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65. 天空のキャンプ場

 翌朝、ログハウスにて集合した私達は早速、お互いの成果の報告をする事に。一番手は私。


「そんな訳で、お香一つはゲットしました!」

「少ないな。ちゃんとやったのか?」

「早々に祭り村へ行って遊んでたのではなくて?」


 二人の言葉を聞くに、私にとってあの坑道はそんなに効率のいい場所では無かった模様。四時間程やった訳だけど、ボスのリポップに三十分掛かり、ドロップ素材で得られるポイントは一つ500ポイント。ベビーの素材分を含めて得られたのは全部で16000ポイント。二つ目には、ボスだけ討伐するとなるとあと四時間は必要だった。


 ついでにと、リンクの事やお香についても報告すると、その件については二人ともタツノやミスノに聞いていたんだそう。何故転移マーカーを集めに行ってその話しになったかと言えば、単に皆考えることは一緒だと言うことだ。


「掲示板で転移マーカーが必要になるなんて話題が出たばっかりにな」

「ギルド自体に行列が出来て専用フィールドにも入れなかったと。それで、どうしてたの?」

「宇宙で遊んでましたわ。あそこはまだ人が居ないようでしたので」


 その成果がマーカー三つ。成果があるのは喜ばしい。でも、拗ねて良いかな? それぞれ別の場所に行くと言っていたら私だって頑張ったんだ。どうせなら私も呼んでくれたら良かったのに、私抜きで宇宙で遊ぶなんて。私が蟻と戯れている間に。少しヨーカンに慰めてもらおう。


「最早拗ねてる奴の顔じゃないな」

「だって、これ凄い」


 クッションのようにヨーカンに乗ったところ、慰めてくれているのか巨大化して最新のマッサージチェアのように包み込んでくれた。このぷにぷに感が堪らないどころか、本当にマッサージしてくれている。しっかりとした弾力で揉みほぐされていると段々眠くなってくるね。


「なんか羨ましくなってきた」

「そうですわね。ヨーカン、もっと大きくなれませんの?」


 サクラの問い掛けに答えたのか、更に二人分ほど横に体を伸ばし、受け入れ体勢をとっている。ここはヨーカンの優しさに免じて乗ることを許してしんぜよう。存分に味わうが良い。


「「あぁ、これは駄目になる」」


 きっと私達は暫く動かないと思う。






 私達が動き出したのは昼頃。流石に空腹には耐えきれず、名残惜しく思いながらも泣く泣くログアウト。戻った時には既にヨーカンはマオに取られた後だった。


「とりあえず、私達はリンク解禁を目指しますわ」

「アオイは島の整備をしといてくれよ」


 何時までも残念がってはいられないと、二人はそれぞれ違う作戦を持って学園を攻略しに行くみたい。サクラは一通り学園の中を見て回りつつ、面白そうな精霊を探すという作戦。

 対してヨーナはアイズを連れて行き、その可愛さで興味を始めとする惹かれた精霊と親交を始める作戦みたい。ヨーナとしてはアイズも育てたいから一石二鳥を狙うつもりなんだろうね。


 二人が玄関から寮の部屋へ向かうのを、便利だなぁなんて呑気に見送り、メンバーを厳選してから空飛ぶ島の整備に赴くことにした。

 厳選したメンバーは一目見たら統一感の無い、でもとても可愛い面子。パンダにペンギン、レッサーパンダ、子犬みたいな狼、黒猫、ウォンバット、タヌキ、ウサギ。サーカスでもやったら意外と人気がでるかもしれない。

 小柄なモフモフは全て連れてきたため、タツノが絶望して立ち尽くしていたけど、小さくなったフェンリルのウォーセを置いてきたからそれで許して欲しい。遊びに付き合ってあげてね。


 皆纏めて島の中央、遺跡の所へ転移すると、遺跡を囲むように出来た畑が目に入った。トヤマさんとアララウネが作った物だけど、初めて見たからこんな風になってるとは思わなかった。これからは区画を決めて創ってもらおう。


 今ある畑は仕方がないし、これを生かす方向で遺跡を変更しよう。遺跡、即ち中央に建てる建物はログハウスの玄関から繋がる重要な物だ。言わば玄関。だからこそ相応しいもの、此処に建てるなら茅葺き屋根が立派な日本家屋だろう。周りの畑ともマッチしてるし、森にもよく合う。とても日本的で長閑だ。


 マストアイテムである縁側から、畑に入らないように気を付けながらじゃれ合う動物達を見ているととても和む。時間を忘れてしまいそうだ。これで私が編み物でもしていたら完璧かもしれない。


 ヨーナ達は昨日遊んでたんだし、ちょっとくらい良いかな、なんて誘惑にも負けずに作業を始める。今必要なのは、第四大陸を探索する際に拠点とする場所だ。この中央の家でも良いんだけど、どうせ探索するなら下界を見下ろせた方が雰囲気もでるし、縁の近くに設けよう。見てみると、丁度縁まで草原が続き、急に崖のようになっている場所を見つけた。ここが良いかな?


 皆を集めて縁の辺りへ転移するんだけど、こうも長閑な所だと軽トラが似合いそうだよね。皆と荷台に乗ってガタゴト揺られる。最高のシチュエーションだけど、正直誉められることではないからね。じゃれ合う姿を見るだけで我慢しよう。


 拠点として作るだけなら、公園にあるような東屋でも良いのだけど、それだけだとちょっと味気ないかな? ここは、キャンプっぽさを出してみようかな。大きめのタープとテントを設置して、少し離れたところにコテージを建てる。キャンプファイアー用の木も組んでおこう。

 後は近くに池でも創っておこうかな? 泳げる所があれば水棲モンスターでも安心だ。タープの下で寛ぎながら、イルカのジャンプを見るのも良さそうだしね。


 今夜は此処でバーベキューでもやってみようか。明日からまた学校だし、英気を養う為にぱーっとね。キャンプファイアーが楽しみだ。






 池で行われるイルカとセイウチのキャッチボール。初めはそんな和気藹々とした感じだった。次第に二頭は熱くなり始めたのか、どんな所にもジャンプを生かして捕球するイノルカのフィンに気を良くしたのか、角セイウチのとっつぁんがその立派な角を生かして豪快なバッティングをし始めた。

 そんな熱い戦いを、此方も熱く、煌めく炎が揺れるキャンプファイアーを眺めてのんびり観戦。偶にエスパーペンギンのアトが、ボールを操って意地悪しているのも、また楽しい。


「精霊と仲良くなれた?」

「ドラゴンの成長に効果的なフルーツを教えて貰ったくらいだな」

「何故か文化研究部に入部しましたわ」


 サクラの行動が今一分からない。バーベキューも一段落して、今は炎と観戦にとのんびりしているところ。バーベキュー中は専ら肉の話題。より良い焼き上がりのタイミングを追求したり、余っていたマンモス肉の調理法を研究したり、そんな事で盛り上がっていたため、こうした話題を振れるのもこんなのんびりした時だけだった。

 大人組は肉とビールの組み合わせから、クイネさんの握る寿司と日本酒の組み合わせへ移行中。のんびりと三人揃って動物を撫でている私達にも、盛り合わせの差し入れが届けられた。


「アオイは何処まで進んだんだ?」

「此処を作ったら、パンダに乗って探索してた」

「なんか愉快ですわね」


 見た目黒猫のクロを撫でながら、今日の事を話してみるけど、パンダのキボリに乗って走り回るのはやっぱり愉快としか思われないよね。あの子も偶に背負い投げを仕掛けてきて、そのままじゃれ合ったりもしたから端から見ても愉快な光景だっただろうと思う。

 

「早々とイベントの告知来たけどさ、別れたら手加減してくれよ」

「スポーツマンシップは大事にね」

「巫女なら慈愛を持つべきですわ」


 それ関係あるのかな? そんな事よりイベントだね。今回のイベントはあの日に因んで、精霊学園で行われる物。即ち体育祭。体育の日だからね。参加するには職員室か、寮のラウンジで貰える参加申請の用紙に名前を書くだけで、今日からでも受け付けているみたい。チームの組み合わせは抽選によって行われるらしいから、私達もバラバラになる可能性がある。もしそうなっても私は全力で頑張るよ。


 競技内容も報酬もまだ不明だけど、それよりも知らない人たちと協力するのはちょっと不安かな? 誰か知り合いと組めれば良いんだけどね。


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