらしく、山頂の山小屋で売っているカレーは絶品なんだとか。


「フジヤマまでは馬で一時間くらいで行けるだろうけど、その後登山ですわよ。大丈夫?」

「いいんじゃねーか? 昼まで移動と狩りで、一旦ログアウトして昼飯食ったら登山。夜に着いて温泉に入る、こんなもんだろ。あ、フジヤマ自体にモンスターはでるのか?」

「おお! いい計画じゃん!」

「モンスターはでないらしいわね。何でも一匹のドラゴンの縄張りらしいわ。普段は姿が見えないみたいで運がいいと会えるそうよ」

「フラグですかね?」

「会ったら会ったで面倒そうだけどな」


 うーん、どうやら私と二人では温度差が違うみたいだけど、きっと温泉にはいれば同じになるよね。


 予定も決まりマグロ丼も食べ終わったところで店を出ようとすると、客が一人、店員さんに絡んで死に戻りしていたのを目撃した。


 きっと、若さ故の過ちなんだろう。店員さん美人だったし。


 このゲームには死に戻りのデメリットは無いみたいだけど、死に戻りランキングっていうのがあるんだよね。


 各街にある冒険者ギルドに張り出されているそうで、月間ランキング一位には称号がもらえるみたいなの。


 不名誉な物だろうけど、目指す人もいるのだろうね、多分。


「フジヤマ行く間、競馬ごっこしない?」

「やめとけ、称号でるぞ」


 それはやだなぁ、うん、大人しく行こう。


 でもね、大人しく行ったとしても、ここのフジヤマは大人しく迎えてくれるような存在ではなかったらしい。


 早速、樹海で遭難しそうなんです。


 フジヤマに辿り着き、裾野をグルッと周り樹海に到着したまでは良かったけどさ。


 そして意気揚々と蛇狩りじゃっ! と、入ってみたものの、方向感覚を失ったかのような感覚に襲われ、思わず立ち竦む。


 おまけに聞こえる変な音。


「ジュカスネークの呪歌ですわね。物陰から奇襲してくるらしいから注意した方がいいですわ」

「樹海のジュカじゃなかったんだね。って、知ってたなら先に言ってよ! って痛いっ!?」


 あぁ、サクラの説明に突っ込んでいたら、後ろからの奇襲で、私のプリティーな尻尾が噛まれた。


 直ぐにヨーナが切り払ってくれたけど、痛かったよぅ。HP三分の一位減ったしさ。


 でも毒がなくて良かったよ。


「お前、どっからそんな情報仕入れてくるんだ?」

「公式掲示板よ」


 なる程、偶にウィンドウを開いてるのはそういう訳だったのか。


 公式掲示板はメニューから見ることが出来て、いつでも書き込める。情報専門のスレッドもあるみたいで、なかなか便利らしい。


 カオスな物もあるそうだけど。


「攻略法とか、あんのか?」

「全周囲範囲魔法で一掃」


 言うやいなや、周囲に雷を落とすサクラが怖い。


 でも、なんだか楽そうだよね。MPの消費多そうだけど、私も組んだ方がいいかな?


「一旦出ましょうか。」

「そうだな。魔法を組んでローテーションしながら狩るか」

「最初からそうすれば良かったんじゃない?」

「アオイさんの反応が見たかったんですもの」


 まっく意地悪な奴め。


 それからは、ローテーションで狩りを進めていくけど、樹海は破壊不可なようで、遠慮なく周囲に火を放つだけで敵が倒れていき凄く楽。


 ただ、単調なため一時間程繰り返したところで飽きてきたのは厄介かな。


「そろそろやめる?」

「そうね。そろそろいい時間だし、お昼にしましょうか」


 皮は三人合わせて三十枚ほど。


 一枚1000ゴトーで売れるそうなので、初期金と同じ額は稼げたかな。もっと時間を掛ければそれなりに稼げそうだけど、もう少しMPが有れば効率が良いかも。


「この金で別の街にでも行くか?」

「もっと貯めて、家でも買いましょうか。メリットも大きいですし」


 ログアウトする為にテントを張りながらこれからのことを話し始めるけど、サクラが話すのは壮大すぎて叶うのかよく分からないものだった。


 家があれば、一度訪れた街に玄関をでれば瞬時に移動出来るようになる。まるで秘密道具みたいなものだよね


 それにフィールドでログアウトすれば、次のログイン場所はスールガの街ではなく家になるので、テントを併用すれば冒険が楽になるから尚更ね。


 家の種類は様々で、安いもので100000ゴトーからあるみたい。安さだけあって相応にぼろっちいみたいだけど。


「建てたりしないのか?」

「素材の必要数が多いですもの。木や鉄なんかだけじゃないんだし。」

「じゃあ、温泉の後はお金稼ぎ? 当分ここで蛇狩りするの?」

「それじゃ、アオイさんはすぐ飽きるでしょ。一気に稼ぐなら土肥の辺りに行く方がいいですわね」


 厭きるのはみんな一緒だと思うけどなぁ。でも、土肥というと伊豆のところだったよね? そこに何かあったっけ? あっ! そうか!


「温泉掘るんだね!」

「どんだけ温泉脳なんだよお前! 金山だろ!」

「そうですわよ、金鉱ダンジョンですわ。敵は強いけど、金は掘れますの。それに、温泉で稼ぐなら施設作らなきゃでしょ」


 くそう、温泉はそう甘くはなかったよ。残念。


 金鉱ダンジョンでは温泉なんてものはなく、敵が全てゴールデンゴーレムというモンスターでドロップが金なんだそう。


 ただ、物理も魔法も効かないらしく、今のところ倒す方法は見つかってないためゴーレムを無視しながら、鶴嘴で金を採掘するしかないんだとか。


「仕組みでもあるんかな?」

「挑戦してみてもいいかもしれないですわね」

「案外テイムしちゃった方がいいかもね。僕の腕をあげるよ! みたいな」

「ありそうで怖いんだが」

「……、ゴーレムの攻撃速度がなかなか速いらしくて、それどころじゃないそうですわよ」


 なーんだ、攻撃するだけでも精一杯だそう。


 なかなかうまく行かないのも、ゲームってことなのかもね。そんな風にフジヤマの温泉の後の行動も決めて、一旦ログアウト。


 お昼を食べたら二人は家に帰るみたいだし、続きはそれからだね。温泉楽しみだ!


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