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53. 宝探しイベント! その二

 早速探索へと一歩踏み出した私達。木の洞に隠れた宝箱や、他の人のスタート地点であろう場所の地面から宝箱を掘り返したりと順調に来たものの、安全のために武器庫の制圧が先なんじゃないかと言う話になり、一度拠点に戻ってから武器庫の周辺を見てみることにした。

 何故かと言えば怪しいからだ。最初に襲われて以降、一度も襲われていないどころかプレイヤーとも会っていない。そのため、ある作戦もかねての拠点からの観察だ。


「隊長、こちらアオイ。どうやら睨み合いをしている模様、どうぞ」

「この距離でそれやる意味無いだろうよ」


 確かにソファーに座りテーブルを挟んで向かい合っている現状、無線ごっこは虚しいよね。お互い見ているものはゲームと別空間、違いはあるからちょうど良いと思ったんだけどな。


「占拠したグループとそうでないグループって感じか?」

「そうだね。もう一方の武器庫は侵攻側が優勢かな」


 PvPと言ってもお互いにダメージが入らないし、プレイヤーに対して手持ちの武器を抜いてしまえば即退場らしいことからポイントを持たず、拳を武器に特攻する侵攻組と専用の武器で応戦すると言う状況。そのため数で有利となっている侵攻側が優勢な感じだ。


 ここまで盛況だと作戦もうまく行くかもしれない。私達の立てた作戦は占拠するのではなく、確保する事。武器庫になっている小屋からも手に持つプレイヤーの分も、この島にある武器を回収してしまうのだ。上手くいけばこの島からプレイヤーを追い出す事にも繋がるし、別の島から来たプレイヤーが襲ってきたらそれはカモだ。


 静かに作戦を決行すると、混乱に陥る現場。武器が消えたことにより、小屋の中に居た人達も外に出てきて、襲っている方も異変を感じたのか動きを止めている。これは駄目押しをした方が効果的かもしれない。


「ちょっと行ってくる」

「あんま目立つなよ」


 この島は怖いって思わせるなら、姿を見せないのが得策だよね。五本程の刀剣タイプの武器を持ち現場の近くに転移し、両手に一本ずつ、残りは回転させるように空中で操るようにして、視認出来ないほどのスピードで集団に突撃。ポイントを持つ者だけを駆け抜けながらも的確に武器を当てていく。

 現場は逃げ出す者もいるほどの大盛り上がりだ。見えない攻撃と、宙に浮かび暴れる武器はさぞ怖かろう。ちょっと楽しくなってきた。


 一通りポイントを持つプレイヤーに攻撃を当て終え、拠点に戻るとクイネさんが何やらニヤニヤしながら目の前のウィンドウを見ていた。


「よぉ! もうチートプレイヤーの噂で持ちきりだぞ」

「チートプレイヤーってそんなに広まってんの!?」


 運営公認チートプレイヤーの存在は、もう全プレイヤーが知るくらいな勢いらしい。今までは謎の存在だったけど、今回の件でとんでもない奴だと認識され始めているみたい。顔はばれないようにしなくては。

 それはさておき、これで武器も大量に確保出来たし、サクラ達にも武器を送っとこうかな? 連絡してみると、サクラは槍、ヨーナは大剣、トヤマさんは短剣とそれぞれ違ったタイプの武器を要求してきたので、間違えないようにしながらそれぞれの手元へ送る。トヤマさんは刀剣タイプの武器なら奪ったものの、使い慣れたサイズの方が良いらしい。


「それで、何ポイントくらい取れたんだ?」

「二千ポイント。人数の割に少なかったなぁ」


 二カ所の現場にはそれぞれ囲んでる人もあわせて二百人くらいは居たと思うけど、これだけしかポイントが奪えなかったって事は、あの状態になったのは結構早い段階からだったのかもしれない。もしかしたら、イベント前からいくつかのグループが出来ていたのかな?


「そう言えばクイネさんは一人で参加なの?」

「まぁ、そうだな。友人関係は皆ソロだし、たまに店で集まって飲み会やるくらいだしな。あいつ等もどっかの島にいるだろ」


 べったりな関係じゃ無いんだね。私達とは大違いだ。あ、忘れてた。あの子出しとかないと。


「フィナちゃん連れてきてたんだな」

「うん。足も必要になるかと思ってね」


 石に戻さないと連れていけない仕様だったから、そのまま忘れてたよ。ちょっとむくれてるのも可愛いけど、ちゃんとご機嫌取っとかないとね。


 やっぱりケーキはホールだよねと、ショートケーキをワンホール分出し、早く早くとせがむフィナを抑えながら切り分けていると、ヨーナから救助要請の通信が届いた。囲まれてしまって大変らしいので、直ぐに拠点へ転移させる。


「サンキュー、危ないとこだったぜ。だがな、これを見ろっ!!」


 大変だと言っていた割に余裕そうなヨーナが、そう言ってこちらに突き出した手に摘ままれていたのは一本の鍵だった。


「これどうしたの?」

「持っている奴を見かけてな、仲間内で自慢してるところを掠め取ってきた」

「大胆すぎだろ女の子」


 此処にいる働かない男とは段違いな行動力だ。私が居る所為だと思うけどね。とりあえず、違う島にあったこの鍵でもあそこの扉を開けられるか試してこよう。


「開けれたよ」

「やっぱ良いよなぁ。俺もそのチート欲しい」

「アオイは家の子だぞ」

「チートだっての」

「あっ! そうだ、この状況チャンスだよ!」


 この島の森なら今のところモンスターを見たりはしてないし、安全に【研ぎ澄まされる者】の称号取れるじゃん。


「四時間の瞑想か。やってみるかな」

「テイム石持ってる? 無いならあげるよ」


 そうして、テイム石を受け取ったクイネさんを地上に送り、森の中で瞑想を始めたのを確認する。急にモンスターが現れたら可哀想だからたまに確認して上げよう。ちょっぴりネタバレだけど、仲間が増えるチャンス出し、これも私イコール運営公認チートプレイヤーだと言うのを隠す為にもなる。完璧な作戦だ。


「ヨーナはやらない?」

「四時間もじっとしてるとかしんどすぎだろ」


 三人揃ってチートプレイヤーも良いと思うけどなぁ。ここはサクラを誘ってオセロのようになることを願おう。

 さて、ポイント探しの前にケーキだね。お預けを食らったフィナが切なそうだし、いい加減切り分けて食べようか。






 夜になり静けさが訪れた森、地中にいればそんな風情も感じられないけどね。クイネさんの瞑想も無事に終わり、可愛いタヌキのタヌ吉を仲間に加えサクラとトヤマさんも合流。クイネさんの握るお寿司で夕飯を取ることにした。

 いの一番にサクラを瞑想に誘ってみたものの、やらないとの即答。私の仲間はそう簡単には増えないみたい。


「ここに居る間は何時でも寿司を食べれるって訳よね。良いわぁ、天国よね」

「それぐらいしかする事無い気がするけどな」


 トヤマさんは好物をくれる人には甘いらしい。ログインする度に店に足を運んでるみたいだし、相当好きなんだね。

 それより大事なのはトヤマさんが持ち帰った情報だ。あの大きな遺跡にあったのは壁画だけで、宝箱なんかは無かったそうだけど、おそらくこの壁画が重要なんだろう。その内容は、宝箱を抱きしめた王様と家来達。この宝箱が一万ポイントの入った物なんじゃないか、と言うのが私達の考えだ。


 問題の場所は壁画からは読みとれなかったけど、あの遺跡にまだ秘密が隠されているかもしれないし、私がここから見る事が出来ない以上、夜の内に忍び込んで調べて見ることにした。私の手に掛かれば忍び込むなんて容易いのです。


 お寿司をあらかた堪能した後、一人遺跡へ転移する。勿論完全に透明になった状態でだ。トヤマさんの話では占拠しているグループが居るみたいだし、ポイントを持っていたら帰り掛けに奪っておこう。


 遺跡の中はだだっ広い一室。正面には大きな壁画があり、これが宝箱を抱えている王様の絵だ。私に気付かずに思い思いに寛ぐ人達を尻目に辺りを調べてみる。

 すると、壁画に不自然なところを見つけた。どうやら一部がタイル状になっていて取り外せるようになっているみたい。周りにバレないよう空間に細工を施し、短刀を使って取り外してみた。

 その先はまた壁。しかし只の壁ではなく、真っ赤な絵の具のようなもので文字が書かれていた。


《宝を奪えば亡者が来るぞ》


 只の宝探しでは終わらなさそうだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 亡者 ほねほねグループか、金寄越せグループか……………亡者かぁ
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