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32. 火力が欲しい

「水場が寂しい気がする」

「その呼び方、気に入ってるのですわね」


 師匠にお金を持たせ、足としてブルングリスティのベイを貸し送り出した後、先生に紅茶を淹れて貰いティータイムを過ごしている時に水場の事を思い出した。


「海洋生物を増やすのか?」

「それも良いけど、見た目だよね。あっ! 高飛び込みのやつ作って貰おう」

「お前、そういうの苦手じゃなかったか?」

「大空を落下した私に死角は無いのです」


 あの恐怖体験は私を強くしたのだ。あの経験がなかったら、空も飛べなかったかも。


「それより、リビングを広くする方が先なんじゃないですの?」


 そうだった。人も増えたし、もう一組テーブルとソファーが置けるくらい広げておこうかな。


 ついでにもう一つテレビを置いとこうか。高飛び込みのやつはミスノに頼んどけばいいかな?


「専門外だ、それに出来たとしても材料が無いぞ」


 盲点だった。


 そんな訳で高飛び込みの事は一旦忘れ、ヨーナとサクラが師匠に稽古をつけて貰っている間、タツノとタツミ、ぬーちゃんにフィナを連れて宇宙ステージを探索してみることに。

 

 称号のお陰なのか、あの龍星とも何とか戦えているものの、威力の関係かはたまた龍星のHPが多いのか、トドメをさすまではいけなかった。


 それにアイテムドロップが無いのは何でだろう。


「龍星はプレイヤーが自ら倒さねばドロップは無いのじゃ」

「どうすれば倒せるようになるのかな?」

「お主は単純に戦闘経験が足りんのじゃ、MPばかり増えようがこればかりはのう」


 それって、そう言う称号があるって事だよね。


 かと言って戦闘ばっかじゃ疲れるし、短期間で一気に戦闘経験が稼げるところなんてあるかな?


「それが鬼ヶ島ですよ」


 盲点だった。


 いやいや、少し考えれば分かることじゃん! あれ? じゃああそこで一時間近く戦ってたサクラとヨーナってなんか称号でてたってこと?


「ならば、お主は今出来ることをすればよい。先ずは、龍星に対し物理と魔法を交互に与えてみると良い。本来はミスリルゴーレムの役目なんじゃがな」


 私は色々すっ飛ばしてきてるのかな? まぁ、今はタツノの言うとおりにやってみよう。


 倒すことは皆に任せて、とりあえず攻撃を当てることに専念してみる。ブレスを吐くタイミングが一番攻撃を当てやすいけど、ダメージは期待できないからね。


 三戦もすると【コンボマスター】という称号を手に入れる事が出来た。


 この称号では、物理攻撃と魔法攻撃を交互に与えることで消費MPが軽減し続けると言うものか、威力が上がり続けるものかを選択する事が出来るみたいだね。


 とりあえずは長期戦より短期戦と、短絡的に決めつけて威力が上がる方を選択。消費MP軽減も有用だけど、神社に行けば変えることも出来るしね。


「上がる威力に上限は無いからの、長期戦でこそ真価を発揮するのじゃ。MPの方は最終的に消費がゼロになるしの」


 へぇ、それなら結局は好みなんだね。MPが確保できるのならば確実に威力を上げた方が良いだろうけど、そこが不安なら軽減ってところかな。


 だとすると、神速通の併用も考えればMPの方が良かったのかな? うーん、使ってみないと分からないか。


「そういえば、ここって龍星しか出ないの?」

「うむ。ここは龍星を躱わし、漂う岩などから素材を採掘する場所だからの」


 ならば試しに採掘してみようと、近くにある岩に鶴嘴を打ち付けてみるも、その衝撃で岩は吹っ飛んでいった。


「無理じゃん!」

「一人じゃ無理ですよ。私が押さえててあげます」


 はぁ、タツミの助力のお陰でなんとか素材を入手できたけど、こう言うことは先言ってくれないかなタツノさん。


 ともあれ、一つの岩からでも色んな種類が採掘出来るみたいだけど、名前は全部スペースデブリなんだよね。


 色が違うから別の物なんだろうけど、詳しくはミスノに聞けば分かるかな?


「そろそろ帰らぬか?」


 そう声を掛けてきたタツノは、採掘中の護衛には既に飽きてきていたみたい。


 フィナは無重力が楽しそうで、まだまだ戦いたいといった表情をしているけど、それをぬーちゃんが羨ましそうに見ているのが切ないよ。


 ごめんね。でも、そのポジションがないとタツノが怖いから。私の為に抱かれておいて下さいな。


 それでもぐったりとするぬーちゃんが可哀想なので、採掘も区切りをつけてログハウスへと帰還。


 そして窓から外を眺めると、ヨーナとサクラの稽古も終わったのか、バドミントンをしているのが見えた。


 もう終わっているってことは、二人同時にやったんだろうね。草原でお酒をラッパ飲みする師匠の周りは空き瓶だらけだし。


 でも、そんな飲兵衛の光景よりも二人のバドミントンの方がインパクトが凄い。もうちょっと近くで見てみようかな。


「おう、お帰り。この称号良いな、バドミントンでも効果でてるぞ」


 うん、見ただけでも分かるよ。シャトルがまるで弾丸の様な凄い勢いで飛んでるからね。


 これは、スポーツも戦闘と同様って意味なのかもね。いや、それよりもだ。さっき気になったこともついでに聞いておこう。


「二人は鬼との戦いで称号でたの?」

「私は【魔剣士】がでたぞ。武器に纏わせる魔法の威力が上がるようにしておいた」

「私は【魔導の開花】がでましたわ。魔法作成機能の拡張、簡単に言えば強化ですわね」


 サクラのは通常よりも強力な魔法が組めるようになるものらしいし、ヨーナに関してはそのまんま過ぎて逆に格好いい。どっちも羨ましいなぁ。


 でも、サクラのは私には無理だろうね。ゲーマーのサクラに出来ることが、ヌルゲーマーの私に出来るとは思えないよ。


 そんな風に話しながらも白熱する試合の邪魔はしないよう、静かにログハウスへと戻ってきたら、今度は採掘したスペースデブリの件を解決しよう。


 ソファーで寛ぐミスノに採れた素材を渡してみると、オリハルコンと合わせることで、特殊効果の付いた武器を作れると教えてくれた。


 それに、モンスターのドロップ品にもそのようなものもあるらしい。


 もしかして、クリスタルゴーレムのクリスタルとかゴブリンドの角とかかな? うーん、そこら辺はミスノに任せた方が良いだろうし、ドロップ品は全部家屋メニューの方に入れておいた方が良いかもしれないね。


 あと、スペースデブリの一部はトヤマさんに渡した方が良いらしく、ポーションの回復効果が大きく向上する素材になるのだとか。


 青色の物らしいから覚えておこう。定期的に取りに行った方が良さそうだしね。


「なあ、夜になったら鬼ごっこしに行こうぜ」

「また驚かされに行くの?」

「違う! 今度はアトラだ」


 スペースデブリの整理と合わせて、アイテムボックスのドロップ品を家屋メニューのボックスへと移していると、バドミントンを終えたらしいヨーナがそう声を掛けてきた。


 場所が違っても運営の質は変わんないと思うけどなぁ。でも、近代的な場所でやる鬼ごっこも楽しそうだし、行ってみようかな。


 そんな訳で、準備運動も兼ねて夜になるまではスポーツの時間。


 バブルサッカーをやってみたけど、このゲームのバブルボールはおかしいよ。スーパーボールみたいに良く弾んで吹っ飛ばされるし、転んじゃったら悲惨なことになった。


 起き上がらない起き上がり小法師なんて、要らないんだよ。


 若干失った食欲もカレーで華麗に取り戻し、やってきたのはもう夜だというのに明かりが絶えることのない、眠らない街な装いの未来都市アトラ。


 いくら街が明るいといっても、影になる部分は当然暗い。こういう部分は、鬼ごっこをやるには不利になるかもしれないね。


 でも、逆に利用できさえすれば最大の武器になるのだけど。


「やっぱ、この時間だとスリルがありそうだよな」

「ビビりの癖に、なんでこの時間を選ぶのかと」

「逆に好きなんじゃないですの?」


 ヨーナドM説が浮上してしまったね。


 それは兎も角、アトラの鬼ごっこのルールも祭り村と同じ様にシンプルで、捕まらないように行動して隠されたフラッグを取ると言うもの。


 そして全員捕まったら負けだけど、捕まったら公園に待機することになり、仲間にタッチされると復活できるというケイドロみたいな要素もあるの。


 捕まっても助けてあげるね、なんて言い合いつつ冒険者ギルドの受付で鬼ごっこを選択。


 これでギルドから出たらスタートで、五分後には鬼が投入されて逃走劇の始まりだ。


「三人だけだとここは広すぎるよな」

「私達だけで行くって言ったのはヨーナでしょ」

「アオイさんがいれば十分ですわよ」


 まぁ、千里眼と神速通でフラッグの確保は楽だもんね。


 よし、ならさっさとやってしまおう。早速外に出たら千里眼を使って辺りを見回す。五分以内に見つけてしまえば、鬼の出番は無いからね。


「ダメだぁ、ぱっと見渡した限り見つかんないよ」

「そう上手くいかないか、隠してあったりしそうだよな」

「そうですわね。では、私は北へ行きますわ」

「なら、私は東な。アオイは残りを頼むぜ」


 いや、人使いが荒すぎない?


 まぁ、いいか。とりあえず、ビルの中を優先して探してみようかな。


 そうして適当に選んだビルに入り、ロッカーや引き出しを漁ったり、道端のゴミ箱を漁ったりしていたらヒントを見つけることが出来た。


 内容は、下は火事で上は洪水。サクラに連絡してみると、北の方にスーパー銭湯があるみたいで直ぐに向かうそう。


 私も直ぐに向かいたいところだけど、その前に捕まってしまったヨーナを助けておかないとね。案の定、驚かされて捕まったみたいだし。


「運営は卑劣だ。予想できるか? ゴミ箱から鬼が出てくるなんて」

「私は無かったよ。それ、絶対狙われてるよね」


 南にある公園でヨーナを救出すると、早速愚痴を言い始めたヨーナさん。


 軽く聞き流しながら辺りを見回してみるけど、見張りもいないみたいだし、運営は面白そうなことにだけ全力投球な気がするよ。


 いや、今一瞬遠くに動く影が見えた。でも私を捕まえにくる気配もないし……、これはあれだね、捕まった人を無意味に驚かせようとしている奴だ。


 とりあえず救出すると言う目的は達成したし、早いところサクラと合流しよう。


「私は先にサクラと合流するね」

「あぁ、スーパー銭湯だっけ? 私もとりあえず向かっとくわ」


 うん、それは良いけど敵は意外と近くにもいるから気をつけてね?


 そんな若干の不安も残るヨーナを残し、サクラと共にスーパー銭湯捜索した結果、ロッカーの中に隠されたフラッグをあっさりと見つけて鬼ごっこは終了となった。


 ただし、ヨーナはスーパー銭湯へ向かう途中、マンホールから飛び出した鬼に捕まっていたみたいで公園でふてくされてたよ。


「はぁ、トヤマさん呼んでバーベキューするか」


 そんな訳で、持ち越しとなっていたバーベキューはヨーナのやけ食いの為に用いられることになりましたとさ。


 そんなヨーナも、酒豪の追加された宴会にはどん引きだったけどね。


 モンスターがお酒を買えることを知っているトヤマさんも、たがが外れたように次々に飲みまくってたし。


 鬼より怖い存在、それは酔っ払いなのかもしれないね。


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