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38. これが私の戦い方

「良い物を手に入れたじゃないか」


 ログハウスに戻ったところ、休憩中なのか優雅にワインを飲んでいたミスノを発見し、先程手に入れた滑らかな石を見せてみたんだけど。


 思いの外良いものだったみたい。


 何でもこの石を投擲や遠距離武器を作る際に混ぜると、必中と転倒の効果が付くみたい。私の短刀やトヤマさんの弓には嬉しい効果だね。


「武器の方はどうなんだ? もう出来たか?」

「一通りスペースデブリを混ぜて、インゴットにし終えたところだ」


 スペースデブリはオリハルコンに混ぜることで、武器に打撃属性の追加と、色により各属性魔法の威力アップの効果が。


 防具には衝撃耐性と各属性魔法の耐性が付くそうで、インゴットにする事で強化素材にしてもその効果を付与出来るようになるみたい。


 それなら先に、ダンジョン武器と防具を強化して貰った方が良いかな。


 属性魔法威力アップと耐性の効果は一つしか付けれないみたいなので、私は火でサクラは地、ヨーナは風を着けて貰い、防具の耐性も同じ物で合わせることにした。


「そう言えば、属性の相性ってあるの?」

「無いようですわ。その代わり得意属性があって、使用回数の多い属性が称号として現れますわ」

「【風の剣士】ってそう言うことだったんだな」


 二人とも持っているのかぁ。


 私も属性に拘って使うべきかな? 現状、神速通と念動力ばっかりだし、かろうじて弾幕と魔法剣が火属性なんだけど。


「お主はそのままがいいと思うぞ」

「タツノ? ……何かあるの?」

「ふふっ、その時になれば教えてやるのじゃ」


 そんな悩む私に向かい、キボリに埋もれて幸せそうにしていたタツノが急にアドバイスをくれたのだけど、詳しくは教えてくれなさそう。


 ミスノも何か知ってるみたいだけど、笑みを浮かべるだけで何も教えてくれないや。


「それなら合宿するか! 前のイベントの時もやったしな」

「それ合宿じゃないよ、遊んでただけじゃん」

「でも、それも良いですわね。あれから称号も増えてますし、一度戦闘スタイルを確立させてしまっても良いんじゃないかしら? アオイさん」


 うーん、それは一理あるかな。


 とりあえずタツノの言うとおりにするとしても、神速通と念動力をベースにして、一度魔法も整理した方が良いかもだしね。


 そして思い立ったがすぐ行動。


 家もあるし温泉もあると言うことで、合宿の地に選んだのは祭り村。


 それに戦闘面でも樹海を利用したサバイバルモード、襲い来るモンスターを倒しながら制限時間まで生き残ると言うものもあるから、息抜きと特訓の両方をカバーできる素敵な場所なの。


 それでも戦闘に物足りないと思えば、鬼ヶ島に行けばいいしね。


 それでも折角来たんだからと、午前中はそれぞれ屋台でゲームなんかを楽しんだ後、午後から本格的な合宿に入ることに。


 そして、遊び疲れた気持ちを引きずりながらも迎えた午後。冒険者ギルドに行き、受付で一人ずつサバイバルモードを選択して、樹海へと転送してもらう。


 制限時間は一時間だけど、繰り返し何回でもやればいいだけだから、足りなければおかわりすればいいとして、だ。


 とりあえず一時間戦闘してみて、自分に必要な魔法を考えていこうか。


 先ず、襲いかかってきたウルフを魔法剣で倒した時、ふとコンボの事を思い出した。


 木に擬態して襲って来るトレントを倒し、今度は群でやってきたウルフを神速通を使い一体ずつ倒していく。


 広範囲や高威力の魔法も必要だろうけど、いざという時の為に一つ組んでおけば十分かな?


 いや、どちらにせよどちらも一撃で倒せる内は必要なさそうだし、何よりモンスターに任せるという選択肢もある。それは後回しにしておこう。


 そう頭の中で優先順位を組み立てながら、ジュカスネークの奇襲を躱し、念動力で操る刀で倒していく。


 こうして戦っている現状だと、狐火の存在意義が無くなりつつあるのを感じるね。


 それも称号の【研ぎ澄まされる者】と、神速通の組み合わせが優秀過ぎる為か。他の効果に変えた方が良いかもね。


 一時間経ちギルドに転移した後、勝利報酬の転移マーカーを貰ったら次の行動に移ろう。


 再び挑戦する二人と別れ私が向かうのは、称号の効果を変えるために必要不可欠な伊勢の辺りにある神社。


 前とは違い少ないながらも人がいる光景に、神主風の社員の人もなんだか嬉しそう。


「称号かい? 見た目かい?」

「称号だよ。どう? 他にも最北端から来た人いた?」

「いるわけないさ、そんな奇特な奴」


 何故それを本人の前で言うのさ。


 まぁいいや、効果を選ぼう。【強欲な九尾の狐】で選べる他の効果は、魅了付与と尻尾の数だけMPをストック出来ると言うもの。


 どちらもMP+5000は付くし、やっぱりストックかな? ストック出来るのは一本に付き1000で、一日一本にストックされるみたいだし、小分けにして使えるのは便利そう。


 今は四本だし、後一本増やしてきりのいい感じにしようかな。


「見た目の変更もお願い、尻尾増やすの」

「尻尾かい? そりゃ良い、あの子も喜ぶだろうよ」


 あ、これは早まったかもしれない。家にはもふもふ好きが多いし、大丈夫かな? 特に問題はタツノだよね。はぁ、拘束されなきゃ良いけど。


 さて、その覚悟を決める猶予も欲しいし、祭り村へ帰る前に鬼ヶ島へ行ってこよう。


 そこで魔法を組んで、どんな風に戦えるかやってみたいからね。


 そして向かった鬼ヶ島は、相も変わらず大盛況。


 そんな状況を利用して、受付への列に並んでいる間に、魔法を組み終えることが出来たのは少しラッキーかな? 


 皆、イベント前に少しでも強くなっておきたいんだろうね。


 魔法についてはあまり大きく変えることはせず、攻撃魔法を整理するだけにしておいた。


 広範囲の弾幕は使い易く、よんびーむはストック分で賄えるように消費MPを4000程に抑えるようにして、チャージ時間を用いたりして威力を上げる感じに。


 他には、遠距離用に拳くらいの大きさがある火球を追加。この魔法は、燃える石を飛ばすって感じかな? 名前みたいに消えて無くなる訳じゃないけどね。

 

 そして、近距離と目くらましも兼ねて爆発を起こすものと、遠近両用で使える尻尾からのビーム。


 これで上手く使いこなせれば、魔法関係の称号も取れそうなんだけど……、自信ないなぁ。


 さて、準備も出来たし、早速舞台の中央へ行って対戦相手を出そうか。


 無駄に神速通を使って舞台の中央に立つと、目の前に現れた相手は、太刀を二本持った長身でマッチョな男の鬼だった。


「俺が勝ったらテイムしてくれ」

「何さ、藪から棒に」

「酒が飲みたい」


 師匠の話が広がってるんだろうね、だが断るのです。私だって勝ちたいしね!


 そう勢い余って不意打ち気味に勢い良く切りかかるも、最初の攻撃は難なく躱されてしまう。


 ふむ、見た目な割にかなり素早そう。


「いきなりか、だがそう簡単にはいかないぞ」

「こっからだよ!」


 神速通で距離を取り、すぐに火球を放つ。


 直線的な攻撃は当然、素早いあいつに躱されるけど、遠距離魔法に火球を選んだのは訳があるの。


「なっ!? 追ってくるだとっ!」


 わざわざ火の玉ではなく、土魔法も織り交ぜ火球としたのは念動力で操る為、ってね。


 火だけを念動力で動かせるかが不安で、念の為にそうしたんだけど、重量感もあるし、プレッシャーを与える面でも効果的かも。


 そんな狙い通りに火球から距離を取ろうとする鬼を、神速通を用いて張り付き接近戦をしかけてその動きを縫い止める。


「ぐっ!? だがこの距離なら!」


 動きを縫い止める際に数度打ち合ってみて分かったけど、力もかなり強く、そう何度も打ち合うのは此方がキツい。


 だから神速通を小刻みに使い、私を見失ったところで短刀を投擲。


 しかし流石に反応も速く、いとも簡単に太刀で弾かれてしまったけど、その隙に斬撃を浴びせることは出来た。


 後はこれの繰り返しかな。単調になっても見切られてしまいそうだから、爆発や弾幕を混ぜて注意を引くのも忘れないように、っと。


「くそっ、不覚! だが忘れるな、俺はまたきっと現れる!」


 なんか不吉な言葉を残して消えていったけど、一通り試せたから当分は此処に来ないと思うよ?


 でも、今回は特に難なく倒せたけど、それは鬼の戦い方もあるだろうし、威力の調整なんかはその都度考えていった方が良いかも。


 せめて、与えているダメージ量が分かれば良いのになぁ。


 一旦休憩しようと、祭り村に戻り温泉に浸かろうとしたその時、何故か狙い澄ましたようなタイミングで師匠がやってきた。


 温泉で日本酒でも楽しむのかな? とも思ったけど、その手には何も持っていないし、バスタオルしか身に付けていないその姿は、本当にただ入りに来ただけみたいにも見える。


 でも、肩まで身を沈めたタイミングで扉を開けて入ってくるのは、些かタイミングが良すぎると言うもの。


 若干緊張しながら師匠の行動を観察していると、私の隣に腰を下ろし、目を細めながら口を開いた。


「馬鹿な奴に絡まれたそうだな」

「何でもう知ってるし」


 AIの情報網はホントに謎だよ。


「それは兎も角。イベントの後、楽しみにしているぞ」


 そう言い残すし、直ぐに温泉から出て行く師匠を目で追いながら、今の言葉について考えてみる。


 いや、情報が少なすぎて考える事も出来ないんだけど。


 てかさ、それを言うためだけに来たことを考えると、なんだか怖くなっくるのですが。


「師匠と何を話していたんですの?」


 そんな謎の恐怖と戦っていると、今度はサクラがやってきた。


 さっきの話を聞かせると、闘技場でも出来るのかもですわね、との事で、当然正解と思える回答は返ってこない。


 でも、その答えはちょっと納得かな? 闘技場とは言わなくても、多分鬼との戦闘の内容も聞いて血がたぎってるんだろう。


 結局、一度も攻撃を受けなかったからなぁ。


 それでも、相手も強かったからMP結構厳しかったし、課題も残ったの。


 今のMPだと神速通が使えるのは三十回で、それだけ聞くと余裕がありそうだけど、それは神速通だけの場合なんだよね。


 攻撃魔法の事も考えると、正直心許ない。念動力の消費MPが、一つの対象に付き100って言うのが救いかな?


 はぁ、トヤマさんが来るのが待ち遠しいよ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ティムされると、酒が飲め放題らしい 鬼界隈にそんな噂が……………ww ティム希望者が列を作りそう(笑)
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