111. 隠しボスは隠しておきたい
便利すぎる【プロビデンスな目】と太極図を組み合わせたテイム法。ゴッドテイム石があればこその物だけど、五分と掛からず原初の澱みと龍星、ムーンゴーレムをテイムし終えた。名前はそのままになっちゃったのは申し訳ないけど、レンチの中で仲良くやって欲しいと思う。
でも、第三大陸で原初の澱みと戦っている人が居なくて良かったよ。龍星の所は、スペースデブリを採取していた人達は居たけど、戦っている人は居なかったしね。お陰で計画は早く進行しそう。
「あのムーンゴーレムはどんな子だったの?」
「女の子を見ていたいって奴ね」
それなら表に出なくても十分だね。ムーンゴーレムをテイムしようとした時、イザナミから指定されたから大人しい子かとも思ったんだけどな。我が強い子だと、レンチが表に出れなくなっちゃうからね。龍星と原初の澱みに関しては、優しくて良い子が多いそうだから心配ないみたいだけど。
「後は、ジュカスネークかな?」
「あれは雑魚の部類だからポイントは少ないわ。もっとボスクラスを狙うべきね」
「おすすめは魔王軍四天王の生き残りの一人だな。其奴は状態異常に特化していた筈だ」
四天王か、レンチの事を考えるとどうしても癖の強い奴に思えてしまう。状態異常に特化しているなら尚更だね。
「後、一体位ボスクラスがいれば十分かしら」
「そうだな、それなら第五大陸の隠しボスを回収するか」
私抜きでも話が進んで楽で良いけど、まさか解放初日に隠しボスに挑むとは思わなかった。第四大陸では我慢したんだけどなぁ。
そう言えば、マルンは隠しボスだったっけ。そんな感じしないから忘れていたけど、他の大陸の隠しボスってどんな奴なんだろう?
「他の大陸の隠しボスってどんな奴?」
「第一大陸はタケミカヅチよ」
衝撃の話を聞いてしまった。これ早くヨーナに知られた方が良いよね。そう思い、通信しようとするとマオに止められてしまった。
「言わん方が良い、隠しボスとしての出現条件は大陸の統一だ。正直、面倒な事になるぞ?」
うん、言わんとしていることは分かった。大陸統一の条件は分からないけど、これ以上私の国が大きくなったら、流石に人手が足りないや。
今は小さい国だから、あんな大盤振る舞いな事が出来るんだよね。同盟とかがありなら、チートプレイヤーを増やせば何とかなるかもだけど、それなら戦闘を観戦している所をテイムした方が早いよね。
「第二大陸は、獣王ライオンカイザーキングデラックスグランドハイパーゴージャスマッチョ」
「長さとオチがひどい」
名前からして関わりたくないや。イザナミも真顔でそんな、へんてこな名前言うのやめて欲しい。最後のがっかり感が強くなるから。
「第三大陸は伝説のエルフの亡霊だな。全ての種族の女性を揃えて、第三大陸のある場所に行くと戦える」
それって原初の澱みを封印したエルフだよね? あの漫画の魔導書に書かれてた奴。死んでも女性が好きなんだ、そんなにハーレム作りたいんだ。
「第五大陸は機械神ワンダフルコアゼータ、機械を創造する機械の神よ。神と言っても、モンスターの部類だけどね」
「一歩間違えたら、腹筋鍛えてくれそうな名前だったよ」
もしかして、隠しボスってまともな奴が居ないのかな? この分だと、タケミカヅチもどこか残念な感じがしそう。
「機械神は出現させるのに時間が掛かるからな、明日にすれば良いだろう」
なら、今日は四天王の人をテイムして終わりかな。此処からテイム出来れば楽なんだけど、どうやらそうはいかないみたい。見つけるには条件があるそうで、それにはベイの存在が欠かせないらしい。
もうサクラとヨーナは戻ってきているだろうし、二人も行くか聞いてみようとリビングに下りるも、其処に二人の姿はなかった。
イザナミとマオには先にあおいせ食堂国へ行っていてもらい、二人が居るなら此処だろうとツリーハウスへ行ってみれば、案の定アニメを見ていた。
「第一大陸に行くけど、一緒に行く?」
「土産、頼むわ」
「私は行きませんわ。モフラブさんを連れてって差し上げたら如何? ジープに会いたがっていましたわよ」
アニメに夢中な二人は此処から動きそうもなかった。丁度タイトルロゴが出たけど、なんか美味しそうなタイトルだね。パンが食べたくなってきた。それにカニ。ホッカイ領行こうかな?
いやいや、今はレンチの事だよね。それにモフラブと言えば、此処にくる途中スルーしたんだけどポコの前で悶絶してたんだよね。多分臭いが原因なんだろうけど、こんな所で遊んでるってことは、原初の欠片は上位の素材に出来たのかな?
モフラブを見かけた場所に行ってみると、まだ悶絶している最中だった。
「モフラブ、大丈夫?」
「あ、愛の力があれば、こ、これしきのこと!」
強がっては居るけど、ポコは未だに臭いを発しているらしく、顔を抑えて土下座のような体勢のまま動けないみたい。私は全然臭わないんだけど、やっぱり主人には効かないのかな?
「第一大陸に行くけど、一緒に行く? ジープの所」
「行く! 行くわ! あぁ、夢にまで見たあのふわふわな毛に触れるなんて!」
ホントに愛の力があれば効かないらしい。原初の欠片の事を聞く隙も見せないほど、見事に立ち直ったモフラブに流石のポコも後退り。余程この反応にビビったのか、少し腰が引けているところがちょっと可愛い。
嬉しさの余り、変なダンスを披露するモフラブを連れて天守がある広場へ転移。早々に目に入ったらしいジープに駆け寄るモフラブだけど、先ずは天守に一言欲しかった。自信作なんだよ?
「来たな、では早速行くぞ」
「場所は、西側の先端近くにある山よ」
折角来たのだからタツミの様子でも見ようと思ったけど、ベイを連れて近寄ってきたマオとイザナミは、早く出発したいみたい。ちらりと平屋の方を見てみると、はだけた浴衣姿のタツミが縁側で寝ていた。ギリギリ見えないあたり、匠の技だね。
イザナミ達に指示され、転移でやってきたのは山の奥深く。木々が生い茂り、木の葉が積もった感じは、夜の暗さもあってか少し不気味な感じがする。ホラー映画だったら何かに襲われそう。
「後はベイに任せておけば見つけてくれる。少し五月蝿い奴だから、早めにテイムした方が良いぞ」
マオの説明に私の心臓は悲鳴を上げそう。ヨーナじゃないけど、こんな暗闇でいきなり五月蝿くなったら流石にビビるよ。
そんな思いでベイを見守っていたら、急に木の根本を掘り返そうとし始めた。
「見つけたみたいね」
五月蝿いと言っていたので、自分の狐耳を畳んで抑えながら根本を掘り返すベイを見守っていると、遂に其奴は現れた。
見た目は女性。でも髪の毛はなく、頭皮一面にキノコが生え、肌も青白い。身につける服はボロボロのシャツとズボン。キノコがなかったら可愛いって思える顔立ちだと思う。
「ヴぁぁぁ、ヴぉぉぉ、まんまみーや! まんまみーや! まんまみーや! まんまみーや! ま」
ゴッドテイム石を投げつけてテイム完了。確かに五月蝿かった。名前はまんまみーやで良いや。
「素材にするしかない奴だったろ?」
「四天王でまともな奴って居ないの?」
「レンチだな」
残り一体の四天王には、絶対に関わらないようにしよう。それより、こいつ融合させたりしてレンチは大丈夫なのかな? ゴーレムにする前に好きなものを聞いて、たらふく食べさせてあげよう。だからごめんね。
はぁ、まだまんまみーや! が頭の中で響いてる。今日はもうログアウトしようかな、その前にモンスター達はタツミの所とログハウスに戻してあげないとね。
ヨーナへのお土産は明日、お菓子を創れば良いや。だって、ハロウィンだし。




