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62. いざ、新たな大陸へ!

 飛び地のようになった休みの日にジョンにチーズを届けたついでにと、ヤマトでクルージングに連れてって貰い十分に英気を養い、迎えた大陸の追加の日。金曜日を丸々一日と土曜日の昼までを費やしたメンテナンスも終わり、ログインしてログハウスに集合。今は南西に現れた、第四大陸の説明を読んでいるところ。


「テーマは学園と探索、かぁ。どうもこの探索が厄介そうだよな」


 今回の大陸の追加では前回と違い、ある程度の詳しい説明が大陸追加のメールに添付されていた。テーマはヨーナの言うとおり学園と探索。先ずは学園についてしっかり読んでいこう。私も今度の大陸は普通に進めたいしね。


 例に漏れずひし形の形をした第四大陸は精霊の住まう地。列島に近い先端近くに広がる学園は精霊学園と呼ばれ、精霊達が人間の良きパートナーになるため日夜勉学に励んでいる所。

 そんな精霊学園では魔法や戦闘についても学ぶことが出来、ヤーイズから定期船も出ていることから初心者でも気軽に鍛錬を積めるようになっているみたい。他には現実での勉強まで教えてくれるそう。塾に喧嘩を売るつもりかな?


 でも、学園で一番の要素は新システムのリンクだろう。学園の精霊には親密度のパラメーターがあり、それが一定値まで上がるとパートナーとしてリンク出来るようになる。

 リンクとは精霊と一体になることで、精霊の力が使えるようになる事みたい。どんな力かは実際に確かめてみよう。との事なので今は知る由もないけど、これハーレム野郎とか出てきそうだよね。


「そうですわね。学園は良いとしても、このフィールドのシステムは厄介ですわね」


 二人も問題視している探索。これは門の役割も持つ学園に入学する事で進む事が出来る大陸の探索の事だ。

 何が問題かというと、フィールドには野良精霊が五メートル四方の縄張りを張り、そこに入れば様々な効果が与えられる。言わばダンジョン探索RPGのような要素だ。効果は状態異常や即死、バフからデバフまで様々で、こんなVRでやるとなると戦い方も考えないといけないかもしれない。


「そんじゃ、行ってみるか」

「船で行く?」

「タクシー、お願いしますわ」

「お代は?」

「「出世払いで」」


 払う気無いじゃん。






「ちらほらプレイヤーの姿もあるな」

「そうですわね。転移系を使う人も相応に居ると言うわけですわね」


 転移で一発、学園の門の前までやってきた私達。トヤマさんはクイネさんの修行に付き合うそうだし、最初は私達三人で様子見したいからモンスター達もお留守番。

 学園の門は大陸の先端から一キロ程の所にあり、先端の部分は船の発着場が有るだけみたいだ。門の内側も広く、校舎まで行く間に広い庭やグラウンドなんかがあるみたい。


「行くか。って、アオイ。お前何してんだよ」

「ふぁふぃっふぇ?」

「そういうものは通学路でやるものではなくて?」


 門を越えようと言うところで、学園ものに欠かせない小道具、食パンを咥えて準備万端といったところでヨーナとサクラに突っ込まれてしまった。ゲームならやっても許されるかなって思ったんだけど、やっぱり通学路じゃないと風情がないかな?


 二人の呆れた視線を受けながらも一歩踏み出し門を潜る。私達を追い越していくプレイヤーの人が、変なものを見るような視線を向けてくるけど気にしない。私は信じてるんだ。運営が何かを仕込んでるって!


「ちょっと、そこのあなた! そんなものを咥えながら門を潜るなんて、恥を知りなさい! その腐った性根、この精霊学園生徒会長のメイリルが正して差し上げましょう!」


 やった! なんかフラグ立った! その子は金髪の長髪をツインテールに纏めた、可愛らしいけどちょっと凛々しい子。制服なのかセーラー服を着ている。背中の妖精のような羽根が特徴的だ。


 ズカズカと近寄るメイリルに手を掴まれると、ヨーナやサクラ共々空き教室の様なところへ転移させられた。おかしいな、私が転移したときは門より先に転移できなかったんだけど。

 これから何が起こるんだろうと、身構えていると、転移してから背を向けて佇んでいたメイリルが急に私に向かってガバッと抱きついてきた。


「ああ、本当にありがとうございます! やった! 私が一番乗り! ああ、これで幸せな日々が始まるわ」


 生徒会長がこんな欲望丸出しな感じで良いのだろうか? いや、そんな事考えている場合じゃないね。ひとまず落ち着かせて事情を聞いてみよう。噂関連だって薄々と分かってはいるけどね。 


 落ち着かせて話しを聞いてみれば案の定、AI達の間で広がっている噂、快適な暮らしに惹かれているタイプの子だった。しかも、太極図を得たことで好きなものを好きなだけ食べれる天国になったと、噂話も更新されているらしい。

 この子は粉物、麺類が好きらしく、好きなだけお好み焼きや焼きそばを食べたいらしい。また、私を狙っている精霊も多く、中でも格が高いメイリルが居れば牽制役になってくれると言う。流石に大量の精霊を保有する気は無いから有り難いんだけど、素直に有り難いと言えないよ。一応焼きそば渡しておこう。


「良かったな。ハーレム目指せるぞ」

「そして学園を牛耳るのですわね」


 完全に他人事な二人が恨めしい。すると焼きそばを豪快に啜っていたメイリルが、何かを思い出したのか教卓から何かを取り出し、此方に差し出してきた。それは三枚の紙とペンだった。


「その紙に名前を書けば入学完了です」


 サクラとヨーナにも紙とペンを渡し、名前を書いてみると、その紙は光となって消えていった。


「これでこの大陸も探索可能です。早速探索に行きますか?」

「そうだな、どんなもんか試してみるか」


 そう告げるヨーナに私とサクラも同意すると、焼きそばを食べ終えたメイリルが校舎の裏まで転移してくれた。そこに広がる森を見ながら、何故私にも出来なかったこの大陸での転移できるのか聞いてみると、空間の力を持った精霊だかららしい。それでも転移出来るのは校舎付近まで校舎から先の探索フィールドでは、転移マーカーを設置しない限り誰であっても転移は出来ないようになっているそう。


「縄張りを張る精霊が邪魔をしている、と言う設定です」

「最後の一言は余計だよ」


 なんか一気に現実に引き戻された気分だ。


「祭り村やアトラで転移マーカーが貰えるのはこの為か」

「もう少し集めておいた方が良いかもしれませんわね」


 今持っている転移マーカーは、三人合わせて十二個。当分は持つだろうけど、補充する事も考えとかないといけないよね。

 早速進む前に、【プロビデンスな目】で周辺を見てみると、思惑通り縄張りについても見ることが出来た。五メートル四方のマス目状に見えるそれは、最初の三マスは何もなく、四マス目に毒の状態異常付与。その先の五マスは何もなく、六マス目に防御力アップのマスと茂みに隠れるウルフを見つけた。二人にも伝えておこう。


「何で分かるかは置いとくとして、早速戦闘の機会がやってきたな」

「状態異常はアクセサリーで防げるから良いとして、防御力アップがモンスターにも適用されるかもしれませんわね。」


 奇襲警戒して慎重に進む間に、リンクを試してみようかな。メイリルに頼んでみると、私の背中に手を置きそのまま体へ吸い込まれていった。


「左目だけ金色になってるな。ちょっと左目が疼くとか言ってくれよ」

「それ、自分にブーメランだって分かってて言ってる?」

「リンクしたら魔眼の女騎士になるわけですわね」


 サクラに言われて気付いたのか、嫌そうな顔をしてそのままウルフの居る辺りに突っ込んでいくヨーナ。想像した事に対する憂さ晴らしなのだろうけど、折角慎重に行動していた意味が無いと思うよ。


 防御力アップのマスでの戦いは、案の定モンスターにも影響が有るのか、なかなか倒れてくれない。動きはジーヌには劣るだろうけどなかなか素早く、特に身のこなしが軽く多少武器との接触で弾き飛んでも、すぐに立ち直りマスに戻ってくる。


「と言うか堅すぎでしょ!? 私、全力で攻撃してるんだよ!」


 ウルフのレベルは600と私より上な為、称号の効果で即死には出来ないし、太極図での即死はつまんなくなるからそもそもやりたくない。だから攻撃力を上げるような感じで十分程戦っているし、当然弱点を突いて攻撃してる。それでも倒れる気配もしないとか、どれだけ防御力がアップしてるのさ。


「ヨーナさん、吹き飛ばせませんの?」

「そんなの組んでねぇよ。サクラはどうなんだ?」

「私も組んでいませんわ」


 今までそんな小細工してこなかったから忘れてたのかな? サクラならきっちり組んでそうだと思ったけど。


「私、威力重視ですので」


 そう言って胸を張るサクラだけど、そんなどや顔で言うことでも無い気がするけどね。こうなると私がやるしかないか。丁度私の中のメイリルがやりたがってるし、彼女の指示でウルフに刀を振りつつも、飛ばす方向を吟味する。


『行きます!』


 メイリルの掛け声と共に刀の軌道の空間が歪み、ウルフに当たったところで急激に元に戻りそいつを吹き飛ばした。吹き飛んだウルフはメイリルの調整が上手かったからか、私の狙い通りに戦闘中に見つけた即死マスへと吹き飛び光となった。

 着地せずに空中居たまま光になったとところをみると、空を飛んでマスを回避する事も出来なさそうだ。回避する手段は無いのかな?


「即死マスはこういう使い方をすれば良いんだな」

「でも、避ける方法は無いんですの?」


 リンク中のメイリルの声は二人には聞こえないらしいので、一度リンクを解除してから聞いてみると、この大陸でのモンスターのドロップ品は購買部により武勲ポイントに交換出来るそう。その武勲ポイントを使うと様々なアイテムや武器と交換できて、その中にマスの効果を一時的に無くすアイテムが有るらしい。


「なら、危なくなるまで探索を進めながらモンスターを倒していくしかありませんわね」

「地道な作業って訳か。アオイ、我慢しろよ」

「分かってるよう」


 なかなか厄介な仕様も有るけど、今回はちゃんとゲームらしく楽しむと決めてるんだ。まぁ、既にラスボスらしき姿は見ちゃってるんだけどね。


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