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116. スライムの神

 レンチのリクエストにより、一メートルを超える巨大ハンバーガーを創り、師匠達の要望で囲炉裏のある居間にテレビを設置。夕飯も近いからログアウトしようと思ったら、イザナミから良いことを教えて貰えた。


 それは、イベントでお菓子を贈る対象は、モンスターやNPCも含まれると言うこと。気になっていただけに、教えてくれて助かったよ。


 今思えばジグソーパズルを組んでる時に聞けば良かったんだけど、何で聞かなかったんだろう? まさか、私は無意識にパズルに集中していた……、なんて事はない。単に皆と話しをしながらも、レンチをどんな風にしようか考えてただけだからね。


 はぁ、無限に伸びるパンチとか、キックとかも考えてたんだけど、師匠とタケミカヅチにダメ出し食らっちゃったからね。戦闘中に腕や足を伸ばすなんて、当たらなきゃ良い的になるだけだ、なんて言っちゃってさ、戦闘狂にロマンはないの?


 ま、そんな愚痴はご飯を食べれば忘れられる。サクラとヨーナに、ログインしたらタワーマンションに行こうと誘い、ログアウト。エードのお祭りにも行きたいし、お菓子配りは早めに終わらせないと。


「ヨーナは何してるの?」

「ひゃ! って、アオイか。後ろから話しかけんなよな」


 それは、窓の外を覗いているヨーナが悪いと思うんだけど。


 ログインして、ベッドで横になるシンラを一撫でしてリビングへ。そしたらこの状況だもん。リビングには他に誰も居ない状況で、一人窓から外を覗いているヨーナを見たら、怪しすぎて声を掛けちゃうのは仕方がないことだよね。


「で、何かあるの?」

「見た方が早い。見てみろよ」


 手招きして誘うヨーナに従い、隣に並んで外を見てみると、世にも奇妙なものを見た。


 それは一見するとサバトの様にも見える。スラミと七体のカラフルなスライムが手を繋いで輪になっている。スライムって手を作れるんだね。

 そしてその周りには大量のスライムが居て、その一部は発光して周囲を照らしているから、余計に怖い。ぶっちゃけ周りのスライムが邪魔で、窓から全体の様子は見れないから、視界を飛ばして確認したんだけどね。


「何してるんですの?」

「ひゃ! って、サクラか。後ろから話しかけんなよな」


 デジャビュ、とは違うか。巻き戻したみたいなリアクションをするヨーナに、少し呆れちゃう。


 サクラも同じ様に覗き込むと、スラミの奇行が気になるのか、何をしているか聞きに行ってみようと提案してきた。


 正直ちょっと怖いけど、気になるのも事実。サクラの後に続いてヨーナと共に外に出て、スライム達を掻き分けてスラミに近付いてみる。その顔を横から覗き込んで見ると、スラミは目を瞑って静かに念じているように見えた。


「何をしてるんですの?」


 私がスラミの真剣な顔に臆していると、サクラが躊躇なくスラミに問いかけた。でもその答えは、どこかで聞いたことのあるようなものだった。


「七色、つまり七体のスライムと手を繋いで輪になり、心を一つに合わせる事で、スライムの神、レインボースライムゴッドが誕生するの。簡単に言えば七体が合体するって感じ」


 スラミが神になるって訳じゃないんだね。いや、憑依すれば同じ事かな? スライム好きがスライムになって、神になる。そんな出世の仕方もあったんだね。


「心は一つに出来そうなのか?」

「難しいんだよねぇ、こいつらマイペース過ぎ。私自身、スライムになってるから話しは出来るけどさ、どいつもこいつもお菓子食べたいとか、プリン食べたいとかって」


 スライムもお菓子が好きなんだね。って、あれ? それ心一つになってない?


「スラミもお菓子が食べたい、って思えば良いんじゃない?」

「え……、あ、盲点だった」


 心を合わせろって事なら、別に内容はどうでも良いんだろうしね。まさにそれで良かったのか、輪になったスライム達が光り輝きだし、やがてその光は一つに纏まり、七色の輝きを発する虹色のスライムへと変化した。あ、合体か。


「あ、称号もゲット。それにテイム石まで合体するんだ。アオイありがとね、私は出掛けてくるから」

「ハロウィン用のお菓子は、自由に食べて良いからね」

「ありがと!」

 

 

 お礼を言いながらログハウスへ消えていくスラミを見送り、暫しその場に立ち竦む。あのスライムを見ていると、何かに似てるって思うんだけど、なかなかそれが出て来ないんだよね。


「あの七色の輝きさ、バラエティーでよく見る虹みたいだよな」


 ああ、それだ。口からキラキラって出るやつ。レインボースライムゴッドが発する輝きは、見た目は綺麗なんだけどね。一度思い出せば、どうしてもその光景が頭に浮かんでしまう。二人も同じなのか、私達の間に微妙な空気が流れ始めた。


 スラミが憑依したら、あの輝きを纏うのかな? 


「行くか」

「そうですわね」


 この微妙な空気を変えるためにも、タワーマンションに行ってお菓子を配ろう。一度ログハウスへ戻って、自分のアイテムボックスにお菓子を詰め込んだら出発だ。彼処には子供のNPCも居たし、喜んでくれると良いな。


「まさか、こうなっているとは」

「知らなかったんですの?」

「見ただけでも、張り切ってるのが分かるよな」


 タワーマンションの前に転移してみたら、目の前にあるタワーマンションが、カボチャのランタンで飾り付けられていた。

 六十メートルにも及ぶ建物が、カボチャのランタンで飾り付けられているのは壮観だけど、どうやって取り付けられたんだろう? 明らかに窓から吊しているようには見えないけど。


「おお! 来たのか! どうだ、これは我がやったのだ! 凄いだろう!」


 私達が来たのに気付いたのか、転移で現れたハイテンションのマルンによって、私の疑問もあっさり解決した。


「中も凄いぞ! 頑張ったからな、あ! トリックオアトリート!」

「ちゃんとあげるから落ち着いて。ヨーナ、サクラとりあえず中に行こ」

「そうだな。あ、どうせなら屋上からばらまくか?」

「もちが釣れそうですわね」


 そう言うのは建てる途中だと思うけどね。さて、マルンの頑張りを見ながらお菓子を配ろうか。終わったらエードに行くつもりだし、マルン達も誘ってみようかな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 戦闘狂は戦う事が、命だから、ロマン砲やら、ロマン兵器やらを装備されても、ロマンを求めてないから使わないし、邪魔にされるだけ 逆に、武器(刀や剣、ハンマー等の)なら、いくら増やしても気にし…
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